金型の品質は、寸法や表面、動作の検査と、その金型で成形・加工した製品の評価を通じて確かめます。品質保証の考え方と、設計審査から金型トライ、受入れまでに確認する内容を解説します。
この記事で分かること
- 01金型と製品の品質金型の検査と製品の評価を分けて考える
- 02設計審査の目的必要な製品品質を実現できる構造か検討する
- 03検査と金型トライ寸法・表面・動作と実際の製品を確かめる
- 04受入れの判断検査結果と修正後の状態を確認する
金型製作の品質保証とは
品質保証は、要求された品質を満たせることを、計画した活動とその結果で示す取り組みです。金型製作では、設計が要求に合っているか、図面どおりに作れているか、実際の成形・加工で必要な製品品質が得られるかを、段階に応じて確かめます。
金型の寸法検査と製品の評価は、確認する対象が異なります。射出成形では、金型の寸法と成形条件の両方が製品寸法に関わるため、金型の検査結果とトライ品の評価を組み合わせて判断します。
設計審査で確認する製品要求と金型構造
設計審査では、製品に必要な寸法や外観を、予定する金型構造と成形・加工方法で実現できるか検討します。図面どおりに作れる形状かに加え、製品を成形・加工して取り出せる構造かを確かめます。
例えば射出成形金型では、製品を取り出す際に引っ掛かりや変形が生じないか、抜き勾配や突き出し機構を検討します。離型性には製品形状、表面粗さ、樹脂の性質、成形品の温度なども関わるため、機構の動作と実際の成形品の状態を分けて確かめます。
製品の形状や金型構造を変更したら、関連する寸法や動作への影響も再確認します。
金型の検査で確認する項目
検査項目は、金型の種類と図面・仕様で求められる品質に合わせて選びます。寸法・形状、硬さ、表面粗さの主な確認内容と測定方法は、次のとおりです。
| 項目 | 確認内容 | 測定方法の例 |
|---|---|---|
| 寸法・形状 | 指定寸法や形状に対するずれ | ノギス、マイクロメーター、三次元測定機 |
| 硬さ | 指定した試験方法での硬さ | ロックウェル硬さ試験、ビッカース硬さ試験 |
| 表面粗さ | 指定した面の微細な凹凸 | 表面粗さ測定機 |
三次元測定機は、測定した点や面の位置から立体形状を評価する機器です。必要な精度や測る形状、部品の大きさに合った測定方法を選びます。温度や振動も測定結果に影響するため、測定環境と測定器の状態も確認します。校正の結果は、測定器の示す値が基準に対してどの程度ずれているかを知るために使います。
校正結果を確認したうえで、測る寸法に必要な精度を満たす機器を選びます。製品の合否は、製品図面の要求値と実測した結果から判定します。
硬さは、試験方法と試験条件に対応する尺度で評価します。図面・仕様で指定した方法と条件に沿って測定します。
表面粗さは、見た目に加えて滑りやすさや摩耗などに関係します。射出成形品の離型を評価する場合は、粗さの数値とトライでの取り出し状態の両方を調べます。
可動部がある金型では、組立後に動かして部品同士が干渉しないかを確かめます。射出成形金型の突き出し機構などは、機構が動くことと、成形品を傷めずに取り出せることを別々に確認します。
金型トライで確かめる製品品質
金型トライでは、製作した金型を設備に取り付け、実際に成形・加工した製品を評価します。製品図面で要求された寸法や形状、外観の基準に対して合否を確認します。
使用した材料と成形条件を記録し、製品の不良と金型の状態、条件変更の内容を対応させて検討します。射出成形なら使用樹脂、温度、圧力や時間などの成形条件を結果とともに残し、同じ条件で繰り返して品質を確かめます。
例えば離型時に傷や変形が出る場合、金型表面や抜き勾配、突き出しの状態に加え、成形品の温度なども調べます。不良の発生場所と条件を手掛かりに、金型の修正や成形条件の調整を検討します。
受入れで確認する検査結果と修正後の状態
受入れでは、金型の検査結果とトライ品の評価が、合意した図面・仕様を満たすか確認します。検査成績書では、適用した図面の番号と改訂版、測定箇所、測定値、合否基準を確認します。
図面や金型を修正した場合は、修正内容が検査・評価の結果へ反映されているかを確かめます。修正箇所に加え、影響を受ける寸法や機能を再評価し、その結果を受入れの判断に使います。
未確認の項目や不合格が残っている場合は、その内容と必要な再検査・再トライを明確にします。
例えば、金型の寸法検査は合格し、トライ品の一部に取り出し時の傷が残った場面を仮定します。金型の図面改訂版、傷の位置、使用樹脂と成形条件、突き出しの動作を記録し、修正する箇所と再トライで確認する項目を決めます。引渡し時は、確認を終えた項目と残った項目、修正内容、再検査・再トライの担当者と実施予定を伝えます。
まとめ
金型製作の品質保証では、設計審査、金型の検査、実際の成形・加工による製品評価を通じて、要求品質を満たせることを確かめます。金型の寸法・表面・動作と、その金型で作る製品の品質は、対象を分けて評価します。
検査やトライの結果には、適用した図面や実施した条件が分かる情報を残します。修正した場合は関連する寸法や機能への影響も確認し、修正後の結果を受入れの判断に使います。
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よくある質問
品質保証と品質管理はどう違いますか?
品質管理は、要求された品質を満たすために行う技術的・実務的な活動です。品質保証は、その要求を満たせることを示すための計画的な活動で、設計審査や検査・評価などの結果も根拠になります。
金型の検査に三次元測定機は必須ですか?
必要な測定方法は、評価する寸法や形状、要求精度、部品の大きさから選びます。三次元測定機は、立体形状の評価に使える方法の一つです。評価する部位と要求精度から、使用する測定機器を選びます。
検査成績書で製品の品質まで判断できますか?
金型の検査成績書は、記載された項目と条件での金型の検査結果を示します。製品が要求品質を満たすかは、実際に成形・加工した製品の評価も使って判断します。
金型を修正した後は何を再確認しますか?
修正した部分と、その変更が影響する寸法や機能を調べます。製品品質への影響がある場合は再トライで確かめ、修正後の結果で合否を判断します。