プレス金型の製作依頼の失敗例と依頼前に準備したい資料の詳細を解説!
金型の製作依頼は専門性が高く、初めて外注する場合や新しい取引先を探す場合「どこに依頼すべきか」「どんな準備が必要か」といった不安を抱える方も、多いのではないでしょうか。
「相型マッチング」は、そうしたお悩みを解決するために、製造業の皆さまと金型メーカーとの最適なマッチングを支援しています。
本記事では、プレス金型の製作依頼でよくある失敗例や、依頼前に準備すべき情報について、具体的にわかりやすく解説します。
プレス金型の製作依頼でよくある失敗例
金型は高額な設備投資であるにもかかわらず、依頼の方法や相手選びを誤ると、思わぬトラブルに発展しかねません。よくある失敗例を、以下にまとめました。
1.見積もり内容の誤解
特に金型業界では、見積もりに含まれる項目が企業によって異なるため、依頼時には内訳を明確に確認することが重要です。例えば、あるメーカーでは設計費・トライ費・仕上げ加工費がすべて込みで提示される一方で、別のメーカーではそれらが別費用として後から請求されることもあります。
以下のような項目については、必ず事前に確認しましょう。
- 設計費(3Dモデリングや図面作成にかかる費用)
- トライ費(初回の試作・確認加工に関する費用)
- 金型修正費(試作後の調整・追加工にかかる費用)
- 検査費・検査成績書作成費(寸法測定・報告書の作成)
- 輸送費・梱包費(納品時の物流費用)
これらの条件が曖昧なまま発注してしまうと、「聞いていなかった追加費用」が後から発生し、当初想定していた予算を大きく超えてしまうケースもあります。
2.納期遅延による生産スケジュールの乱れ
プレス金型の納期が遅れると、その後の部品加工・組立・出荷といった全体の生産スケジュールに大きな影響が生じます。特に量産スケジュールと直結している試作金型では、納期遵守が極めて重要です。
よくある納期遅延の原因
- ヒアリング不足による仕様の不確定(材料や工程条件などの曖昧さ)
- 支給図面の不備や3Dデータの形式違い
- 設計変更が繰り返され、製作開始が遅延
- トライ後の不具合修正に時間を要する
- 工場の設備トラブルや担当者の過負荷
防止するための対策
- 初回打ち合わせで使用条件・優先度(納期or精度)を明確にする
- CAD・図面は、メーカー側と形式・図面の読み方の整合を取る
- 試作後の評価フロー(外観チェック/機能評価など)とフィードバック期限を事前に取り決めておく
- 製作途中の進捗報告を定期的に行ってもらう(週報・工程表など)
短納期対応を依頼する場合は、特に「トライは何日確保されているか」「追加工が発生した場合の対応体制」を明確にしておくことが大切です。
3.精度不足や仕上がりの不備
プレス金型における「品質」とは、主に以下のような要素を指します。
- 寸法精度(公差内での成形)
- バリ・カエリ・キズなどの外観
- 板材の変形や戻り
- 材料への加工負荷の最小化(スプリングバック対策)
- トライ品と量産品での安定再現性
しかし、以下のような理由で思うような品質が得られず、不具合が発生するケースがあります。
品質不良の典型例
- 金型設計時のバランス設計ミス(材料流れやパンチ圧分布の誤り)
- 成形シミュレーションを行わずに現物トライで微調整に依存
- 使用材質が予定より硬く、加工負荷で変形発生
- 順送型における送りトラブル(ピッチずれ/クラッシュ)
- 絞り型での割れ・シワなどの未対策
特に、高精度な製品や外観重視部品では、1/100mm単位のズレでもNGとなるため、金型側の設計精度・加工精度・試作対応力が不可欠です。
精度・品質を担保するための依頼ポイント
- 要求公差は明示(図面記載だけでなく、工程図や補足資料で伝達)
- 過去に発生した不良例がある場合は事前に共有
- 金型製作時に使用される加工機と段取り体制を確認
- トライ品に対するフィードバックサイクル(例:寸法測定→修正→再評価)を1〜2回分想定しておく
また、初回製作時は「どこまで仕上げるのか」(精度・外観レベル)を認識合わせしておくことで、「完成品と思っていたが、ラフ仕上げだった」というトラブルも避けられます。
製作依頼時に確認すべき項目と準備すべき資料
金型製作をスムーズに進めるには、依頼側の情報提供レベルが非常に重要です。資料が不十分だと、見積もりの精度が下がり、製作スケジュールや品質にも影響します。以下で、具体的にどのような情報を準備・確認すべきかを詳細に整理します。
技術資料:図面・データの整備レベルが精度に直結
2D図面(寸法・公差・板厚・穴位置などが明記されたもの)
- 用紙形式・バージョン・単位(mm/inch)の明示が必要
3D CADデータ(STEP、IGES、Parasolidなど)
- データ形式の指定がなければ、メーカー側で再変換が必要になり、時間ロスの原因に
図面の版数管理
- 「最新版かどうか」「変更履歴が共有されているか」を明確にする
図面に書かれていない「加工方向」や「見栄え面/非見栄え面」なども口頭共有だけで済まさず、補足資料として添付しておくと誤解を防げます。
成形条件と用途背景:金型設計の前提となる情報
- 成形方法(単発・順送・トランスファー・複合型など)
- プレス機の能力(加圧力・ストローク長・ボルスター寸法など)
- 使用材料の種類・板厚(例:SPCC 1.2mm)
- 端材処理の方式(スクラップカットの有無、排出方法など)
- 成形後の製品取り扱い(自動取り出し/手作業)
用途背景の一例
- 精度重視品か、量産効率重視品か
- 見た目部品か、組立内部品か
- 高張力鋼板・アルミ・SUSなど、材料の特性と成形の難易度
仕様が明確になっていないと、金型側で「過剰スペック」または「不足スペック」の設計となり、コスト・納期・品質のいずれかで不具合を生みます。
生産条件・品質要件:試作と量産を見据えた条件整理
- 年間予定数量(初回ロット数、1日の打数など)
- 必要な寸法公差(例:±0.05mm、穴径公差±0.02mm)
- 表面処理の有無(メッキ、塗装など)
- 製品検査方法(抜き取り/全数検査、測定項目など)
- バリ・傷・変形などのNG基準
成形後の搬送や組立工程がある場合
- 製品の排出方向、次工程への受け渡し方法(トレー搬送/自動ライン/ロボット取出し)
トライ品の評価基準を明確にしておくことで、金型完成時の「合格/不合格」の判断がスムーズになり、無用な手戻りを避けられます。
スケジュールと制約条件:納期調整の基礎情報
- 図面・仕様確定予定日
- トライ回数とその評価・修正スパン
- 納品希望時期(初回トライ希望日と最終納品希望日の両方)
- 特別な制約(工場引取、輸送条件、保管場所など)
例としては「3月1日までに初回トライ完了、3月末に量産立ち上げ希望」「2月中旬に上位工程が確定するため、それ以降に仕様最終化予定」といった具合です。
これらの情報があれば、金型メーカーは工程を組みやすくなり、トライ回数やフィードバックサイクルを前提とした納期調整が可能になります。
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金型の製作依頼におけるトラブルの多くは、仕様や前提条件の共有不足、図面や資料の不備、相手企業との認識違いから生じます。
反対に、初期段階で情報を整理し、信頼できるメーカーを選ぶことで、製作工程は驚くほどスムーズに進み、手戻りや無駄なコストを最小限に抑えることができます。
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