射出成形の焼けの原因|ガス抜き・樹脂の滞留・せん断発熱

更新日 2026/10/05(月)
プラスチック成形
射出成形の焼けの原因ガス抜き・樹脂の滞留・せん断発熱

射出成形の焼けは、樹脂が過熱によって変色・炭化し、成形品に褐色や黒色の跡が現れる不良です。発生位置や停止・再起動の前後での変化から、金型内の排気と樹脂の熱履歴を調べます。ガスの圧縮、樹脂の滞留、流動時の発熱の仕組みと、原因に応じた対策を解説します。

この記事で分かること

  1. 01焼けの現れ方発生位置と跡の特徴
  2. 02金型内のガス抜き圧縮による焼けとベントの詰まり
  3. 03樹脂の劣化高温での滞留と流動時の発熱
  4. 04対策後の評価外観・寸法などの要求品質

射出成形の焼けとは

焼けは、過熱によって樹脂が褐色や黒色に変色したり、炭化したりして生じる跡です。金型内で空気やガスが圧縮される場合と、シリンダーなどで樹脂が熱によって劣化する場合では、対策する箇所が異なります。

金型内での焼けは、樹脂が最後に到達する流動末端や、流れが合流してガスが閉じ込められる箇所に現れることがあります。停止後に変色や筋が増える場合は、成形機内で樹脂が高温にさらされた時間も調べます。

黒い点や筋には、異物の混入によるものもあります。また、銀色の筋が現れるシルバーストリークは、水分や巻き込まれた空気、分解ガスなどで生じる不良です。色・形・発生位置を記録し、焼けと似た外観の不良も区別して調べます。

現れ方調べる対象考えられる理由
流動末端や袋状の部分に集中するその位置のガスベントと、金型外へ通じる排気経路逃げ場のない空気やガスが圧縮され、高温になることがある
停止後や材料切替後に変色・筋が増えるシリンダー・ノズル・ホットランナーの温度と滞留履歴高温での滞留による劣化や、前の材料の残留が関係する場合がある
狭いゲートの近くに跡が出るゲート・ランナーの断面と、そこを通るときの射出速度狭い流路での発熱が関係する場合があるため、排気の状態と併せて調べる

表は調査の手掛かりとなる例です。発生位置と発生時期、材料・成形条件の変化を調べ、原因の候補を絞ります。

焼けの原因を調べる|ガス抜き・樹脂の滞留・せん断発熱

流動末端の焼けは、閉じ込められたガスの圧縮を調べる手掛かりになります。一方、停止後の変色では成形機内の滞留履歴が重要になるため、金型内と成形機内で起きる現象を分けて考えます。

ガスが逃げられず、圧縮されて高温になる

溶融した樹脂が金型内を進むと、もともとあった空気を押し出します。空気や樹脂から生じたガスが逃げられずに急速に圧縮されると温度が上がり、接している樹脂が焼けることがあります。

ガスベントは、空気やガスを金型外へ逃がすための溝や隙間です。連続成形で付着物がたまると排気が妨げられるため、焼けの位置に通じるベントの詰まりや排気経路を調べます。

ベントを設ける位置がガスのたまる箇所から外れている場合は、清掃だけでは排気を改善しにくくなります。樹脂が最後に充填される位置や、流れの合流部に排気経路があるかを確認します。

樹脂が高温で長く滞留し、劣化する

樹脂は、高温にさらされる時間が長くなると劣化し、変色や分解ガスが生じることがあります。成形停止中の滞留や、シリンダー・ノズル・ホットランナーの温度設定を、発生前後の履歴から調べます。

一回に射出する量に対してシリンダー容量が大きいと、樹脂が成形機内に長く残りやすくなります。温度設定だけでなく、射出量と成形機の容量、成形サイクルや停止時間も検討します。

材料切替後の黒い筋や点では、前の材料や劣化した樹脂の残留、異物の混入も調べます。材料の交換・清掃方法は、使用材料と成形機の取扱条件に沿って選びます。

狭い流路を通る樹脂が、せん断によって発熱する

粘性を持つ溶融樹脂は、流れるときにも熱を生じます。これがせん断発熱で、狭いゲートやランナーを高速で通る条件では、局所的な温度上昇が樹脂の劣化に関係することがあります。

そのため、シリンダーの設定温度だけでなく、ゲートやランナーの断面と射出速度を一緒に検討します。可塑化時のスクリュー回転数や背圧も樹脂の状態に影響するため、材料と成形機に合う条件で評価します。

焼けの対策と成形条件の見直し

使用する材料グレードの推奨温度・乾燥条件・滞留時間の注意事項と、実際の設定や停止履歴を確認します。排気不足にはガスの逃げ道の改善、熱による劣化には温度や滞留の見直しというように、発生する仕組みに合わせて対策を選びます。

代表的な対策と、変更時に併せて評価したい品質を次に示します。

成形条件・金型対策の目的併せて評価する品質
ガスベントの詰まり・位置金型内にたまる空気やガスを外へ逃がすベントを深くする場合は、樹脂漏れによるバリ
充填末期の射出速度末端に残るガスの急激な圧縮を抑える速度を下げ過ぎた場合の充填不足や、ウェルド部の状態
樹脂の温度・滞留時間過熱による樹脂の劣化を減らす温度を下げ過ぎた場合の流れにくさや充填不足

例えば、流動末端に焼けが集中する場合は、排気経路の改善と充填末期の減速を検討します。温度や速度を下げると流れにくくなる場合もあるため、変更した条件と成形品の状態を記録して評価します。

焼け対策後の品質を確認する

対策前後の成形品は、同じ照明や観察方向で、跡の位置・色・広がりと発生頻度を比べます。多数個取りではキャビティ別に、停止・再起動の影響がある場合は再起動直後と連続成形中を分けて記録します。

例えば、停止後の再起動直後に黒い筋が増え、連続成形中には減る場合を考えます。停止時間、シリンダー・ノズル・ホットランナーの温度履歴と、材料切替の記録を並べて調べます。焼けが同じキャビティの流動末端に偏るかも記録すると、その位置の排気経路を調べるための情報を整理できます。

焼けの減少に加え、充填不足、バリ、ウェルド部の外観も検査基準に従って評価します。寸法は図面の公差と測定方法に基づいて測り、強度が必要な製品では使用条件に応じた検査を行います。

良好だった材料・成形条件と、ベントの清掃や改修内容を結果とともに残します。再発したときに、温度や速度の変更、停止履歴、ベントの詰まりを調べられる記録になります。

まとめ

射出成形の焼けは、金型内でガスが圧縮される現象と、樹脂の滞留や流動時の発熱による劣化を分けて調べます。跡の位置と発生時期から、排気経路、温度・滞留履歴、流路と射出速度の関係を確認することが対策につながります。

対策後は焼けの減少とともに、充填状態、外観、寸法などの要求品質を評価します。材料グレードや金型・成形機に合う条件で効果を確かめ、変更内容と結果を残しましょう。

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よくある質問

流動末端に焼けが出るときは、何を調べますか?

末端まで樹脂が進むと、残った空気やガスが圧縮されます。その位置のベントが詰まっていないか、金型外まで排気経路が通じているかを調べ、充填末期の速度も確認します。

停止後や材料切替後に黒い筋が増えるのはなぜですか?

高温のまま長く滞留した樹脂の劣化や、前の材料の残留が関係する場合があります。シリンダー・ノズル・ホットランナーの温度、停止時間、材料交換の履歴を調べ、異物の混入も確認します。

射出速度を下げると、焼けは改善しますか?

充填末期の急激なガス圧縮や、狭い流路での発熱が関係する場合は、速度を下げる対策を検討できます。ただし、低速化によって充填不足などが生じることもあるため、排気や流路の状態と併せて、変更後の成形品を評価します。

多数個取りで、一部のキャビティだけに焼けが出るのはなぜですか?

キャビティごとに樹脂の流れ方やガスの逃げ方が異なることがあるためです。発生するキャビティを記録し、その位置のベントの詰まり、流路、最後に充填される箇所を調べます。