金型のCADデータは、設計した形状を製作や修理へ伝えるために使います。使用版の取り違えを防ぐため、改訂履歴、承認状態、受け渡すファイルの確認方法を説明します。
この記事で分かること
- 01改訂履歴の残し方
- 02受け渡すデータの確認
- 03保管と更新権限
- 04運用を試す方法
金型のCADデータと図面の改訂履歴を残す
金型の製作や修理で使う図面と3Dモデルは、金型番号や部品番号で対象を特定し、改訂番号と承認状態を確認できるようにします。例えば入れ子の形状を変更した場合は、変更した箇所と理由を記録し、その形状を表す図面とモデルを残します。
改訂時は、改訂番号、変更者、承認者、変更理由、対象部品、製作・修理・測定への影響を記録します。使用する仕組みによっては、保存するたびに増える履歴と、承認・出図などの節目で付ける改訂番号が異なります。
製作に使用するデータは、その作業に指示された改訂番号と承認状態を確認して選びます。例えば、改訂Aで製作している間に改訂Bを検討している場合、作業中のBを保存しても、製作に使うデータがBへ変わったとは限りません。変更が承認されたら、どの部品や作業から新しい版を使うかを関係者へ伝えます。
製作・修理で使うデータを受け渡す
受け渡すファイルは、受け取る側が何に使うかに応じて選びます。設計を編集するためのCADの元データ、他のCADへ形状を渡すためのSTEPなどの形式、図面を閲覧するためのPDFでは、利用できる情報が異なります。
STEPなどへ書き出したデータでは、元のCADで形状を作った手順や編集履歴が引き継がれない場合があります。使用するソフトウェアと対応する形式・バージョンを確認し、受け取ったファイルを実際に開いて、形状や単位、基準となる寸法が意図どおりかを確かめます。
組立モデルが部品のファイルを参照している場合は、必要な参照先ファイルもそろえます。図面、モデル、部品表が同じ設計変更を反映しているかを確認し、加工・熱処理などの条件や測定基準は、依頼する作業に必要な内容を添えます。受け取る担当者には、指定した改訂版を開けたか、足りないファイルがないかを返答してもらいます。
送付した改訂番号、ファイル名、送付先、送付日を残しておくと、後でどの版を渡したか確認できます。送付後に変更があった場合は、変更箇所と新しい版を使い始める作業を伝え、受け取る側の使用データも更新します。
承認済みデータの保管と更新権限を管理する
承認済みの正本と、設計・修理の途中で使う作業用データは、承認状態、保存場所、ファイル名で区別します。ここでいう正本は、製作や修理の判断に使うものとして承認されたデータです。
承認待ち、差し戻し、廃止の状態をファイル名や管理画面で確認できるようにします。正本を更新する担当者と承認する担当者を決め、閲覧のみの担当者が上書きできないように権限を設定します。管理システムを使う場合は、承認されたデータの変更方法と履歴の残り方を、実際の設定で確認してください。
外部へ共有するときは、相手が閲覧・取得できるファイルと、編集できる範囲を確認します。共有フォルダやリンクを使う場合も、渡す改訂版と共有先を特定できるようにします。
誤削除や上書きに備え、更新前のデータを別の保存先に残します。試験用のファイルで元の保存先へ戻し、図面やモデルを開けるかを確かめてください。
運用を試す場合は、修理や変更のある金型を選び、製作担当者が必要な改訂版を探して開けるかを確かめます。承認前のデータを誤って使える状態や、変更の連絡が届かない相手が見つかったら、保存方法、権限、連絡先を見直します。
まとめ
金型のCADデータ管理では、図面やモデルの改訂履歴を残し、製作・修理に使う承認済みの版を確認できるようにします。受け渡しでは用途に合う形式を選び、形状や寸法、関連ファイルがそろっているかを確かめます。
実際の変更や修理を例に、必要な版を取り出せるか、変更後のデータが関係者へ届くかを確認してください。作業中と承認済みのデータを識別し、更新と承認の権限を設定して運用します。
相型MATCHINGの登録企業へ相談する
金型の設計や製作の依頼先を探す場合は、相型MATCHINGで加工分野を指定して登録企業へ見積りを依頼できます。相談時には、使用するCADの形式、対象の改訂番号、必要な作業を伝えてください。
よくある質問
改訂番号と保存履歴は同じですか?
同じとは限りません。保存するたびに増える履歴と、承認や出図などの節目で付ける改訂番号を分ける仕組みがあります。使用するシステムの設定と、製作に使用する版の承認状態を確認してください。
外注先へSTEPデータを渡せば十分ですか?
必要なファイルは依頼する作業によって異なります。形状の受け渡しにSTEPを使う場合も、寸法や公差、加工条件を伝える図面などが必要かを確認します。データを開き、形状と単位が意図どおりかを確かめてください。
承認済みデータはフォルダを分けて保管しますか?
保存場所で分ける方法のほか、管理システムの承認状態で識別する方法があります。どちらの場合も、製作に使う改訂版を確認できるようにし、更新・承認・閲覧の権限を設定します。