射出成形品のCAE解析|流動解析・そり解析と金型設計への活用

更新日 2026/10/01(木)
射出成形
射出成形品のCAE解析流動解析・そり解析と金型設計への活用

射出成形品のCAE解析では、樹脂の充填状態や成形後の変形を予測し、金型設計や成形条件の検討に生かします。流動解析やそり解析で分かること、必要なデータ、解析結果の活用方法を解説します。

この記事で分かること

  1. 01CAE解析の目的金型製作前に成形上の問題を予測する
  2. 02成形不良の予測充填不足・ウェルドライン・ヒケ・そりを調べる
  3. 03必要な解析データ製品形状・材料・金型・成形条件の役割を知る
  4. 04金型設計への活用ゲート位置や冷却回路の案を比べる

射出成形品のCAE解析の目的と活用する場面

射出成形品のCAE解析は、製品の3D形状をもとに、樹脂の充填状態や成形後の形状をシミュレーションする技術です。材料データ、金型構造、成形条件を反映し、充填しにくい箇所や成形不良が生じやすい場所を予測します。

主な目的は、金型を製作する前に問題を見つけ、製品形状やゲート位置、成形条件を検討することです。例えば、製品の末端まで樹脂が届くか、外観上重要な面にウェルドラインができないかを調べ、設計案を比較します。

CAE解析で分かる樹脂の流れと成形不良

流動解析で予測するショートショットとウェルドライン

流動解析では、金型内で樹脂が広がる順序や充填にかかる時間、圧力などを計算します。樹脂が末端まで届かないショートショットや、流れの合流部に筋ができるウェルドラインの発生位置を予測できます。

結果を見るときは、充填が完了するかに加え、合流する場所が製品の外観要求に合うかを確認します。樹脂が行き渡っていても、目立つ面にウェルドラインができる場合は、ゲート位置などを再検討します。

保圧解析で調べるヒケと収縮

充填後の保圧を含めて計算すると、樹脂の収縮や、表面にへこみが出るヒケを予測できます。保圧中の圧力分布や収縮の分布を見て、材料の補充が十分か、収縮が大きい部分はどこかを検討します。

保圧条件を変えた案を比較することで、ヒケや寸法への影響を調べられます。ただし、結果は製品形状や材料にも左右されるため、圧力を上げれば解消すると一律には判断できません。

冷却・そり解析で分かる冷え方と変形

冷却解析では、樹脂や金型の温度分布、冷却に必要な時間を計算します。温度が偏る箇所や冷却に時間がかかる部分を調べ、冷却回路の配置や冷却条件を検討します。例えば、冷却回路の配置を変えた案で、温度分布や冷却時間を比較します。

そり解析では、成形品を金型から取り出し、冷えた後の変形を予測します。そりには冷却の偏りのほか、製品形状、材料の性質、保圧の状態なども関わります。

利用できる解析や予測項目は、使用するソフトによって異なります。

CAE解析に必要なデータと成形条件

解析には、製品形状だけでなく、使用する樹脂の材料データ、金型構造、成形条件が必要です。主な入力情報と、その役割を以下に示します。

情報内容の例解析での用途
製品形状3Dデータ、肉厚や穴の位置樹脂が流れる空間を表す
材料データ使用する樹脂の性質流れやすさや収縮を計算する
金型構造ゲート・ランナー、冷却回路樹脂の流入経路や冷え方を計算する
成形条件樹脂温度・金型温度、射出時間、保圧の圧力と時間製造時の条件を計算に反映する

同じ製品形状でも、材料や温度によって流れやすさや収縮は変わります。実際に使う樹脂に対応した材料データと、検討する成形条件を設定します。

金型のどこまで詳しく表すかは、解析の目的によって変わります。流動解析でゲート位置を比べる場合は樹脂の流入位置を、冷却解析では冷却回路の位置や冷却水の条件などを反映します。

流動解析を使ったゲート位置の検討

例えば、製品の正面にウェルドラインを出したくない場合は、流動解析でゲート位置を変えた案の合流位置を比べます。併せて、充填の進み方や必要な圧力を確認し、外観と成形しやすさの両面から設計を検討します。

ゲート位置の影響を比べるときは、材料や温度など、ほかの条件をそろえます。複数の条件を同時に変えると、どの変更が結果に影響したか分かりにくくなるためです。

解析で気になる箇所が見つかったら、その部分が製品の外観や寸法の要求にどう関わるかを確認して設計を見直します。

CAE解析の精度と金型トライでの確認

解析の精度は、製品形状の表し方や材料データ、成形条件などに影響されます。例えば、実際の樹脂や温度・圧力が解析の設定と違えば、予測と実物に差が生じます。

解析結果は設計案を比較するために使い、製作した金型でのトライでは、成形品の外観、寸法、そりを確認します。差がある場合は、実際の材料・成形条件・金型寸法と解析の入力を比べ、原因を調べます。

確認した原因に応じて設計や成形条件を見直し、修正後の成形品も製品要求を満たすか確かめます。

材料グレードとメッシュを確認する

材料データには、粘度や、圧力・温度による比容積の変化、熱伝導率などが含まれます。実際に使用する樹脂グレードの解析用データがあるかを確認し、代替材で計算した場合は材料名と代替した理由を残します。

メッシュは、計算のために形状を小さな要素へ分割したものです。薄肉部や肉厚の変化、ゲート付近の形状が解析モデルに反映されているかを確認します。形状や分割の設定が不適切だと、充填パターンや圧力、温度の予測に影響します。

そりの表示倍率と評価方向を読む

そりの結果は、変形を拡大して表示することがあります。図を見るときは、変形の表示倍率、評価方向、凡例の単位と数値を確認します。

例えば、組み付け面からの変位を評価する場合は、その面の測定位置と基準面をそろえて、予測値と実測値を比較します。ガラス繊維強化樹脂では、繊維の配向による収縮の違いもそりに関わります。

解析条件と金型トライの実測を対応させる

記録には、製品データの版、使用樹脂、金型とゲート、解析ソフトと条件、比較する設計変更を残します。金型トライでは、成形条件と試作品の識別番号を記録し、外観、重量、寸法やそりを解析結果の該当箇所と対応させます。

寸法やそりの測定では、測定位置、基準面、成形から測定までの経過時間も記載します。温度や圧力を測定できる場合は、センサー位置と測定時点を記録し、その場所の解析結果と比較します。測定していない値は、設定値や解析値と区別して扱ってください。

まとめ

射出成形品のCAE解析は、成形不良を予測して金型設計や成形条件の検討に使う技術です。流動解析でゲート位置による充填状態の違いを調べたり、そり解析で成形後の変形を予測したりすることで、設計案を比較できます。

まず、予測したい不良や比較したい設計箇所を決め、それに必要なデータと解析結果を用意します。解析で設計案を検討したうえで、金型トライによって実際の品質を確認します。

金型設計・製作の依頼先を探す

相型MATCHINGでは、加工分野や地域などの条件から企業を探せます。金型設計や製作の依頼先を探す際にご利用ください。

無料会員登録して企業を探すプラスチック成形の記事を見る

よくある質問

金型設計の途中でもCAE解析はできますか?

製品形状などのデータがあれば、設計途中の案でも解析できます。未確定の部分を仮の条件で計算した場合は、その条件を残し、設計が固まった段階で確定した条件の結果を確認します。

流動解析の結果図はどう読めばよいですか?

色の意味は表示する結果によって異なります。例えば、充填時間の図は樹脂が届くまでの時間を色分けしたもので、赤色が必ず不良を示すわけではありません。項目名と凡例の数値を確認し、製品の要求に関わる箇所を評価します。