OEE(設備総合効率)は、設備の停止、速度低下、不良による損失を含めて、生産設備の効率を見る指標です。時間稼働率・性能稼働率・良品率の計算と、設備・品番・時刻の記録から改善対象を調べる方法を解説します。
この記事で分かること
- 01稼働率とOEEの違い動いた時間と、速度・品質を含む効率の違いが分かります。
- 02計算式と具体例時間・性能・良品の割合からOEEを計算します。
- 03数値と現場の記録設備・品番・時刻を手がかりに損失を調べます。
- 04改善対象の選び方低下した指標から、調べる作業を絞ります。
設備稼働率とOEEの違い
設備稼働率を時間の割合で管理する場合は、何時間のうち何時間動いたのかを確認します。OEEは、時間稼働率、性能稼働率、良品率を掛け合わせ、停止・速度低下・不良による損失を評価する指標です。長時間動いていても、加工速度が遅い、あるいは不良が多い設備では、OEEは低くなります。
OEEでは、設備を稼働させる予定の時間である負荷時間を基準にします。負荷時間から故障や段取りなどの停止時間を引いたものが、稼働時間です。
昼休みや計画保全を負荷時間から除くかどうか、段取りや短時間停止をどの損失に含めるかは、集計する工場や設備で扱いをそろえてください。設備間や改善前後を比べる際は、稼働率という名称だけでなく、計算に使う時間と数量の定義を合わせます。
OEEの計算式と数値の読み方
OEEの内訳は、次の式で求めます。この記事の基準サイクルタイムは、対象の設備と品番で、速度低下などの損失を評価するために使う1個当たりの加工時間です。日程計画に使う時間には停止や作業の余裕を含める場合があるため、OEEの計算に使う基準時間と区別します。基準時間と稼働時間は、分や秒などの単位をそろえて計算します。生産数量には不良品を含め、良品数量はそのうち品質基準を満たす数量とします。
| 指標 | 計算式 | 低下に表れる損失 |
|---|---|---|
| 時間稼働率 | 稼働時間 ÷ 負荷時間 × 100 | 故障や段取りなどの停止 |
| 性能稼働率 | 基準サイクルタイム × 生産数量 ÷ 稼働時間 × 100 | 速度低下やチョコ停 |
| 良品率 | 良品数量 ÷ 生産数量 × 100 | 不良や手直し |
チョコ停は、設備が短時間停止することです。手直しが必要だった品物を最初から良品として数えると、その手直しによる損失が良品率に表れません。手直し品をどの数量に含めるかを記録し、期間によって数え方が変わらないようにします。
同じ設備・品番で計算する例
負荷時間480分、停止時間60分、基準サイクルタイム1分、生産数量350個、良品数量336個と仮定します。稼働時間は420分なので、時間稼働率は420 ÷ 480 × 100=87.5%です。性能稼働率は1 × 350 ÷ 420 × 100で約83.3%、良品率は336 ÷ 350 × 100で96%です。
OEEは各率を小数にして掛け合わせ、最後に100を掛けて百分率で表します。途中で丸めずに計算すると、この例のOEEは70%になります。
設備が動いた時間の割合は87.5%でも、速度低下と不良による損失を含めると、良品を作るために有効に使えた時間の割合は70%です。この数値は計算方法を示す例であり、工場共通の目標値ではありません。
同じ設備・品番で計算した性能稼働率が100%を超えた場面を仮定します。基準サイクルタイムに日程計画用の停止や余裕を含めていないか、時間単位や設備カウンタが数える数量を確認します。表示値を100%へ丸めるのではなく、元の記録と計算に使った基準時間を見直します。
設備・品番・時刻をそろえて見える化する
画面にはOEEと各率の推移を並べ、同じ期間の停止時間、生産数量、良品数量をたどれるようにします。数値が下がった日や時間帯から、そのとき動いていた設備と品番、停止理由を調べます。
異なる品番を生産する設備では、品番ごとの基準サイクルタイムを使います。まずは品番別に集計すると、作る品物の違いによる加工時間の差を踏まえて比べられます。
基準時間や負荷時間の扱いを変えた場合は、変更日と内容を残してください。集計方法の変更による数値の上昇を、現場の改善効果と取り違えないためです。
停止の時刻と理由を記録する
停止ごとに開始・終了時刻を残し、故障、段取り、材料待ちなど、そのときの状況を添えます。例えば金型交換では、予定した段取り時間と実際にかかった時間を記録します。作業の途中で工具や材料を待った場合は、待った内容も残すと、段取り作業のどこに時間がかかったかを調べられます。
稼働信号だけでは材料待ちや段取りの事情が分からない場合は、現場で確認した内容を追記します。理由が不明な停止は、分かっている時刻と設備を残し、後で当時の作業状況を調べます。
通信断や入力漏れで記録がない時間帯は「データ欠落」と表示し、停止時間がゼロだったものとして集計しないようにします。設備の点検や復旧は現場の安全手順に従い、OEEの入力を急ぐことで安全な作業を妨げないようにしてください。
生産進捗とOEEを使い分ける
生産進捗は、生産予定数量に対して何個できたかを見るものです。OEEは、設備を使う間にどのような損失があったかを調べるために使います。製造業のDXで画面を整える際も、納期に向けた進み具合と設備の損失を、それぞれの指標で追えるようにします。
OEEの内訳から改善対象を選ぶ
OEEが下がったら、時間稼働率・性能稼働率・良品率のどれが変わったかを調べます。各指標から詳しく見る内容は、次のとおりです。
| 低下した指標 | 詳しく調べる内容 |
|---|---|
| 時間稼働率 | 停止理由ごとの合計時間と回数、長く止まった設備や作業 |
| 性能稼働率 | 品番ごとのサイクルタイム、速度を落とした理由、チョコ停の回数と状況 |
| 良品率 | 不良の種類と数量、発生した設備・品番・時刻、手直しの内容 |
停止時間が長い理由を見つけたら、そのとき現場で行っていた作業を確認します。例えば段取りに時間がかかっていれば、交換前に工具や材料を用意できていたか、交換中に待ちが生じていなかったかを調べます。
速度低下や不良についても、同じ時刻の加工条件や設備の状態を調べ、対策につなげます。対策後は、同じ計算条件でOEEの内訳と停止時間・不良数量を比べ、狙った損失が減ったかを確かめてください。停止時間の短縮を進めるときも、安全に必要な点検や停止は省かず、現場の安全手順を優先します。
まとめ
OEEの見える化では、時間稼働率・性能稼働率・良品率の変化から、調べるべき損失を選びます。OEEが下がった設備・品番・時刻の記録から、停止、速度低下、不良が生じた作業を調べましょう。まずは生産への影響が気になる設備から始め、対策前後を同じ条件で比べて、損失が減ったかを確かめてください。
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よくある質問
OEEは何%を目指せばよいですか?
工場や設備によって負荷時間や基準サイクルタイムの条件が異なるため、共通の数値だけで良し悪しを決めることはできません。自社の計算条件をそろえ、減らしたい停止や不良の実績を見ながら目標を設定します。
最初から全設備のデータを表示すべきですか?
まずは停止や不良が生産に影響している設備から始める方法があります。時間と数量を安定して集められ、数値から現場の作業を調べられるようになった後に、他の設備へ広げます。
設備の信号だけで停止理由は分かりますか?
取得できる信号によります。停止の有無しか分からない場合は、材料待ちや段取りなど、現場で確認した理由を時刻とともに補ってください。