樹脂乾燥機の選び方|乾燥条件と必要な処理量

更新日 2026年10月4日
射出成形
樹脂乾燥機の選び方乾燥条件と必要な処理量

射出成形用乾燥機は、成形前の樹脂ペレットから水分を減らす設備です。使用グレードの乾燥条件と、1時間当たりの材料使用量に合う機種を選びます。乾燥方式の違い、露点と含水率の関係、必要なホッパー容量の求め方を解説します。

この記事で分かること

  1. 01材料と乾燥方式グレードと保管状態から選ぶ
  2. 02露点と含水率空気と材料の水分の違い
  3. 03処理量と容量使用量・時間・かさ密度
  4. 04乾燥条件と保管過乾燥と再吸湿への対策

射出成形用乾燥機の役割と選定に必要な条件

射出成形では、樹脂ペレットを加熱して溶かす前に、材料が必要とする水分状態に整えます。乾燥機はペレットに熱を与え、内部や表面の水分を外へ出すための設備です。

樹脂のグレードと保管状態に応じた乾燥条件

ポリアミド(PA、ナイロン)は空気中の水分を吸収します。ただし、防湿包装を開封して直ちに使う出荷条件では、予備乾燥を不要としている材料もあります。開封後に保管した材料には、吸湿した程度に応じた乾燥が必要です。

一方、ポリフェニレンサルファイド(PPS)は吸湿性が低い樹脂ですが、メーカーの資料ではペレット表面の水分を取り除く予備乾燥が推奨されています。吸湿性の高低だけでなく、使用グレードと包装・保管状態から乾燥条件を確認します。

ポリカーボネート(PC)は、水分を含んだ状態で溶融すると加水分解し、強度が低下することがあります。外観に目立った異常がなくても水分の影響を受けるため、材料の含水率を使用グレードの条件に合わせることが重要です。

乾燥方式は水分を除く仕組みから選ぶ

乾燥機には、次のような方式があります。除湿乾燥機も熱い空気を使いますが、空気中の水分を取り除いてからペレットへ送る点が、外気をそのまま加熱する熱風乾燥機と異なります。

乾燥方式の例水分を除く仕組み使用条件
熱風乾燥外気を加熱してペレットに通し、水分を空気とともに排出する取り入れる空気の湿度によって、必要な乾燥状態まで達しにくい場合がある
除湿乾燥水分を取り除いた空気を加熱してペレットへ送る空気の露点に加え、乾燥温度・風量・時間を満たす必要がある
真空乾燥容器内を減圧して水分の蒸発を促す。伝導加熱式では容器の壁などから熱を与える使用材料に適した温度・時間と、機器が扱える処理量を確認する

乾燥機を選ぶ際は、材料メーカーが指定する乾燥方法・温度・時間・目標含水率を満たせるかを確認します。

除湿乾燥機の露点・風量・処理量

露点は空気、含水率は材料の指標

露点は、空気を冷やしたときに水分が結露し始める温度です。同じ圧力では、露点が低いほど空気に含まれる水蒸気が少ないことを示します。

含水率は、ペレットに含まれる水分の割合です。乾燥機の露点が所定の値でも、乾燥時間が足りない、ペレット全体が十分に温まっていないといった状態では、必要な含水率まで下がらない場合があります。乾燥後はペレットの含水率を測定し、使用グレードで推奨される範囲にあるか確認します。測定方法や条件は、材料メーカーの指定を確認してください。

含水率を調べるときは、乾燥機出口と成形機へ投入する直前の材料を、指定された採取方法で測定します。乾燥機内でペレットが必要な温度に達しているかも確かめ、搬送中の吸湿と乾燥不足をそれぞれ調べます。

風量は、ペレットへ熱を運び、水分を含んだ空気を流すために必要です。機器の仕様を読む際は、風量の値だけでなく、想定する仕込量と乾燥温度で使える値かを確認します。

材料使用量と乾燥時間からホッパー容量を求める

まず、乾燥機から成形機へ供給する材料の使用量をkg/hで求めます。製品になる分に加え、同じ乾燥機を通して投入するランナーなどの材料も含めます。複数の成形機へ供給するときは、同時に使う量を合計します。

連続して材料を取り出す場合、ホッパー内に必要な材料量の概算は「材料使用量(kg/h)×所定乾燥時間(h)」です。容積をLで求めるには、この材料量を使用材料のかさ密度(kg/L)で割ります。

かさ密度は、ペレット同士のすき間を含む容積に対する質量です。樹脂そのものの密度とは異なり、粒の形や詰まり方でも変わります。カタログの容量がkg表示の場合は、どのかさ密度で換算した値かを確認してください。

計算例として、1ショットに投入する製品とランナーの合計質量を0.12kg、成形サイクルを30秒と仮定します。同じ乾燥機を通る材料を連続して使うなら、材料使用量は0.12×3600÷30=14.4kg/hです。このショット質量にはランナーを含めているため、別に加算する必要はありません。

この材料に指定された乾燥時間を仮に4時間、投入材料のかさ密度を仮に0.60kg/Lとすると、必要な材料保持量の概算は14.4×4=57.6kg、保持容積は57.6÷0.60=96Lです。4時間と0.60kg/Lは計算の仮定で、特定樹脂の推奨値ではありません。実機の有効容量と材料の流れ、昇温時間を確認して機種を選定します。

量・単位意味確認する条件
処理量(kg/h)単位時間に乾燥できる材料の質量対象材料、乾燥温度、所定乾燥時間
材料量(kg)ホッパー内に保持する材料の質量時間当たりの使用量、必要な滞留時間
容積(L)材料を入れられるホッパーの有効容積使用材料のかさ密度、機器の容量表示の換算条件
風量(m³/h)単位時間に流れる空気の体積仕込量、乾燥温度、メーカーの測定条件

計算上の容量を満たしても、一部の材料が先に排出されたり、温まり方に偏りがあったりすると、必要な乾燥状態に達しない場合があります。機種を選ぶ際は、ホッパー内の材料の流れと昇温時間を含め、予定する使用量で所定の乾燥状態を保てるかを確認します。

樹脂グレードに合わせた乾燥温度・時間の設定

使用グレードの条件を読み、過度な乾燥を避ける

乾燥温度と時間は、使用するグレードに対するメーカーの推奨条件に合わせます。例えばABS樹脂では、一般用と耐熱用などでメーカーの推奨条件が異なります。使用グレードの資料で、指定された乾燥方法と包装・保管条件を確認してください。

高温・長時間の乾燥では、材料ごとの影響にも注意します。PAの熱風乾燥には酸化による変色への注意があり、PPSには過度な乾燥によって可塑化が不安定になる場合があります。温度を上げたり時間を延ばしたりする前に、そのグレードで許容される条件を確認します。

乾燥後は保管・搬送中の再吸湿を抑える

乾燥したペレットも、外気に触れると再び水分を吸収する場合があります。乾燥機から成形機までの搬送経路やホッパーでは、外気との接触を抑えられる構成を選びます。低露点の空気で搬送する設備もありますが、その機能の有無と対象材料への適合を確認してください。

ライン停止後の再開時は、材料が外気に触れた時間や保管状態を確認し、使用グレードの条件に従って再乾燥の要否を判断します。材料替えを行う設備では、前のペレットがホッパーや配管に残らないよう、排出・清掃できる構造も確認します。

まとめ

射出成形用乾燥機は、使用グレードと包装・保管状態から必要な乾燥条件を確認して選びます。材料の含水率と乾燥空気の露点を区別し、方式・温度・時間・風量を含めて仕様を確認してください。

必要な材料保持量は時間当たりの使用量と乾燥時間から、ホッパー容積はさらに材料のかさ密度から求めます。実際の材料の流れや昇温時間、乾燥後の再吸湿まで考慮することが、成形機へ必要な状態の材料を供給するために大切です。

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よくある質問

熱風乾燥機と除湿乾燥機は何が違いますか?

外気を加熱する熱風乾燥機に対し、除湿乾燥機は空気中の水分を取り除いてから加熱してペレットへ送ります。取り入れる空気の湿度の影響を考え、使用グレードが必要とする乾燥条件を満たせる方式を選びます。

露点が低ければ、材料は十分に乾燥していますか?

露点は空気の水分状態を示し、材料の含水率を直接示す値ではありません。材料が十分に温まったか、所定の乾燥時間を確保したかも確認します。乾燥後の含水率を測定し、使用グレードで推奨される範囲にあるか確かめます。

ホッパー容量はどう求めますか?

連続使用時の材料保持量の概算は、材料使用量(kg/h)に所定乾燥時間(h)を掛けた値です。容積(L)へ換算するときは、使用材料のかさ密度(kg/L)で割ります。実機では材料の流れや昇温時間も含め、必要な乾燥状態を保てるかを確認します。

長時間乾燥させれば品質はよくなりますか?

使用グレードで推奨される温度・時間に合わせます。PAでは熱風乾燥中の酸化変色、PPSでは過度な乾燥による可塑化の不具合への注意があるため、一律に乾燥時間を延ばすことはできません。

乾燥後の再吸湿を抑えるにはどうしますか?

保管容器、搬送経路、成形機のホッパーで外気との接触を抑えます。停止後に使う材料は、外気に触れた時間や保管状態を確認し、使用グレードの条件から再乾燥の要否を判断します。