ダイカストマシンの選び方|型締力・金型寸法と周辺設備の検討

更新日 2026/10/04(日)
ダイカスト
ダイカストマシンの選び方型締力・金型寸法と周辺設備の検討

ダイカストマシンは、溶かした合金を金型へ圧入する機械です。必要な型締力と射出能力、金型の取付寸法から本体を選び、給湯・塗布・取出し設備を組み合わせます。製品と金型に合う仕様、安全・品質の確認方法を解説します。

この記事で分かること

  1. 01型締力の求め方投影面積と鋳造圧力から概算する
  2. 02射出装置の選び方鋳込量と実運転での充填を考える
  3. 03金型を取り付ける条件寸法・型開き・押出しの関係を知る
  4. 04周辺設備との組合せ給湯・塗布・取出しの動作をつなぐ

ダイカストマシンに必要な型締力の求め方

型締力は、金型を閉じた状態に保つ力です。溶湯に加わる圧力で金型が開くと、合わせ面の隙間へ金属が入り、バリが発生する原因になります。必要な型締力は、金型を開こうとする力である「型開力」から見積もります。

型を開く方向から見た製品・湯道・オーバーフローなどの全投影面積と、溶湯へ加える鋳造圧力を使います。圧力が一様に作用するとみなす場合、型開力[kN]=鋳造圧力[MPa]×投影面積[mm²]÷1000で概算できます。この計算に使う圧力は溶湯に加える圧力であり、油圧回路の圧力とは区別します。

例えば、多数個取りの金型では、全製品と湯道・オーバーフローを含む投影面積を求めます。取り数や湯道配置を変更した場合は、新しい図面で投影面積を計算し直し、必要な型締力を再検討します。

型開力を上回る型締力を候補にし、金型構造や射出時の圧力変動に応じた余裕を検討します。高速で充填した溶湯が急に止まると、一時的な圧力上昇が起こるため、充填終盤の減速制御も確認します。

製品と合金に必要な射出容量・充填時間を確認する

射出装置は、プランジャと呼ばれる部品を動かし、溶湯を金型へ押し込む装置です。使用する合金に対応する射出方式を選んだうえで、一回に送り込む量と必要な圧力・速度を検討します。

アルミ合金などに使うコールドチャンバー方式では、鋳造のたびにスリーブという筒へ溶湯を入れます。必要な鋳込量には、製品のほか、湯道・オーバーフローやスリーブ内に残って固まる部分も含めます。製品質量と一回の鋳込量を分けて求め、対応するプランジャチップ径と射出ストロークの範囲を調べます。

仕様書の鋳込量が体積で示されている場合は、適用するチップ径を確認します。質量から必要な溶湯体積を求めるときは、対象合金の溶湯密度を確認し、体積=質量÷密度で計算します。単位をそろえて計算した後、チップ径とストロークに応じた使用可能量を候補機の仕様で確かめます。

プランジャチップは、スリーブ内で溶湯を直接押す先端部品です。チップ径によって押す面積が変わるため、同じ射出力でも溶湯に加わる圧力は変わります。仕様書に記載された圧力がどのチップ径の値なのかを確かめます。

充填時間は、溶湯が冷えて固まる前に製品の端まで届くよう、肉厚・流れる距離・ゲートの断面積から検討します。空打ち時の最高速度は、溶湯の充填抵抗がある状態での速度を保証する値ではありません。必要な速度へ上がるまでの時間、充填中の速度と圧力、充填後に圧力が上がる速さも評価します。候補設備での試作では、湯が届かない箇所、バリ、内部欠陥の有無を確認して射出条件を調整します。

金型取付寸法をマシンの仕様書で確認する

型締力が足りていても、金型の大きさや厚さが取付範囲に合わなければ、その金型を使用できません。マシンの金型取付図と主仕様から、各寸法の位置と許容範囲を確認します。

項目意味確認事項
タイバー間隔金型の周囲にある支柱の内側の間隔金型の外形と搬入経路が支柱に干渉しないか
ダイプレート寸法金型を取り付ける盤の縦・横寸法金型の取付面、固定位置、支持条件が合うか
型厚範囲取り付けられる金型の厚さの最小値と最大値閉じた金型の厚さが範囲内か
型開きストローク型を開くときに可動盤が移動する距離製品と取出しハンドを動かす空間を確保できるか

取出し動作を検討する例として、金型外形はタイバーの内側に収まるものの、製品を保持したハンドを型外へ動かす場面を考えます。型を開いたときの金型間の空間と、製品・ハンドが通る範囲を取付図と配置図で確認します。型開ストロークと、開いた金型の間に確保できる空間は分けて確認します。

射出位置と金型の鋳込口、マシンの押出し機構と金型の押出し部の接続も、取付図で確認します。エジェクタの押出力・ストロークは、金型から製品を押し出す動作に必要な範囲で選びます。金型重量の許容値、吊り込み方法、冷却配管の位置を確認し、取付けや交換ができる配置を検討します。

給湯・塗布・取出し設備の選び方

周辺設備は、溶湯の供給、金型への離型剤塗布、製品の取出しなどを受け持ちます。本体と合わせて選ぶときは、それぞれの装置が何を扱い、どこまで動くかを金型図と配置図で確認します。

設備役割選定条件
給湯機保持炉の溶湯を量り、スリーブへ注ぐ使用合金、必要な給湯量、炉と注湯口の位置
離型剤スプレー装置金型に離型剤を塗り、製品の焼付きやかじりを抑える金型形状、塗布位置、使用する離型剤と噴霧量
取出しロボット鋳造品をつかみ、冷却やトリミングの設備へ渡す鋳造品とハンドの質量、把持位置、動作範囲

この給湯機の説明は、鋳造ごとにスリーブへ注湯するコールドチャンバー方式を対象にしています。射出部が溶湯中にあるホットチャンバー方式には、同じ給湯動作を当てはめません。

離型剤は、金型表面への付着性、離型性、塗装などの後加工への影響から選びます。希釈が必要な製品と原液で使う製品があるため、使用濃度と噴霧条件は選んだ離型剤に合わせます。

取出しロボットとスプレー装置が金型内で干渉しないよう、本体の型開き・押出しと各装置の動作を連携させます。安全柵や非常停止の連携、清掃・点検のための作業空間も、設備全体の配置で確認します。

安全機能では、ガード扉を開けたときに停止する動作、非常停止で止める装置の範囲、停止後の再起動条件を確認します。清掃や保守で動作範囲に入る場合は、動力源の遮断方法と、油圧などの残留エネルギーを除去・拘束する方法を設備の取扱説明書で確認します。

真空装置と金型温調の役割

真空装置は、金型内の気体を排出して、溶湯へのガス巻込みを減らすために使います。金型や配管からの空気漏れ、排気経路の詰まり、射出動作とのタイミングによって減圧状態が変わります。到達した圧力と到達時間を確認できる機能や、異常時に鋳造を止める連携を検討します。

金型温調・冷却は金型の温度を調節するための設備であり、真空装置による排気とは役割が異なります。冷却回路ごとに必要な温度と流量を検討し、離型剤の塗布による温度変化も含めて、鋳造中の金型温度を評価します。

生産数量を検討する際は、型開閉・射出、給湯・塗布・取出しを組み合わせた鋳造サイクルを使います。対象の金型・合金・製品で必要な時間と良品率を確かめ、必要な生産数量を満たせるか判断します。

まとめ

ダイカストマシンは、必要な型締力と鋳込量を求め、金型を取り付けて製品を取り出せる寸法・動作範囲から選びます。射出速度や圧力は実際の充填で評価し、給湯・塗布・取出しを組み合わせた状態で品質と生産数量を確認します。製品図と金型図に基づいて必要な仕様を具体化すると、候補機が満たす条件と追加設備が必要な箇所を判断できます。

設備や金型の相談先を探す

相型MATCHINGでは、製造業の設備や金型に対応する登録企業を検索できます。製品図、使用合金、必要な生産数量、金型寸法、相談したい内容を候補企業へ伝え、対応範囲を確認してください。

無料会員登録して企業を探すダイカスト記事を見る

よくある質問

型締力が大きい機械ほど選定に適していますか?

必要な型締力を満たしたうえで、射出部の圧力・速度、金型の取付寸法、取出し動作も適しているか判断します。同じ型締力でも仕様や構成が異なるため、金型と製品に必要な項目を個別に確認します。

射出容量は製品の質量から決められますか?

コールドチャンバー方式では、製品に加え、湯道・オーバーフローやスリーブ内に残る部分を含む鋳込量が必要です。その量を送れるチップ径・ストロークと、必要な圧力を得られる組合せを確認します。

真空装置を付ければ内部欠陥はなくなりますか?

真空装置はガス巻込みを減らすための設備です。凝固収縮による空洞など、排気だけでは解決しない欠陥もあるため、原因に応じて金型や鋳造条件を見直します。

周辺設備はいつ決めればよいですか?

金型とマシン本体を検討する段階で、給湯・塗布・取出しに必要な装置と配置を決めます。各装置の動作範囲、製品の受渡し、信号接続を確認し、組み合わせた状態で試運転します。