鋳造材料の選び方|鋳鉄・鋳鋼・アルミニウム合金・銅合金の比較

更新日 2026/10/04(日)
鋳造
鋳造材料の選び方鋳鉄・鋳鋼・アルミニウム合金・銅合金の比較

鋳造材料は、製品に掛かる力、使う温度、腐食や摩耗への要求から選びます。鋳鉄・鋳鋼・アルミニウム合金・銅合金の特徴と、材質記号、鋳造方法、熱処理の条件を基に候補を絞る方法を解説します。

この記事で分かること

  1. 01材料の特徴鋳鉄・鋳鋼・軽金属・銅合金
  2. 02使用条件荷重・温度・腐食・摩耗
  3. 03物性の比較鋳造方法と熱処理状態
  4. 04製品の評価試験片と実製品の違い

鋳造材料の特徴と用途

鋳造材料には、鋳鉄、鋳鋼、アルミニウム合金、銅合金などがあります。必要な強さや重さ、使用環境に応じて材料群を選び、具体的な材質まで候補を絞ります。

材料特徴用途例
鋳鉄黒鉛の形状によって強さや伸びが変わる機械の土台、配管部品
鋳鋼靭性を必要とする部品の候補になる荷重や衝撃を受ける機械部品
アルミニウム合金軽量化に向き、合金ごとに鋳造性や熱処理への適性が異なる機械のケース、自動車部品
銅合金合金の種類に応じて耐摩耗性や耐食性を得られる軸受、ポンプや弁の部品

鋳鉄はFCとFCDの違いを考える

片状黒鉛鋳鉄のFCでは、黒鉛が薄い片状になっています。振動を抑えたい機械の土台などに使われます。球状黒鉛鋳鉄のFCDでは、黒鉛が球状になり、FCより高い強さや伸びを得やすくなります。実際の性質は材質の等級と金属組織によって変わるため、必要な強さや変形量に合う材質を選びます。

鋳鋼は合金成分と熱処理を具体化する

鋳鋼は、鋼を溶かして鋳型に流し込み、固めた材料です。衝撃を受ける部品などでは、破壊に耐える粘り強さを表す靭性が選定条件になります。必要な性質に応じて、合金成分と焼ならし、焼入れ・焼戻しなどの熱処理を検討します。

アルミニウム合金は軽さと製品形状を合わせて比べる

アルミニウム合金は、鋳鉄や鋳鋼より密度が低く、同じ体積なら質量が小さくなります。同じアルミニウム合金でも、けい素やマグネシウムなどの成分によって、鋳造のしやすさや熱処理後の性質が変わります。必要な強度や剛性を満たす肉厚・リブを検討し、その形状での製品質量を比較します。

銅合金は摺動と腐食の条件に合わせる

銅合金には、青銅、リン青銅、アルミニウム青銅などがあります。軸受などの摺動部品や、ポンプ、弁の部品に使われます。摺動部品では接触する相手の材質や潤滑状態、水や薬液に接する部品では流体の種類と温度を具体化し、その条件に合う合金を選びます。

使用条件から鋳造材料を選ぶ

荷重を支える部品では、力の大きさと方向、使用温度を明らかにします。繰り返し力が掛かる場合は、その回数や変動を含めて耐久性を評価します。鋳物の表面状態や欠陥も疲労に影響するため、実際の製品に対応する条件で確かめます。

水や薬液に接する部品では、流体の種類、濃度、温度に対する耐食性を調べます。例えば、海水に接するポンプ部品ではアルミニウム青銅が候補になりますが、使用する流体と部位に合う具体的な材質を選びます。

摺動部品では、接触する相手の材質、荷重、潤滑状態から、摩耗や焼付きへの要求を具体化します。軽量化を目的とする場合は、必要な強度と剛性を満たす形状にしたときの重さで材料を比較します。

鋳造方法と熱処理の条件をそろえる

材料の物性表にある数値は、鋳造方法や熱処理の状態によって変わります。合金記号に加え、砂型か金型か、熱処理を施しているか、どの温度で試験したかを確認します。

アルミニウム合金の状態を示す記号には、製造したままの状態を示すFや、溶体化処理後に焼入れし、人工時効した状態を示すT6などがあります。溶体化処理は合金成分を高温で母材中へ溶け込ませる処理、人工時効はその後に加熱して性質を調整する処理です。

AC4Cを比較する場合の見方

例えば、アルミニウム合金AC4Cの候補材を比較するとします。砂型で鋳造したままのFの値と、金型で鋳造してT6処理した値では、鋳造方法と熱処理の条件が異なります。引張強さを比較するときは、これらの条件、試験温度、試験片の採り方をそろえます。

これは材料を比較する手順を示すための検討例です。特定製品の測定値や、軽量化・強度向上の実績を示すものではありません。熱処理を予定する製品は、処理後の状態で必要な強さと寸法を満たすかを評価します。

試験片の物性と製品の性能を確認する

物性表を読むときは、試験片が製品から切り出されたものか、試験用に鋳造されたものかを確認します。製品の肉厚や形状が違うと、冷え方や内部の状態も変わります。試験片の結果が何を表すかを理解したうえで、製品に必要な機能を試作で確かめます。

荷重を受ける部品では、使用中に掛かる力、温度、繰返し条件で強度や耐久性を評価します。水を通す部品では、指定した圧力で漏れが生じるかを調べます。切削加工や表面処理が機能に関係する場合は、その作業を終えた状態で製品を評価します。

材質と検査条件を具体化する

製造に使う材質は、材料群の名称から、FC・FCDやAC4Cなどの材質記号まで具体化します。適用する規格とその版、熱処理の状態も確認します。規格値と材料メーカーの参考値は、それぞれが対象とする試験条件を読んで比較します。

寸法、強度、漏れなど、製品に必要な要求に対応する検査方法と合否基準を定めます。費用を検討するときは、鋳造、熱処理、切削加工、表面処理、検査の作業範囲をそろえます。材質変更によって追加・変更になる作業も含めて比較すると、製品を仕上げるための費用が分かります。

まとめ

鋳造材料は、製品の荷重、温度、腐食、摩耗、重さへの要求から候補を絞ります。材質記号、鋳造方法、熱処理状態を具体化し、物性値の試験条件をそろえて比較します。試作では、予定する加工や処理を終えた製品が、必要な寸法と機能を満たすかを確かめます。

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よくある質問

鋳鉄と鋳鋼は、どう選びますか?

鋳鉄はFCとFCDの黒鉛形状によって性質が変わります。鋳鋼では合金成分と熱処理を検討します。製品に掛かる荷重や衝撃、必要な強さや伸びを具体化し、それに合う材質を選びます。

アルミニウム合金の強さを比較する際は、何を見ますか?

合金記号に加え、鋳造方法、熱処理の状態、試験温度、試験片の採り方を確認します。試作品も予定する熱処理や加工を施した状態で評価します。

銅合金なら、どの流体にも耐食性がありますか?

耐食性は銅合金の種類と、接触する流体の種類、濃度、温度によって変わります。青銅、リン青銅、アルミニウム青銅などの特徴を踏まえ、使用条件に合う具体的な材質を選びます。