プレス金型のメンテナンスは、点検、清掃、給油、部品交換、修理を行い、製品品質と安全な稼働を維持する保全活動です。処置は、摩耗や損傷の状態、製品への影響、停止できる期間を基に決めます。この記事では、点検する部位と周期、再研磨・部品交換の判断、保管後の再使用について解説します。
この記事で分かること
- 01点検する部位刃先・ガイドなどの状態と製品の変化
- 02点検周期ショット数と品質の推移から見直す方法
- 03再研磨・修理部品の寸法と位置精度から処置を検討
- 04保管と再使用防錆と使用再開前に確かめること
プレス金型の点検で見る部位と製品の変化
金型の点検では、パンチとダイの刃先、ガイド、ばねなどの状態を調べます。抜き加工でバリが増えた場合は、バリの発生位置と高さを記録し、対応する刃先の摩耗や欠け、パンチとダイのすきまであるクリアランスを確認します。
ガイドは上下の金型の位置精度に関係します。刃先とともに、ガイドの摩耗やがた、潤滑の状態も点検します。次の表は点検内容の例です。対象金型に備わる部品と排出経路に合わせて使ってください。
| 部位 | 点検内容 | 判定の基準 |
|---|---|---|
| パンチ・ダイの刃先 | 摩耗、欠け、製品のバリ高さと発生位置 | 製品のバリ許容値、金型図面の寸法とクリアランス |
| ガイド | 摩耗、がた、接触面の傷、潤滑の状態 | 金型図面に示された寸法・すきま、正常時の作動 |
| コイルばね | 折損、変形、錆、自由長の変化 | 使用部品の仕様に示された寸法と許容たわみ |
| スクラップ排出経路 | 詰まり、金型内に残ったスクラップ | 金型で想定した排出経路と正常時の排出状態 |
ばねのたわみは、取付時に圧縮した量と加工中にさらに圧縮する量の合計で確認します。実際の圧縮量が、使用部品の仕様に示された許容たわみの範囲内かを確かめます。
点検で手を入れる作業は、取扱説明書と事業場の安全手順に従って行います。危険を伴う清掃・給油・点検・修理では、運転を止め、作業中に他の人が起動できないようにします。金型の取付け・取外し・調整で身体の一部が危険限界に入る場合は、安全ブロックの使用など、スライドの不意な下降を防ぐ措置が必要です。
点検周期をショット数と品質の変化から見直す
運転前後には、金型の状態と製品のバリ・傷・寸法の変化を確認します。定期的な点検の時期は、金型や部品の仕様、被加工材、これまでの摩耗や不良の発生状況を基に、金型ごとに設定します。
抜き加工では、前回の再研磨からのショット数と、製品のバリ高さの推移を記録します。バリが許容値に近づく時期が早まっている場合は、刃先の状態を調べ、点検や再研磨の間隔を短くすることを検討します。材質・板厚や潤滑条件を変更した場合も、製品品質と刃先の摩耗を確認します。
例えば、再研磨後に前回より少ない加工数で、同じ位置のバリが増えたと仮定します。バリの位置と高さ、再研磨後の加工数、材料の材質・板厚と潤滑条件を記録します。刃先の摩耗や欠け、クリアランス、ガイドのがたを調べ、再研磨量と組付け状態も確認します。
内部の状態を調べる分解点検
金型の動きに異常があり、外から見える箇所では原因を特定できない場合は、分解点検で内部の部品を調べます。ガイドやばねなどの損傷、汚れ、錆を確認し、清掃・給油や部品交換を行います。分解と組立は、金型の構造に合う手順で実施します。
点検と修理の履歴を残す
保全履歴には、金型番号、点検日、ショット数、点検した部位、測定値、写真、処置内容を残します。交換部品や再研磨量も記録すると、前回の処置からどの程度使って状態が変わったかを把握できます。製品の測定結果と不良の発生時期も記録し、次の点検時期を見直す材料にします。
再研磨・部品交換と金型の更新を判断する
抜き加工の刃先が摩耗したときは、再研磨によって刃先を整えます。再研磨では部品の高さが減るため、図面と再研磨できる寸法を確認し、研磨後の高さを調整して必要な加工ができるかを確かめます。
入れ子を交換できる金型では、摩耗した入れ子やガイド部品を交換して使い続けられる場合があります。一方、入れ子を保持する穴が摩耗・変形していると、新しい部品を入れても所定の位置精度を保てないことがあります。プレートの変形も調べ、部品交換で回復する箇所と、周囲の修理が必要な箇所を検討します。
修理では、損傷部を修復した後に必要な精度と安全性を確保できるか確認します。損傷範囲、修理後の使用見込み、交換部品を入手できるか、停止期間、修理費、更新費、今後の生産量を確認し、修理または更新を決めます。
補修後に試し加工と製品測定を行う
補修後は試し加工を行い、補修箇所に関係する製品特性と周辺の寸法・外観を確認します。被加工材、プレス機、加工条件、測定方法を変更した場合は、その内容を記録します。金型の作動と製品の測定結果が、作業標準や検査基準を満たすことを確かめて使用を再開します。
プレス金型の保管と再使用前の点検
保管前には、スクラップや汚れを取り除き、錆を防ぐ処置を行います。防錆剤は、金型材料に適したものを選びます。保管や防錆の方法は、メーカーの推奨条件を確認し、社内手順に従って決めます。保管場所の湿度や結露、保管期間に適した防錆剤・防錆シートなどを使い、塗布方法や再使用時の除去方法は製品の説明に従ってください。
保管記録には、金型番号、保管場所、休止開始日、最後に使ったときの状態、防錆の処置を残します。修理が必要な箇所が残っている場合は、その部位と状態も記録します。
再使用時は、対象製品の図面と金型番号を確認し、加工面やガイドの腐食、可動部、締結部、ばね、潤滑の状態を点検します。錆を除去した後も、加工面に凹みや傷が残っていれば、製品形状や外観への影響を調べます。必要な修理・調整を行った後、試し加工で製品の寸法・外観を検査し、金型の動作を確認します。
まとめ
プレス金型のメンテナンスでは、刃先やガイドなどの状態と製品の変化を調べます。ショット数、摩耗量、製品の測定値、修理履歴から点検周期を見直し、再研磨や部品交換を検討します。
修理・更新の判断では、損傷部品とその周囲の精度を回復できるか、今後の使用に必要な費用や期間を比べます。補修後や保管後の再使用時は、金型の作動と製品の寸法・外観を確認してから生産を再開します。
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よくある質問
金型の点検周期はどのように決めますか?
金型や部品の仕様、被加工材、摩耗と不良の発生状況から設定します。使用中はショット数と製品測定値を記録し、基準に近づく時期が早まっていれば、点検や再研磨の間隔を見直します。
再研磨と部品交換は何を基に判断しますか?
研磨後に残る部品の寸法と高さ、必要な加工精度を基に検討します。入れ子を交換できる構造でも、保持する穴やプレートに摩耗・変形があれば、その部分の修理も必要かを調べます。
補修後に試し加工と製品測定を行う理由は何ですか?
補修部位の状態と、組付けや調整が製品の寸法・外観へ与えた影響を確認するためです。金型の作動と製品の検査結果が基準を満たすことを確かめ、処置内容と結果を保全履歴に残します。
保管していた金型を再使用するときは何を確認しますか?
加工面やガイドの腐食、可動部、締結部、ばね、潤滑を点検します。保管前の記録で修理が必要な箇所も確認し、必要な処置の後、試し加工で製品の寸法・外観と金型の動作を確かめます。