ダイカスト製品の検査では、表面、寸法、合金成分、内部欠陥、漏れを調べます。各検査の役割と材料による制約、製品の要求に合う検査方法・合否基準の決め方を解説します。
この記事で分かること
- 01検査目的の決め方要求機能と欠陥位置から選ぶ
- 02方法ごとの役割何を調べる検査かを確認する
- 03合否基準の決め方検出限界と製品への影響を確認する
- 04記録と頻度実施時期に応じた検査と記録
ダイカスト製品の検査対象を要求機能から決める
図面や仕様で製品に求められる機能を確認し、重点的に検査する部位を決めます。外観面の傷やバリ、組付け部の寸法、内部の鋳巣、液体やガスの漏れなど、製品に応じた確認対象を挙げます。同じ製品でも、重要部位によって必要な検査は変わります。
検討例として、密閉する部品の合わせ面は寸法と表面状態を確認し、内部の鋳巣はX線透視・CTで観察します。漏れは、製品仕様に定めた圧力などの試験条件で測定します。各結果を、対応する部位と合否基準に結び付けて記録します。
検出した欠陥の位置を図面に記録し、製品の強度、気密、組付け、外観に影響するか判断します。欠陥を発見した工程も記録します。

| 項目 | 確認事項 | 検査方法の選定条件 | 記録項目 |
|---|---|---|---|
| 要求機能 | 外観品質、組付け精度、強度、気密性、耐久性 | 機能に影響する部位と、調べる欠陥を図面で確認する | 重要特性、対象部位、図面の改訂番号、判定基準 |
| 欠陥の位置 | 表面、寸法基準面、内部、貫通経路、加工面 | 部位に応じて外観・寸法・内部欠陥・漏れの検査を選ぶ | 欠陥位置、数量・大きさ、観察方向、測定条件 |
| 検査の時期と対象範囲 | 初品・工程変更後・出荷前の時期と、全数・抜取りの範囲 | 工程のばらつきと製品への影響から検査頻度を決める | ロット、設備、金型、鋳造条件、再検査の有無 |
外観・寸法・成分・内部欠陥・漏れを調べる方法
外観検査、寸法検査、成分分析、X線透視・X線CT、気密試験は、それぞれ目的が異なります。外観検査は表面、X線透視・X線CTは内部、気密試験は漏れを確認します。各検査で確認できる欠陥と、確認できない欠陥を明確にします。
外観検査と寸法検査
外観では傷、欠肉、バリ、湯じわ、変色、加工面の状態などを確認します。寸法検査では、図面の基準面と測定箇所を確認し、使用する治具、測定温度、測定機の校正状態を確認します。要求機能に応じて、外観検査に寸法検査や気密試験などを組み合わせます。
成分分析とX線検査
成分分析は合金や不純物の管理に、X線透視・X線CTは内部の気泡や鋳巣などの観察に用いられます。内部の気泡や鋳巣は、機械的強度や疲労強度に影響する場合があります。確認したい部位と判定基準を先に決めます。
浸透・磁粉・超音波探傷の適用条件
浸透探傷は、液が吸収されない非多孔質の対象について、表面に開口したきずを調べます。磁粉探傷は強磁性体が対象で、アルミニウム合金には適用できません。
超音波探傷は、内部から返る反射信号を利用してきずを調べます。対象部位の信号を取得できるかを確かめ、形状に応じた検査条件を決めます。探傷器の感度や時間軸などの設定は、試験片で確認します。
気密試験
気密試験では、製品の使用条件を基に、試験媒体、圧力、検査時間、温度、治具、許容漏れ量を定めます。内部の鋳巣の観察と、規定条件での漏れの確認は目的が異なります。気密要求がある部品は、試験条件と許容漏れ量を明記します。
| 検査方法 | 確認対象 | 別の確認が必要な項目 | 検査前の準備 |
|---|---|---|---|
| 外観検査 | 傷、欠肉、バリ、表面の状態 | 内部鋳巣、寸法、気密、材料成分 | 限度見本、照明、観察面、判定者 |
| 寸法検査 | 基準面、穴、肉厚、組付け部、変形 | 内部状態、漏れ、材料成分 | 図面の改訂番号、測定箇所、治具、温度、校正 |
| 成分分析 | 合金成分、不純物 | 製品形状の欠陥、内部鋳巣、漏れ | 試料採取、分析元素、規格、ロット |
| X線透視・X線CT | 内部の鋳巣や形状。CTでは断面・三次元形状も確認 | 使用条件での漏れ、外観の合否 | 対象部位、観察方向、しきい値、分解能、判定基準 |
| 気密試験 | 規定条件での漏れの有無・漏れ量 | 鋳巣の形状・位置、材料成分、寸法 | 媒体、圧力、検査時間、温度、治具、許容漏れ量 |
検出できる欠陥の範囲と合否基準を決める
X線透視・X線CTで検出できる欠陥の大きさや位置は、装置、撮影条件、製品形状、肉厚、観察範囲によって変わります。気密試験も、同じ製品が置かれた温度や治具の状態で結果が変わることがあります。合否は、製品要求に基づく許容範囲と検査結果を比べて判断します。
合否基準を決める手順
- STEP 1重要部位を図面で指定気密面、荷重部、加工面、意匠面を区別する
- STEP 2検出対象と基準を定義欠陥の位置・大きさ・数量・形状について許容範囲を決める
- STEP 3試験条件を記録撮影条件、試験媒体、圧力、温度、検査時間、使用する治具を記録する
- STEP 4合否を判定観察結果・測定値を合否基準と比較する
| 項目 | 確認・設定する内容 | 確認のしかた | 変更時の扱い |
|---|---|---|---|
| X線透視・X線CTの観察 | 対象部位、観察方向、検出したい欠陥、評価範囲 | 基準サンプルと判定例を用意し、撮影条件を記録する | 装置・条件・対象形状が変わる場合は比較評価する |
| 気密の合否 | 媒体、圧力、検査時間、許容漏れ量、再試験条件 | 治具・温度・製品状態を確認し、規定条件で漏れを検査する | 治具、媒体、圧力、温度を変える場合は基準を見直す |
| 欠陥による製品への影響 | 欠陥の位置・大きさ・数量と、強度・気密・外観への影響 | 図面の品質基準で重点的に検査する部位を決める | 変更内容と検査基準の改訂履歴を関連付けて記録する |
気密性が求められる製品では、製品仕様、使用条件、顧客規格を基に、試験圧力と許容漏れ量を決めます。
CTの解析では、画像のしきい値などの条件によって解析対象となる欠陥の範囲が変わります。観察結果と撮影・解析条件を併記します。
荷重を受ける部品の強度や疲労は、必要な負荷条件で評価します。内部欠陥の観察結果、規定条件での漏れ量、機械的評価の結果を、それぞれの要求と比較して判定します。
検査の実施時期と記録
X線CTでは内部の鋳巣や形状を観察します。気密試験では決められた圧力での漏れを測定し、寸法検査では実測値と図面の寸法・公差を比較します。気密面、荷重部、組付け部、加工面などの重要部位ごとに、確認したい欠陥を明確にします。そのうえで、初品、工程内、出荷前の検査項目と頻度、記録内容を決めます。
| 実施する場面 | 主な目的 | 確認する例 | 残す記録 |
|---|---|---|---|
| 初品・立上げ | 初品が図面や品質要求を満たすか確認する | 外観、寸法、内部状態、気密、合金成分、加工結果 | 図面の改訂番号、金型、設備、条件、測定値、承認結果 |
| 工程内 | 鋳造条件・金型・設備の変動を早く検知する | 重点寸法、外観、重量、温度、必要な内部欠陥・漏れの確認 | ロット、時刻、条件、異常内容、対策内容、再確認結果 |
| 工程変更後 | 変更が品質へ与えた影響を確認する | 条件変更前後の重要特性の比較 | 変更前後の条件、比較結果、判定、次の管理方法 |
| 出荷前 | 出荷対象が合意した条件を満たすか確認する | 出荷条件に指定された特性と識別情報 | 出荷ロット、判定、例外承認、追跡情報 |
測定機の校正・点検、限度見本の版管理、治具の状態も検査結果の前提です。検査記録には、図面の改訂番号、金型番号、使用設備、射出・冷却の設定、測定機、判定基準を記載してください。
まとめ
ダイカストの検査では、外観、寸法、合金成分、内部欠陥、漏れなど、確認対象に応じて方法を選びます。製品に必要な強度、気密、組付け、外観と、確認したい欠陥の位置を明確にします。そのうえで検査方法、合否基準、記録項目を決めます。
初品、工程内、出荷前など、実施時期に応じて検査項目と頻度を決めます。検査結果には、図面の改訂番号、金型番号、使用設備、射出・冷却の設定、測定方法を記録します。
ダイカストの検査条件を相談できます
相型MATCHINGでは、無料会員登録後にダイカストの登録企業を探して相談できます。製品図面、材質、要求機能、確認したい欠陥、ロット数、希望納期を伝え、対応できる検査方法や条件を確認してください。
よくある質問
ダイカストの検査は外観検査だけで十分ですか?
外観検査は表面の傷、バリ、欠肉、変色などを確認します。寸法、合金成分、内部の鋳巣、漏れは、それぞれの対象に合う方法で調べます。製品に必要な気密性・強度・外観から検査する部位を決めます。
X線透視とX線CTはどちらを選びますか?
X線透視は投影像で内部を観察し、X線CTは断面や三次元形状を確認します。確認したい欠陥の位置、観察範囲、三次元で形状を確認する必要、検査時間、費用、ロット数で選びます。欠陥の位置・大きさ・数量を評価し、製品要求に基づく合否基準と比較します。
X線検査で鋳巣が見つからなければ気密試験は不要ですか?
気密性が必要な製品では、規定条件での漏れを測定します。X線透視・X線CTは内部状態を観察する方法です。漏れの測定結果は、試験媒体、圧力、温度、治具、測定方法によって変わります。気密性が必要な製品は、要求に基づいて許容漏れ量と試験方法を決めます。
検査頻度はどのように決めますか?
初品、立上げ、工程変更後、定常生産、出荷前では目的が異なります。重要特性、工程の安定度、不良の発生状況、顧客要求、測定時間を確認し、サンプリングや全数の範囲を品質計画に残します。
検査結果はどの情報と結び付けて残しますか?
検査記録には、製品番号、ロット、図面の改訂番号、金型番号、鋳造設備、射出・冷却の主な設定、測定機、判定基準、再検査の有無を記載します。不具合の原因を調べるため、変更前後で同じ項目を記録します。