プレス作業では、通常運転、材料投入、製品取出し、金型交換、調整、清掃で危険箇所が変わります。作業方法とプレス機の停止時間を基に、安全囲い、ガード、インターロックなどを確認します。
この記事で分かること
- 01作業別の危険箇所通常運転、金型交換、調整、清掃
- 02防護装置の種類安全囲い、ガード、インターロック
- 03光線式安全装置停止時間、安全距離、防護高さ
- 04点検と管理作業開始前点検、特定自主検査
プレス機の安全対策に関係する法令を確認する
プレス作業では、労働安全衛生法と労働安全衛生規則に基づく安全対策が必要です。原則として、安全囲いなどにより、作業者の身体が金型やスライドなどの危険な範囲へ入らない措置を講じます。作業の性質上それが難しい場合は、プレス機の種類や停止性能、作業方法に合う安全装置を取り付けるなどの措置が必要です。
動力プレスは、1年以内ごとに1回の特定自主検査の対象です。1年を超えて使用しない期間はこの検査の例外となりますが、使用を再開するときに検査が必要です。検査は所定の資格を持つ者または登録検査業者が行い、結果を3年間保存し、実施年月が分かる標章を貼り付けます。これとは別に、その日の作業開始前にも点検が必要です。異常が見つかった場合は、補修などの必要な措置を講じます。
動力プレスを5台以上保有する事業場で当該機械による作業を行う場合は、技能講習修了者からプレス機械作業主任者を選任します。動力プレスの金型、安全装置、安全囲いの取付け・取外し・調整を行う業務には、特別教育が必要です。
本記事は2026/10/02(金)に確認した法令に基づいています。個別設備の防護と点検方法は、機械と安全装置の取扱説明書を使い、設備メーカー、保全担当者、社内の安全管理担当者と具体化してください。
プレス作業の危険な箇所を確認する
安全装置を選ぶ前に、作業者の手や体が金型やスライドなどの危険な部分に近づく場面を確認します。通常運転中に手を金型内へ入れない作業でも、材料交換、金型交換、調整、詰まり除去、清掃では作業者が設備へ近づきます。作業ごとに危険な箇所を確認してください。
金型交換を行う前に、金型の固定方法、荷重中心、運搬時の吊り方、可動部品の抜け止めを確認します。安全装置を追加する場合も、安全囲いや搬送装置との干渉、材料とスクラップの通り道、点検時の作業場所を整理してください。
危険な範囲への進入を防ぎます。開口部の防護は、プレス機の急停止機構と作業方法に合う装置を選びます。
| 作業方法 | 主な危険源 | 優先する防護 | 相談時に共有する情報 |
|---|---|---|---|
| 自動運転 | スライド下降、材料送り、スクラップ排出 | 安全囲い、固定ガード、インターロック | プレス機・送り装置の仕様、製品の搬出方法 |
| 手作業での材料投入 | 金型への手指の進入、スライドによる挟まれ | 急停止機構と操作方法に適合する両手操作式・光線式、安全金型による進入防止 | 作業姿勢、材料の投入・製品の取出し方法、停止時間 |
| 金型交換 | 金型の落下・ずれ・固定不足、スライドの不意下降 | 固定・運搬手順、危険限界に身体が入るときの安全ブロック等 | 金型重量、取付寸法、クランプ方法 |
| 調整・試作 | 寸法確認中の接近、意図しない起動 | 作業モードに適合する防護、金型調整時の寸動等、不意下降防止 | 調整内容、作業者の位置、停止後の復帰手順 |
| 清掃・保守 | 油圧や空気圧の残圧、周辺装置の動作 | 設備に応じた動力の遮断・残圧の解放、再起動防止、点検記録 | 清掃範囲、点検頻度、周辺装置の一覧 |
金型の取付け・取外し・調整で身体の一部が危険限界に入るときは、安全ブロックを使用するなど、スライドの不意下降を防ぐ措置が必要です。金型調整のためスライドを動かす場合は、寸動機構がある機械では寸動、それ以外では手回しによることが定められています。具体的な作業方法は機械の仕様に合わせて定めます。非常停止は異常時に動作を止める付加的な保護であり、通常作業での進入防止と併せて設けます。
安全囲い・ガード・検知装置を配置する
最初に、安全囲いや固定ガードによって、作業者が危険な範囲へ入れない構造を検討します。開口部が必要な場合は、急停止機構の有無と操作方法に適合する安全装置を選びます。急停止機構を備えるプレス機では、光線式安全装置や安全一行程式の両手操作式などが選択肢です。急停止できない機械では、検知して途中で止める光線式を選べません。停止を確認してから開けられるインターロックガード式など、機械に適合する防護を検討します。
金型交換、調整、材料詰まりの除去、清掃では、作業者が金型や周辺装置へ近づきます。安全装置の追加や設備改造を設備メーカーまたは安全装置メーカーへ相談するときは、加工方法、プレス機のストローク数(spm)と停止時間、金型の交換頻度、調整と清掃の内容、現在使用している安全装置、作業者の立ち位置を伝えます。
| 防護方式 | 使用例と注意点 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 安全囲い | 自動運転や搬送装置を備えたラインで使用する。材料交換や清掃に必要な開口部を確認する。 | スクラップの排出経路、搬送装置、点検場所、開口部、インターロック、非常停止 |
| 固定ガード | 危険な部分へ近づかない作業で使用する。金型交換などで取り外す場合の手順を決める。 | 金型の外形、材料の通り道、干渉箇所、ガードの取付方法、取り外す手順、点検方法 |
| 開閉式ガード | 材料の投入や製品の取出しで開閉が必要な作業に使用する。開閉回数と作業時間を確認する。 | 閉じなければ起動しない機能、停止確認後に開く方式と開放停止型の適合、復帰手順 |
| 光線式安全装置 | 急停止機構を備えるプレス機で使用する。停止性能に応じた安全距離と防護高さが必要。 | 金型前面、ボルスター前端、作業者の位置、停止時間、光軸、有効距離、上下・側面の防護 |
| 両手操作式 | 両手起動式と安全一行程式を区別する。安全一行程式は危険な閉じ行程中に手を離すと停止する。保護対象は操作者である。 | 材料保持の必要性、機械と方式の適合、同時操作と再起動条件、操作部から危険限界までの距離 |
| 安全金型 | 手指が危険な部分へ入らない構造の金型。使用できるかは製品形状、材料送り、抜きカスの排出方法も含めて検討する。 | 金型の隙間、材料ガイド、可動部品の抜け止め、プレス機に設置された安全装置との組み合わせ |
安全装置を選ぶ前に確認する内容
- STEP 1作業を分ける通常運転、材料交換、金型交換、調整、清掃に分けて、危険な箇所を確認する。
- STEP 2進入を防ぐ安全囲いやガードで、危険な部分へ手や体が入らない構造にする。
- STEP 3機械と装置の適合を調べる急停止機構と操作方法を調べ、安全装置の表示で使用できる機械の範囲を確かめる。
- STEP 4停止時間を確認する停止時間、安全距離、停止後の復帰手順、点検記録を確認する。
使用できる安全装置は、プレス機の種類と停止時間、金型を閉じたときの高さ、ストローク長さ、材料の投入・搬出方法によって異なります。候補となる安全装置の表示と取扱説明書で、使用できるプレス機の範囲を確認してください。
光線式安全装置と停止時間を確認する
光線式安全装置は、投光器と受光器の間の光線が遮られたことを検出し、急停止機構を備えるプレス機を停止させる装置です。安全装置の表示と取扱説明書で、有効距離、防護高さ、検出から急停止機構が作動を開始するまでの時間、使用できる機械の停止時間、安全距離を確認します。最上部の光軸より上、最下部より下、側面や背面から危険な範囲へ入る経路にも防護が必要です。
光線式の安全距離は、装置の遅動時間と機械の急停止時間を合わせた時間に基づき、連続遮光幅に応じた追加距離も含めて算定します。機械の停止性能を測定し、装置が使用できる停止時間の範囲内であることと、実際の光軸から危険限界までの距離を確かめます。取扱説明書の条件と測定結果を使って配置を決めるため、機械を特定しない一律の距離は示せません。
公表された災害事例では、金型内に手を入れたまま落とした製品を拾おうとしゃがみ、腕が光線の検出範囲より下へ外れたことでプレス機が起動し、手が挟まれました。この事例を踏まえ、立っているときの正面だけでなく、下方から危険箇所へ届く経路を金型・ボルスターと光軸の位置関係から調べます。
制御機能付き光線式安全装置は、光線の遮断で停止し、遮光が解消された後、規定の条件で機械を起動する機能を備えます。通常の光線式とは起動機能が異なり、使用できるプレス機の寸法条件や起動準備の操作も構造規格で定められています。表示と取扱説明書を使って、機械の適合、設置条件、起動準備、運転モードの切替えを確認します。
| 項目 | 見る理由 | 現場で確認する箇所 | 相談先 |
|---|---|---|---|
| 安全距離 | 検知後に危険限界へ到達する前に止めるため | 作業者の立ち位置、ボルスタ前端、材料投入位置 | 設備メーカー、安全管理担当者 |
| 防護高さ | 身体の一部が光軸を避けて入らないようにするため | 金型を閉じたときの高さ、開口部、上方・下方の隙間 | 設備メーカー |
| 停止時間 | 安全距離の前提になるため | クラッチ・ブレーキ、停止性能、点検結果 | 設備メーカー、保全担当者 |
| ガード・囲い | 側方や背面からの進入を防ぐため | 材料供給側、製品取り出し側、スクラップ排出側 | 設備メーカー、安全装置メーカー |
| 金型交換 | 固定・運搬時の金型のずれや落下、交換時のスライドの不意下降に備えるため | クランプ、吊り具、安全ブロック、型ずれ防止 | 金型メーカー、保全担当者 |
| 点検記録 | 設置後も安全装置が作動するか確認するため | 作業開始前点検、特定自主検査、異常と補修の記録 | 安全管理担当者、保全担当者 |
金型交換の前に、金型の質量、固定方法、吊り具、金型を閉じたときの高さ、ボルスター寸法、作業場所、周辺装置との干渉を確認します。他工場から移した金型や既存の金型を使う場合は、過去の加工条件、固定方法、破損履歴、修正履歴も記録してください。
安全装置の選定に必要な情報
- プレス機の種類、加圧能力、ストローク長さ、1分間のストローク回数(spm)、ボルスター寸法
- 金型寸法、質量、取付寸法、固定方法、金型を閉じたときの高さ
- 加工方法、材料投入方法、製品取り出し方法、スクラップ排出方法
- 金型交換頻度、調整作業の内容、清掃・保守で近づく場所
- 既存安全装置、停止時間、非常停止、インターロック、点検記録
- 作業者の立ち位置、周辺設備、安全教育の実施記録、作業主任者、社内の安全管理担当者
自社のプレス機に安全装置を追加・更新するときは、プレス機の種類、停止性能、制御方式を確認し、安全装置がそのプレス機で使用できるかを表示や取扱説明書で確認します。設置後の作動確認、作業開始前点検、特定自主検査を含む点検・管理方法についても、設備メーカー、保全担当者、社内の安全管理担当者と確認してください。
まとめ
プレス作業の安全装置は、危険な範囲への進入を防ぐ措置を基本として選びます。通常運転と金型交換・調整・清掃を分けて危険箇所を調べ、開口部の防護は急停止機構と操作方法に適合する装置で行います。金型交換などで身体が危険限界に入るときは、不意下降を防ぐ措置も必要です。
光線式では、停止性能に応じた安全距離、防護高さ、上下・側面・背面の防護を確認します。選定時に機械の仕様と測定結果をそろえ、設置後も作業開始前点検と特定自主検査を実施してください。主任者の選任と特別教育は、それぞれの対象条件に応じて行います。
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よくある質問
プレス機の安全装置にはどのような種類がありますか?
安全囲い、固定ガード、インターロックガード式安全装置、両手操作式安全装置、光線式安全装置などがあります。急停止機構の有無と操作方法を先に調べ、装置の表示から使用できる機械の範囲を確かめます。
プレス金型の安全対策では何を確認すべきですか?
金型の固定方法、荷重中心、運搬時の吊り方、可動部品の抜け止めを確認します。金型の取付け・取外し・調整で身体が危険限界に入るときは、安全ブロック等によるスライドの不意下降防止も必要です。
光線式安全装置はどのような仕組みですか?
光線の遮断を検出し、急停止機構を備えるプレス機を停止させる装置です。装置と機械の停止性能に応じた安全距離、防護高さ、上下・側面・背面からの進入防止が必要です。
制御機能付き光線式安全装置とは何ですか?
光線を遮ると停止し、遮光が解消された後、規定の条件で機械を起動する機能を備えた装置です。使用できる機械の寸法条件、設置条件、起動準備の操作も定められているため、通常の光線式との違いを設備仕様と併せて確認します。
安全装置を選ぶ前に何を伝えればよいですか?
プレス機については、種類、加圧能力、ストローク長さ、1分間のストローク回数、停止時間を伝えます。金型寸法、材料の投入方法、製品の取出し方法、金型交換の頻度、現在使用している安全装置、作業者の立ち位置も必要です。