データ収集を始める方法
製造業のIoTは、設備やセンサーのデータをネットワーク経由で集め、現場の調査や点検に役立てる仕組みです。既存設備からの取得方法、短い停止を見逃す条件、通信断への備えと試験導入の手順を解説します。
この記事で分かること
- 01対象設備の選び方改善したい問題から必要なデータを考える
- 02データの取得方法既存の制御機器や追加センサーを使う
- 03記録の確かめ方取得間隔・時刻・欠損と通信断への備え
- 04試験導入の進め方記録の正しさと現場の作業負担を比べる
製造業のIoT導入で集めるデータと対象設備を選ぶ
最初に、「設備がいつ、どのくらい止まっているか分からない」「点検時以外の温度変化も把握したい」など、現場で困っていることを具体的にします。その問題を調べられる設備を選び、必要なデータを集めます。
例えば、停止時間を調べるなら、運転・停止の状態と、状態が変わった時刻が必要です。ただし、運転・停止の信号だけでは、段取り、材料待ち、故障などの理由まで区別できるとは限りません。設備の警報履歴や作業者の記録も使い、止まっていた時間に何が起きたかを調べます。
温度と製品の品質の関係を調べたい場合は、温度の記録を、同じ製品を作ったときの品番や検査結果と結び付けます。品番や検査結果は、設備から自動で取れるのか、別のシステムや人の入力で補うのかを分けて考えます。
既存設備からデータを取り出す方法を調べる
古い設備でも、制御機器にあるデータを読み取ったり、センサーを後付けしたりして収集できる場合があります。まず、設備の型式、制御機器、今ある通信機能を調べます。
PLCは、設備の動作を制御する機器です。PLC内のデータを通信で取り出す方法がありますが、対応する機種や通信方式は収集機器によって異なります。対象のPLCと収集機器の仕様を確認し、必要なデータを読み取れるか確かめてください。
| 取得方法 | 利用例 | 導入前の確認事項 |
|---|---|---|
| 制御機器から読み取る | PLCにある運転状態や加工回数を収集する | 対応機種、通信方式、読み取れる項目 |
| センサーを追加する | 既存設備の温度などを測定する | 測定する場所、取付方法、機器の使用条件 |
| 計器を撮影して読み取る | アナログメーターの指示値をデータ化する | 対応する計器、撮影条件、読み取り結果の正しさ |
方法を選ぶときは、収集機器の購入費に加え、設置・配線や設定に必要な作業を見積もります。既存の制御や配線を変更する場合は、設備の動作への影響と必要な停止時間を、設備の仕様と保全手順に照らして確認します。
取得間隔と時刻・欠損の扱いを確かめる
一定の間隔で状態を読む場合、その間に起きて終わった短い停止は記録できないことがあります。調べたい変化の速さに合わせて、機器が値を更新する間隔と、収集する間隔を確かめます。収集の設定を速くしても、元の機器の値が更新されなければ、新しい状態は得られません。
例えば、読み取り開始時と10秒後に運転状態を取得し、その間の3秒後から5秒後まで設備が停止する場面を仮定します。二つの取得時点がともに運転中なら、その記録には間の停止が残りません。収集間隔と信号の更新間隔に加え、状態が変わった時刻を記録できる機能の有無を調べます。
収集した値が設備の表示や現場の記録と一致するか確かめます。温度などの単位、数値の桁、運転と停止を表す値が正しいかを確かめてください。時刻についても、設備で状態が変わった時刻なのか、システムが受信した時刻なのかを区別します。複数の機器の記録を比較する場合は、時計のずれにも注意します。
通信の不具合などでデータを取得できなかった状態は、測定値のゼロと分けて表示・記録します。直前に取得した値を表示し続ける場合も、更新が止まっていることと最後に取得した時刻が分かるようにします。
保存先と通信が切れたときの動作を決める
データの処理・保存先には、工場内の端末やサーバー、クラウドなどの選択肢があります。現場でどれくらい早く確認したいか、他拠点とも共有するか、通信や保守にどれくらいの費用をかけられるかに応じて選びます。長期間の分析に使う場合も、クラウドが必須というわけではありません。
通信が切れた間のデータを機器に一時保存し、復旧後に送る仕組みを使う場合は、保存容量と保持期限を確かめます。どのくらいの通信停止に対応できるかは、機器の仕様や設定によって異なります。再接続した後に記録がそろうかも、試験導入で確かめてください。
ネットワークへ機器を追加する前に、製造・保全・情報システムの担当者で、現在の接続と新しい接続先を共有します。外部への通信を許可する人、設定を変更する人、不具合時の連絡先を明確にし、管理する人が分からない接続を残さないようにします。
一部の設備で試し、作業への効果を確かめる
試験導入では、普段の運転や停止を記録し、現場の状態と画面の値が合うかを確かめます。記録が抜ける場面、表示が遅れる場面、手作業で訂正する箇所を調べ、収集方法や設定を見直します。
データを表示できた後は、導入の目的に沿って仕事が変わったかを評価します。停止時間の調査が目的なら、記録を集計する時間や、停止理由を調べる手間を導入前と比べます。自動収集で減った作業だけでなく、理由の入力やデータの修正、機器の点検に増えた作業も数えます。
記録が実際の状態を表し、担当者が継続して使えることを確かめてから、対象を広げます。別の設備では通信方式や必要な記録が違う場合があるため、最初の設備と同じ方法をそのまま適用できるかを調べます。
まとめ
製造業のIoT導入では、改善したい問題を先に決め、既存設備から必要なデータを取る方法を選びます。一部の設備で記録の正しさと通信が切れたときの動作を試し、調査や集計の手間がどう変わったかを確かめます。
現場で使える記録が集まり、入力や保守も続けられることを確かめながら、導入する設備を増やしていきます。
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よくある質問
古い設備でもIoTを導入できますか?
制御機器からの読み取り、センサーの追加、計器の撮影などでデータを取得できる場合があります。設備の型式と取りたいデータに応じ、機器の仕様と取付条件を確認してください。
停止理由も自動で分かりますか?
運転・停止の信号だけでは、停止理由まで区別できるとは限りません。警報履歴や作業者による理由の入力を組み合わせ、実際にどの停止を識別できるか確認します。
クラウドを使う必要はありますか?
工場内の端末やサーバーで処理・保存する構成もあります。確認に必要な速さ、共有する範囲、通信が切れたときの動作、運用費用を比較して選びます。