プレス製品を設計するときは、製品に必要な機能と、抜き・曲げ加工で作れる形状を両立させます。穴の近くを曲げると穴が変形したり、曲げ角度のばらつきで取付穴の位置がずれたりすることがあります。この記事では、板材から作る部品を対象に、穴と曲げの配置、曲げ半径、公差を決める際の注意点を解説します。
この記事で分かること
- 01材料と製品機能使い方を材質・板厚・形状へ反映する
- 02穴と曲げの配置穴の変形と加工順序の関係
- 03曲げ半径と角度曲げ割れとスプリングバックへの注意
- 04公差と測定基準組立に必要な寸法を図面で示す
プレス製品の設計で先に決める材料と機能
製品の形状は、取り付ける相手の部品、使用中に受ける荷重、必要な外観を考えて検討します。例えば取付穴なら、固定する位置と穴の大きさを相手部品に合わせます。曲げた面が他の部品に接する場合は、その面の位置と角度も機能に関わります。
材質と板厚によって、曲げられる半径や、穴の周囲に必要な材料の幅が変わります。材料を変更するときは、曲げ半径や穴の配置をそのまま使えるか、変更後の材料に合わせて確かめます。
穴と曲げの配置を加工順序と合わせて確認する
曲げる部分の近くに穴があると、曲げ加工で穴が変形することがあります。必要な距離は材質・板厚・穴の形状などで変わるため、穴の位置と曲げる範囲を図面やモデルで確認します。穴を離せない場合は、曲げ部に切り欠きやスリットを設ける方法も検討できます。
複数の曲げをまたぐ穴間寸法では、曲げ位置のばらつきが寸法に影響します。精度を確保する方法には、曲げた後に穴を加工する方法もあります。ただし、加工する順序を変えると金型の構造も変わるため、穴の配置と加工手順を一緒に検討します。
箱形の部品などでは、先に曲げた部分が次の曲げ加工の金型に当たることがあります。曲げの順序と金型の形状を確認し、最後の曲げまで加工できるかを確かめます。
曲げ半径とスプリングバックを分けて考える
曲げ部の内側半径を小さくしすぎると、外側に割れが生じることがあります。割れずに曲げられる限界の内側半径を「最小曲げ半径」と呼び、材質、材料の状態、板厚などによって変わります。圧延方向の影響が大きい材料では、曲げる方向にも注意が必要です。
スプリングバックは、曲げる力を除いたときに、曲げた角度が戻る現象です。設計した角度に仕上がるよう、材料と加工方法に応じて曲げ量を調整します。曲げ部の設計では、割れを防ぐ半径と、加工後に必要な角度の両方を確認します。
公差と測定基準を図面で伝える
寸法公差は、許容する寸法の最大値と最小値の差です。取付穴の位置や相手部品と接する面など、組立や機能に必要な寸法には、必要な精度に応じた公差を個別に指定します。それ以外の寸法に普通公差を使う場合は、適用する規格と等級を図面に示します。
曲げた面にある穴の位置は、曲げ位置と曲げ角度のばらつきの影響を受けます。図面では、基準にする面や穴から測定箇所までの位置関係を示し、どの寸法で組立の可否を判断するかを明確にします。曲げをまたぐ複数の寸法に厳しい公差を付ける場合は、それぞれのばらつきを含めて、必要な位置精度を満たせるか検討します。
手や配線が触れる端部は、バリによる傷にも注意が必要です。バリを除去する箇所など、寸法だけでは伝わらない仕上げの要求も図面に記載します。
例えば、取付面を固定し、曲げた面の穴で相手部品を取り付ける部品を仮定します。取付面を基準に、穴の中心位置と曲げた面の角度、組立に必要な公差を図面に示します。曲げ加工後の部品で穴の形状と位置を測定し、相手部品を組み付けられるか確かめます。穴に変形がある場合は、曲げ部からの距離、逃げ形状、曲げ後に穴を加工する方法を検討し、必要な機能と加工手順を確認します。
まとめ
プレス製品設計では、製品の使い方に合う材質・板厚・形状を検討し、穴の変形や金型との干渉が起きない配置を考えます。曲げ半径は割れを防ぐ条件から、仕上がり角度はスプリングバックを含めて検討します。
図面を見直すときは、組立に必要な穴や面の位置を確認し、その寸法公差と測定基準を示してください。形状と加工順序を合わせて検討することで、加工後の部品が必要な機能を満たすかを判断できます。
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よくある質問
曲げ半径は板厚だけで決められますか?
材質や材料の状態も確認する必要があります。同じ板厚でも曲げやすさは変わるため、使用する材料の曲げ性に合わせて内側半径を決めます。
曲げる部分の近くに穴が必要なときはどうしますか?
穴を離せるか確認し、離せない場合は曲げ部の逃げ形状や、曲げ後に穴を加工する方法を検討します。加工順序を変更する場合は、金型の構造も確認します。
曲げ角度の公差は穴の位置にも関係しますか?
曲げた面に穴がある場合は、角度のばらつきが穴の位置に影響します。組立時に必要な穴の位置精度を基に、曲げ位置と角度の公差を検討します。
図面にすべての寸法公差を個別に書く必要がありますか?
機能に必要な公差を個別に指定し、それ以外に適用できる普通公差は図面にまとめて指示できます。使用する規格と等級を明示してください。