金型寿命には、金型材料、金型に加わる熱・圧力・摩擦、潤滑や冷却、清掃・点検・部品交換などの保全方法が影響します。継続使用、補修、部品交換、更新を判断するときは、金型の損傷、製品品質、累計ショット数、点検・補修の記録を確認します。
この記事で分かること
- 01寿命と耐用年数の違い現場で使用できる期間と税務上の年数の違い
- 02寿命に影響する要因工法、金型材料、使用条件、保全方法
- 03損傷と品質変化の確認摩耗、割れ、腐食、製品品質の変化
- 04補修・更新の判断点検結果と補修記録を使った判断
金型寿命と法定耐用年数の違い
金型を動かせても、製品の寸法精度や外観が要求品質を満たせない場合は、補修、部品交換、更新を検討します。使用年数が長くても、点検で異常が見つからず製品品質が安定している場合は、点検周期を定めて継続使用できることがあります。
法定耐用年数は、減価償却費を計算するために税務上定められた年数です。現場で金型を使用できる期間とは目的が異なります。継続使用の可否は、金型の状態、製品の測定結果、使用条件を確認して判断してください。
金型寿命に影響する金型材料・使用条件・保全方法
金型に加わる負荷は、プレス、射出成形、ダイカスト、鍛造などの工法によって異なります。圧力、熱、摩擦などの負荷は、加工・成形する材料、金型材料・熱処理、潤滑・冷却などの使用条件によっても変わります。清掃、給脂、点検、消耗部品の交換を行う時期と方法も、損傷の進み方に関係します。
金型が正常だった時期と、損傷や製品品質の変化が現れた時期を比べるため、次の内容を確認します。
| 寿命に関係する要因 | 確認する内容 | 寿命への影響を見極める観点 |
|---|---|---|
| 工法 | プレス、射出成形、ダイカスト、鍛造など | 金型に加わる圧力、熱、摩擦、繰り返し荷重の特徴 |
| 金型材料・熱処理 | 金型材料の種類、硬さ、熱処理、表面処理 | 使用条件に対する耐摩耗性、じん性、耐熱性、耐食性 |
| 加工・成形する材料 | 金属材料の材質・硬さ、樹脂の種類・添加剤、材料ロット | 材料の変更前後で生じた損傷や製品品質の変化 |
| 使用条件 | 金型に加わる圧力・熱・摩擦、加工・成形速度、潤滑、冷却 | 条件変更と損傷、不良、金型温度の変化との関係 |
| 保全方法 | 清掃、給脂、点検周期、消耗部品・入子の交換 | 損傷の早期発見、潤滑・冷却機能の維持、同じ不具合の再発 |
金型メーカーや保全担当者へ相談するときは、工法、金型材料、加工・成形する材料、使用条件、保全方法を共有します。条件の適否は工法と金型構造によって異なるため、どの条件を見直すかを個別に確認してください。
摩耗・割れ・腐食と製品品質の変化を確認する
金型では、摩耗、欠け、割れ、腐食、焼き付き、かじりなどが生じます。熱間で使う金型ではヒートチェック、冷却回路を持つ金型では水路の腐食や詰まりが生じることもあります。損傷を見つけたら、位置、範囲、深さ、発見日を写真と測定値で残します。
製品では、寸法変化、バリ、外観不良、離型不良を確認します。良品を作れていた時期の製品や測定値と比べ、材料ロット、使用条件、点検・補修方法を変更した時期と重なるかを確認してください。条件調整を繰り返さなければ良品を作れない状態も、金型を点検するきっかけになります。
継続使用・補修・更新を判断するための確認
- 製品製品品質を比較する寸法、外観、バリ、離型の状態を、金型が正常だった時期の製品と比べます。
- 金型損傷状態を確認する摩耗、割れ、腐食、摺動部、冷却回路の状態を写真と測定値で残します。
- 条件変更時期を確認する材料ロット、使用条件、点検・補修方法を変更した時期と、品質変化が現れた時期が重なるかを確認します。
- 判断対応方法を検討する要求品質、損傷の範囲、再発の有無から、継続使用、補修、部品交換、更新を検討します。
損傷の大きさだけで対応を決めることはできません。製品形状を作る部分、摺動部、冷却経路に生じた小さな損傷が、製品品質や金型の動作に影響する場合があります。損傷箇所の役割、製品の測定結果、補修の可否、同じ不具合の再発を確認してください。
点検結果と補修記録から継続使用・補修・更新を判断する
判断に使う記録には、点検日、累計ショット数、損傷箇所、写真、測定値、補修内容、交換部品、同じ不具合の再発、製品の測定結果があります。これらを日付順に並べると、金型の状態と製品品質がいつ変化したかを確認できます。
局所的な摩耗や交換部品の劣化は、補修または部品交換で対応できる場合があります。主要部の割れや品質不良の再発がある場合は、補修後も要求品質を維持できるかを確認し、残りの生産数量、今後の補修費用、金型の更新費用を比べます。
| 判断区分 | 判断に使う金型・製品の状態 | 次の行動 |
|---|---|---|
| 継続使用 | 製品が品質基準を満たし、金型の損傷が許容範囲内にある | 点検周期と保全方法を定めて使用を続ける |
| 補修を検討 | 部分的な摩耗・欠け・腐食や、製品寸法の変化がある | 写真、測定値、過去の補修内容をそろえて補修範囲を確認する |
| 部品交換 | 入子、ピン、ガイド、シールなどの交換部品が劣化している | 部品の型式と取付寸法を確認し、交換後に動作と製品品質を確認する |
| 更新を検討 | 主要部の割れ、不良の再発、補修頻度や補修費用の増加がある | 要求品質、残りの生産数量、補修費用、更新費用、必要時期を比較する |
判断に必要な情報が不足している場合は、金型メーカーや保全担当者へ、追加で確認する箇所と測定方法を相談します。損傷の原因を単一の要因に決めつけず、金型材料、使用条件、保全方法、補修後の経過を確認してください。
まとめ
金型寿命には、金型材料、使用条件、保全方法が影響します。継続使用、補修、部品交換、更新を判断するときは、金型の損傷状態、製品品質、累計ショット数、点検結果、補修記録を確認してください。
相談前には、金型図面、製品図面、材質、生産量、累計ショット数、点検写真、製品の測定結果、補修記録、材料や使用条件を変更した記録をそろえます。未確定の条件は、その内容と確定予定を金型メーカーや関係者へ伝えてください。
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登録企業ごとに、対応できる工法、金型の種類、補修・更新の範囲が異なります。対応の可否、費用、納期、保証は、相談する企業へ確認してください。
よくある質問
金型寿命はショット数だけで判断できますか?
累計ショット数だけでは判断できません。金型の損傷状態、製品品質、使用条件、点検結果、補修記録を合わせて確認します。
金型の法定耐用年数と寿命は同じですか?
同じではありません。法定耐用年数は税務上の減価償却に用いる年数です。現場で継続使用できるかは、金型と製品の状態を確認して判断します。
補修と更新のどちらを検討すべきですか?
損傷の位置と程度、同じ不具合の再発、製品の測定結果、残りの生産数量、今後の補修費用を確認します。補修後も要求品質を維持できるかを金型メーカーや保全担当者と検討してください。
金型寿命を相談する前に何を準備すればよいですか?
金型図面、製品図面、材質、生産量、累計ショット数、点検写真、製品の測定結果、補修記録、材料や使用条件を変更した記録を分かる範囲で準備します。
