金型温調機の選び方|温度・流量・加熱・冷却能力

更新日 2026/10/01(木)
射出成形
金型温調機の選び方温度・流量・加熱・冷却能力

金型温調機は、温度を調整した水や油を金型内へ循環させ、金型温度を安定させる設備です。使用樹脂に必要な金型温度と、金型水路で確保できる流量を基に選びます。加熱・冷却能力や接続条件の確認と、試作での温度測定について解説します。

この記事で分かること

  1. 01金型温度樹脂グレードと製品品質に合う温度
  2. 02媒体と流量水・油の特徴と金型接続後の流量
  3. 03加熱・冷却能力立ち上げと成形中に必要な能力
  4. 04温度の測定媒体表示と金型の実測値の違い

金型温調機の役割と金型温度の設定

金型温調機は、金型内の流路に水や油を送り、金型と媒体の間で熱をやり取りする装置です。立ち上げ時には金型を温め、成形中は媒体を加熱・冷却して金型温度を調整します。

開いた金型の成形面

金型温度は、使用する樹脂グレードの推奨範囲を基に設定します。例えばABS樹脂では、金型温度が表面状態や残留応力に影響し、高くすると冷却に時間がかかる傾向があります。PPS樹脂では、金型温度による結晶化の進み方が、成形品の外観や寸法、物性に影響します。

試作では、設定温度を変えたときの成形品の外観・寸法と冷却時間を確認し、品質基準を満たす条件を探します。具体的な温度範囲は、使用グレードの技術資料で確認してください。

使用温度に合う媒体を選ぶ

金型温調機の媒体には、水や油が使われます。水を高温で循環させる装置には、加圧して沸騰を抑える仕組みを備えたものがあります。加圧水も水を使う方式であり、選定時は使用温度と運転圧力を確認します。

媒体装置の特徴必要な仕様
水高温用には加圧して循環させる機種がある使用温度、運転圧力、必要な給水条件
油機種で指定された熱媒体油を循環させる油の種類、使用温度、冷却水の供給条件

使用できる最高温度は機種によって異なります。媒体の種類と温度に適合する金型・ホース・継手を組み合わせます。

金型温調機の流量と実際の金型温度を確認する

媒体が金型の流路を通るときには、流れを妨げる抵抗が生じます。水路や配管の抵抗が大きい条件では、その抵抗に対して必要な流量を送れるポンプを選びます。

カタログのポンプ性能曲線は、吐出量と揚程の関係を示します。揚程はポンプの能力を高さで表す指標で、配管の抵抗や必要な圧力も考慮して確認します。最大流量と最大吐出圧は同時に得られる値ではないため、必要な流量に対応する揚程を性能曲線で確認します。運転開始後は、実際に金型を接続した状態で流量を測定します。

温調機の表示値と金型の測定値を区別する

媒体温度で制御する温調機の表示値は、装置内のセンサが測った水や油の温度です。表示する測定位置や、金型温度による制御機能の有無は、機種の仕様・取扱説明書で確認します。

金型の温度を把握するには、金型に設置した温度センサなどで実測します。表面温度センサという名称でも、検出部が金型表面より内側にある製品があるため、測定位置と検出部の深さを確認してください。成形開始から温度が安定するまでの変化も、測定結果から確かめます。

試作の記録には、次の情報を残すと、温調機の運転状態と成形品の品質を比較できます。

  • 温調機の設定温度と、媒体温度の測定値
  • 金型の測定位置・測定タイミングと温度
  • 金型を接続した状態の媒体流量
  • 成形品の外観・寸法、冷却時間と成形条件

金型温調機の選定で確認する仕様

金型温調機を選ぶ際は、使用温度とポンプ性能に加え、加熱・冷却能力、配管、電源の条件を確認します。既存機を使う場合も、接続する金型と予定する成形条件に対応できるかを確かめます。

加熱能力と冷却能力をそれぞれ確認する

加熱能力は、金型と媒体を温める能力で、立ち上げにかかる時間に関係します。ヒーター容量と、金型の大きさや目標温度を確認し、試作で温度の上がり方を測ります。

冷却能力は、成形中に金型へ入る熱を取り除く能力です。ヒーター容量と冷却能力は異なる仕様なので、それぞれの値を確認します。冷却能力の掲載値には、冷却水の温度・圧力・流量や媒体温度などの条件が付いています。実際に供給できる冷却水と運転条件で、必要な冷却能力を得られるかを確かめます。

チラーは冷却液を冷やして循環させる装置で、金型温調機の媒体の種類とは区別します。使用する場合は、冷却液温度や周囲温度など、冷却能力の条件を確認してください。

接続と運転に必要な情報をそろえる

候補機を比較するときに使う情報を、次の表にまとめます。

仕様項目必要な条件・情報確認資料
媒体・使用温度樹脂グレードの推奨金型温度、装置の使用温度範囲樹脂の技術資料、温調機の仕様書
ポンプ性能金型流路の径・長さ・回路数、必要流量と流路抵抗金型の流路図、配管図、ポンプ性能曲線
加熱・冷却能力立ち上げ時間、成形条件、供給する冷却水の温度・圧力・流量温調機の能力表・注記、試作時の記録
接続部材媒体・温度・圧力への適合、接続口径、ホースの長さ金型図、ホース・継手の仕様書
電源・監視機能電圧、周波数、電気容量、温度表示と警報の内容温調機の仕様書・取扱説明書

ホースは、装置の最高温度と最高圧力に耐え、使用媒体に適合するものを選びます。接続口径と必要な本数も、金型の回路構成に合わせて確認してください。警報や監視機能は機種やオプションによって異なるため、標準仕様に含まれる内容を確認します。

測定条件と試作品を対応させて記録する

試作の記録には、温調機の機種、金型、樹脂グレードと成形条件を記載します。媒体流量は、測定箇所と金型の回路を記し、装置全体の値と各回路の値を区別します。

金型温度は、測定位置、センサの検出部の深さ、測定タイミングをそろえて比較します。成形開始からの経過時間やショット数も残すと、立ち上げ時と連続成形中の測定結果を区別できます。

試作品には識別番号を付け、多数個取りではキャビティ番号も記録し、その製品を採取した時点の温度・流量と外観・寸法の結果を対応させます。測れなかった項目は未測定とし、設定値を実測値として記載しないでください。

設定温度や配管を変えた場合は、変更内容と変更前後の測定条件を記録します。温度が安定したと判断する条件や品質の合格条件は、製品と量産時の条件に合わせて関係者と決めます。

まとめ

金型温調機は、樹脂と製品品質に必要な温度、金型接続後の流量、予定する運転条件での加熱・冷却能力から選びます。候補機の性能曲線と能力表を読み、冷却水や配管、電源の条件まで確認してください。

運転開始後は、温調機の表示と金型の実測温度を区別し、成形品の外観・寸法と合わせて評価します。機器の仕様と試作結果がそろうことで、予定する成形条件で使えるかを判断できます。

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よくある質問

水用と油用の金型温調機はどう選びますか?

必要な使用温度に対応する機種と媒体を選びます。水を加圧して高温で使う機種もあるため、温度と圧力、配管部材への適合を確認してください。油用は機種で指定された媒体を使います。

温調機の表示温度を金型温度として扱えますか?

媒体温度を表示する機種では、表示値は水や油の温度です。金型温度は金型のセンサなどで測定し、検出部の位置も確認してください。

ポンプの最大流量は金型接続後も出ますか?

実際の流量は、ポンプ性能と金型・配管の抵抗によって変わります。性能曲線で必要な流量に対応する揚程を確認し、金型接続後の流量を測定します。

冷却能力の数値はどの条件で比較しますか?

能力表の注記にある冷却水温度・圧力・流量や媒体温度を確認します。実際に供給できる冷却水と運転条件を基に比較してください。

既存の温調機を使えるか確認するには何が必要ですか?

使用樹脂の推奨金型温度、金型の流路図、予定する成形条件と、温調機の仕様書を用意します。使用温度、実流量、加熱・冷却能力、配管と電源の適合を確認し、試作で金型温度と製品品質を評価します。