射出成形のヒケ原因|原因を特定する確認項目

更新日 2026年7月29日
プラスチック成形
射出成形のヒケ原因 原因を特定する確認項目

射出成形品の表面がへこむヒケは、成形条件だけでなく、肉厚、リブやボス、ゲート、冷却、材料、検査基準が絡んで起きます。原因を一つに決めつけず、製品設計や品質管理を担う側が成形会社へ渡す情報を整理してから対策を進めましょう。

この記事で分かること

  1. 01ヒケの見方へこみ位置と発生条件の整理
  2. 02原因を特定する確認項目設計・金型・材料・条件の確認順
  3. 03依頼先へ渡す情報写真・ロット・変更履歴・基準
  4. 04対策範囲の比較条件調整・金型修正・設計変更

ヒケは表面のへこみとして現れる成形不良

ヒケは、樹脂が冷えて収縮するときに、成形品の表面が内側へ引き込まれてへこむ不良です。厚肉部、リブの裏側、ボス周辺、ゲートから遠い場所、冷却が偏る場所で目立ちやすくなります。

外観だけの問題に見えても、ボス周辺のヒケはねじ締結や圧入部の強度、レンズやカバー部品では面精度、塗装やメッキ後の見え方に影響することがあります。まずは「どこに、いつから、どの程度出ているか」を記録することが原因を特定するための出発点です。

ヒケの原因は、成形条件だけで判断しません。製品形状、金型、材料、成形条件、受入基準の5つを分けて確認すると、金型修正が必要か、条件調整で済むかを相談しやすくなります。

射出成形のヒケ原因を5つに分けて確認する

ヒケ対策でよくある失敗は、最初から保圧や温度だけを変えてしまうことです。条件調整で改善する場合もありますが、肉厚やゲート位置が原因なら、同じ調整を繰り返しても量産で安定しにくくなります。

確認カテゴリ見たい内容発注側が準備する情報
製品設計厚肉部、リブ、ボス、急な肉厚変化、見栄え面の位置2D図面、3Dデータ、ヒケ位置を示した写真、意匠面・機能面の優先順位
金型ゲート位置、ランナー、冷却回路、エアベント、入れ子構造金型仕様、トライ履歴、修正履歴、金型保管・所有条件
材料樹脂グレード、収縮率、ガラス繊維などの添加材、乾燥条件指定材料、代替可否、材料ロット、乾燥条件の記録
成形条件保圧、保圧時間、樹脂温度、金型温度、冷却時間、射出速度不良発生前後の条件表、量産時の条件変更履歴、良品時の条件
検査・受入基準外観限度、測定方法、塗装後の見え方、機能上の影響限度見本、検査基準、NG写真、顧客要求や組立条件

ボス・リブ・厚肉部は設計変更も候補に入れる

ボスやリブの裏面にヒケが出る場合、保圧条件だけで一時的に薄く見せられても、量産で安定しないことがあります。肉厚比、リブ厚、ボス根元、R形状、抜き勾配を見直せるかを設計側と確認します。

ゲートと冷却は金型側の相談範囲になる

ゲートから遠い場所や冷却が遅い場所でヒケが出る場合、ゲート位置、ゲートサイズ、冷却回路、入れ子構造の見直しが必要になることがあります。金型修正は費用と納期に影響するため、成形条件での改善範囲と分けて見積ります。

保圧や温度の調整は変更履歴を残す

保圧を上げる、保圧時間を延ばす、樹脂温度や金型温度を見直すなどの対策は、他の不良を招く場合があります。ヒケだけでなく、バリ、反り、ウェルドライン、ショートショットが増えていないかも同時に確認します。

ヒケ対策の検討に必要な情報を成形会社へ伝える

不良相談では「ヒケが出ています」だけでは原因を絞れません。写真と図面を結びつけ、どのロットで、どの条件変更後に、どの基準でNGになったのかを渡すと、成形会社や金型会社が判断しやすくなります。

相談前にそろえる4点

  1. STEP 1発生位置図面や写真にヒケ位置を印し、見栄え面か機能面かを分けます。
  2. STEP 2発生条件初回からか、量産途中からか、材料や条件変更後かを整理します。
  3. STEP 3判定基準外観限度、測定方法、塗装後の見え方などを共有します。
  4. STEP 4希望範囲条件調整、金型修正、設計変更、追加検査のどこまで相談するか決めます。

発注側で図面がない場合でも、現物写真、使用用途、希望数量、困っている症状、良品と不良品の比較があれば、初回相談の材料になります。足りない情報は、依頼先と一緒に追加確認する前提で進めます。

ヒケ対策は製品設計・金型・成形条件に分けて検討する

ヒケ対策は、安い順に条件調整、表面処理、金型修正、設計変更と単純に並べられるものではありません。量産の安定性、再発リスク、外観要求、納期への影響を見て、どこまで実施するかを決めます。

対策範囲向くケース確認するリスク
成形条件の調整軽微なヒケ、条件変更後に発生したヒケ、短期の改善確認バリ、反り、ウェルドライン、サイクルタイム悪化が出ないか
金型修正ゲート、冷却、入れ子、エアベントが影響している可能性が高い場合修正費、再トライ日程、金型保証範囲、量産再開時期
製品設計の変更ボス、リブ、厚肉部など形状起因が強い場合組立互換性、強度、意匠、承認図面の変更手続き
検査・外観基準の再整理機能影響は小さいが外観判定が曖昧な場合顧客承認、限度見本、塗装・メッキ後の見え方

相見積りを取る場合は、各社がどの範囲まで含めているかをそろえて比較します。「条件調整のみ」「金型修正込み」「設計レビュー込み」では、金額だけでなく責任範囲も違います。

まとめ

射出成形のヒケ原因は、製品設計、金型、材料、成形条件、検査基準を分けて見ると整理しやすくなります。ヒケが出た場所、写真、ロット、条件変更履歴、受入基準をそろえることで、成形会社や金型会社へ具体的に相談できます。

既存の不良総論ページや用語集で基礎を確認しながら、今回のヒケが条件調整で済むのか、金型修正や設計変更まで必要なのかを確認しましょう。依頼先探しや見積り範囲の比較で迷う場合は、問い合わせフォームや相型MATCHINGのサービス確認を活用できます。

費用・見積りの相談ができます

図面や仕様、希望条件をもとに、候補企業探しや見積り相談を進められます。

問い合わせフォームから相談する技術情報を見る

よくある質問

ヒケが出たとき、最初に何を確認すべきですか?

発生位置、ロット、写真、図面上の肉厚やリブ・ボス位置、成形条件の変更履歴を先に整理します。

ヒケ対策は成形条件だけで直せますか?

保圧や温度条件で改善する場合もありますが、肉厚、ゲート位置、冷却、リブやボス設計が原因の場合は、金型修正や設計変更の検討が必要です。

図面がない段階でも相談できますか?

現物写真、発生位置、材質、数量、使用用途、品質上の困りごとがあれば相談できます。