サーボプレスのメリット|成形性・生産性と向いている加工

更新日 2026/10/02(金)
プレス金型
サーボプレスのメリット 成形性・生産性と向いている加工

機械式サーボプレスは、機種の設定範囲内でスライド速度、停止位置、保持時間を変えられます。成形性・生産性・金型への効果を判断する条件と、順送加工で変更前後を比較する例を解説します。

この記事で分かること

  1. 01モーション制御速度・停止・保持を加工に合わせる仕組み
  2. 02主なメリット成形性・生産性・金型負荷を比較する条件
  3. 03向いている加工深絞り・曲げ・鍛造・順送加工
  4. 04導入前の仕様確認製品・金型・設備・周辺装置・安全

サーボプレスの仕組みとモーション制御

本記事では、クランクやリンクなどの機構をサーボモーターで駆動する機械式サーボプレスを扱います。モーターの回転を機構へ伝え、金型を取り付けたスライドを動かします。通常のクランク式・リンク式機械プレスは、機構によってスライドの動きが決まります。機械式サーボプレスは、機種の設定範囲内でスライド速度、減速する位置、停止位置、保持時間を変更できます。

代表的な設定は、材料を加工しない空走区間を速くし、金型が被加工材へ接触する前に減速する動きです。加工中にスライドを停止する動き、下死点付近で保持する動き、上死点まで戻らずに往復する振り子モーションもあります。使用できるモーションと速度は機種によって変わります。

スライドの動き設定する内容加工で見る数値・状態
加工直前の減速減速開始位置、加工域の速度割れ、しわ、寸法、接触時の衝撃
停止・保持停止位置、保持時間、再開後の速度材料の流れ、成形高さ、戻り量、加工時間
多段・途中停止下降、停止、再下降の位置と速度成形限界、荷重、形状、表面状態
振り子モーション上昇端、送り可能高さ、加工域の速度材料送り時間、搬送時間、1分間の生産数

モーションを決める際は、加工荷重が生じる各スライド位置について、使用予定機種の加圧能力とトルク能力を確認します。加工に必要なエネルギーを仕事能力と比べ、ストロークの範囲も確認してください。モーションの変更後も、これらの能力と使用条件を満たす設定が必要です。

サーボプレスのメリット|成形性・生産性・金型への効果

サーボプレスのメリットは、加工に必要な区間へ速度変更や停止を加えられることです。製品形状、被加工材、金型に合うモーションを検討し、割れ・しわ、加工時間、接触時の衝撃がどう変わるかを試加工で比較します。設定値や荷重波形の保存には、使用する機種の記録機能が必要です。

メリットモーションの使い方効果を見る内容一緒に確認する条件
成形性を高める加工域を減速する、成形途中で停止する割れ、しわ、成形高さ、板厚、戻り量材質、板厚、金型形状、潤滑、温度
生産性を高める空走・上昇区間を速くする、振り子運転を使う1個当たりの加工時間、1分間の生産数材料送り、製品取出し、検査の所要時間
金型への負荷を抑える被加工材への接触速度を下げる衝撃、摩耗箇所、再研磨間隔刃先、ガイド、クリアランス、潤滑
加工条件を記録する製品ごとのモーションを登録し、記録機能を使う設定値、荷重波形、スライド位置、寸法の測定結果機種の記録・出力機能、測定方法

鋼板の深絞りを対象とした研究では、成形途中で一時停止するモーションにより、応力緩和を利用して成形限界を高めた結果が報告されています。効果は停止時間や温度などの条件によって変わります。また、アルミニウム合金の熱間型鍛造の研究では、スライド速度や下死点での保持によって、金型への材料の充満状態や加工荷重が変化しました。実際の製品では、材質、温度、潤滑、金型形状を含めて試加工の条件を決めます。

ラインの生産性は、プレスの動きと、材料送り、トランスファ、製品取出し、検査にかかる時間を含めて評価します。空走や上昇の時間を短縮するモーションを検討するときは、送りと搬送が完了する時間も確認してください。加工域の低速区間や保持時間を増やすと、その区間の所要時間は長くなります。機械のストローク数と、実際に同じ時間内に得られた良品数を分けて記録し、品質と生産性を比較します。

変更前後で、不良数、主要寸法、加工時間、荷重、金型の摩耗箇所と再研磨間隔を記録します。

設備費と運転費も含めて導入効果を評価してください。電力使用量を比較する場合は、生産した良品数や稼働時間も記録し、比較の条件をそろえます。

サーボプレスが向いている加工と効果が出やすい条件

加工中の速度や停止時間を変えて、材料流動、加工荷重、寸法への影響を評価したい加工では、サーボプレスを検討できます。深絞り、曲げ、コイニング、冷間・熱間鍛造、圧入、かしめなどが対象です。順送・トランスファ加工では、材料送りや搬送とスライドの動きを組み合わせて、生産時間を検討します。

加工使うモーション確認する品質・生産数金型と材料の条件
深絞り・張出し加工域の減速、途中停止、段階的な下降割れ、しわ、成形高さ、板厚分布絞り比、しわ押さえ力、潤滑、材料強度
曲げ・コイニング下死点付近の減速、停止、保持曲げ角度、戻り量、寸法のばらつき金型剛性、加圧位置、材料強度
鍛造・押出し・かしめ加工中の速度変更、多段、保持充満状態、最大荷重、寸法、表面状態素材温度、潤滑、加工荷重、金型温度
順送・トランスファ振り子運転、空走区間の高速化1分間の生産数、搬送の待ち時間送り可能高さ、工程ピッチ、搬送タイミング

現在の機械プレスで品質と生産数を満たしている高速打抜きでは、導入によって改善したい項目を明確にし、設備費や運転費を含めて比較します。材料のばらつき、潤滑不足、金型の剛性不足、刃先の摩耗が現物や記録から確認できた場合は、その問題に対応する材料管理、潤滑、金型の修正や保全を検討してください。

順送加工で振り子運転を検討する例

例えば、順送加工の上昇区間を短くしたい場合は、金型図面と現行の運転記録から、材料が金型から離れる位置、材料送りに必要な高さ、送りが完了する時間を整理します。振り子モーションの上昇端を検討する際は、パイロットの抜け、材料送り、センサーの検出、金型や周辺装置との干渉、安全機能が成立する条件を、設備・金型担当者と確認してください。

試加工では、変更したモーション、材料送りの待ち時間、不良の種類と数、主要寸法、同じ時間内に得られた良品数を記録します。送りの待ち時間が残る場合は、スライドの動きと送り側の所要時間を並べて、どの区間が生産時間を制約しているかを調べます。この例は検討の進め方であり、設定値や生産数の向上を保証するものではありません。

サーボプレスの導入前に確認する金型・設備仕様

サーボプレスを選ぶ前に、製品図面、被加工材、金型、生産予定数量を用意します。プレス機では、加圧能力、荷重が生じるスライド位置、トルク能力、仕事能力、ストローク、ダイハイト、ボルスター寸法を確認してください。

項目プレス機の選定に使う情報導入前に確認する仕様
製品・被加工材図面、材質、板厚、表面処理、要求精度、外観基準モーションで改善したい品質と測定方法
金型外形寸法、閉じた高さ、重量、取付方法、センサーダイハイト、ボルスター、クランプ、許容金型重量
加工荷重荷重、荷重が生じる位置、加工に必要なエネルギー加圧能力、トルク能力、仕事能力、能力線図
生産生産予定数量、工程ピッチ、材料供給、製品取出しストローク数、振り子運転、周辺装置との連動
品質記録記録する寸法、荷重、位置、保存期間ロードモニター、波形保存、データ出力
安全材料供給、金型交換、段取り、保全時の作業安全囲い、インターロック、非常停止、復帰手順

試加工前に準備する情報

  • 製品図面、被加工材の材質・板厚・生産予定数量を用意する
  • 既存金型の外形寸法、閉じた高さ、重量、取付方法を確認する
  • 現在の不良について、発生位置、不良数、主要寸法、金型の摩耗箇所を記録する
  • 検討する機種で使用できるモーション、加工域の加圧力、ストロークを確認する
  • 不良数、主要寸法、加工時間、荷重、金型の再研磨間隔を記録する

機械式サーボプレスの安全対策は、機種の制動機構と作業方法に合わせて設計します。プレス機械構造規格では、サーボシステムによる減速・停止に故障が生じた場合にも、スライドを停止できるブレーキを要求しています。また、安全装置管理指針は、機械的摩擦を利用したブレーキを備えない機械式サーボプレスについて、安全囲いなどで身体が金型の危険な箇所へ入らないノー・ハンド・イン・ダイの措置を求めています。設備・安全担当者と使用機種に適用される要件を確認し、材料供給、金型交換、段取り、保全時の作業方法へ反映してください。

まとめ

サーボプレスを検討するときは、改善したい不良、加工時間、金型の状態を先に記録します。使用予定機種で設定できる速度・停止・保持と、加工位置ごとの能力、金型と周辺装置の条件を確認してください。

試加工では、材質や金型の条件をそろえて、品質、実際の良品生産数、加工時間、荷重、金型の状態を変更前後で比較します。設備費・運転費と安全条件も含めて、対象製品に対する導入可否を判断してください。

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よくある質問

サーボプレスの主なメリットは何ですか。

機種の設定範囲内で、加工域の速度、停止位置、保持時間を変えられることです。製品と金型に合わせて、成形性、加工時間、接触時の衝撃への影響を試加工で評価します。

サーボプレスで金型寿命を延ばすには何を確認しますか。

被加工材への接触速度、加工中の荷重、潤滑、刃先やガイドの摩耗を確認します。接触時の衝撃を抑えるモーションを検討し、変更前後の金型の状態と再研磨間隔を記録して効果を比較してください。

サーボプレスで生産性を高めやすい加工は何ですか。

加工しない区間の時間を短くでき、材料送りや搬送もその動きに対応できる加工で検討します。順送・トランスファ加工では、送り可能高さや待ち時間を調べ、実際の良品数を変更前後で比較してください。

既存金型をサーボプレスで使用できますか。

金型の閉じた高さ、外形寸法、重量、取付方法と、加工荷重が生じる位置を使用予定機種の仕様と比べます。さらに材料送り、センサー、安全機能、動作中の干渉を設備・金型担当者と確認し、試加工の条件と安全対策を決めます。使用可否は、対象の金型と機種ごとに判断してください。

サーボプレスの導入効果はどの数値で比較しますか。

不良数、主要寸法、加工時間、同じ時間内に得られた良品数、金型の再研磨間隔、電力使用量、設備費・運転費を比較します。荷重波形やスライド位置を保存できる機種では、設定値と加工結果も記録します。