射出成形のバリ原因|金型・条件・量産移管の確認内容

更新日 2026/10/01(木)
プラスチック成形
射出成形のバリ原因|金型・条件・量産移管の確認内容

射出成形のバリは、金型の隙間に流れ込んだ樹脂が固まり、製品形状の外に残る余分な部分です。発生位置と時点を確かめて対応する金型部分を調べ、型締め、充填・保圧、樹脂の状態に異常や変化がないかを確認します。

この記事で分かること

  1. 01バリの発生位置から調べる金型の部分
  2. 02型締め・充填・保圧と樹脂の状態の確認
  3. 03暫定対策と恒久対策を検討する方法
  4. 04量産移管の前後で比べる設備と材料の条件

バリの位置だけで原因は確定できません。同じ場所に繰り返し出るか、成形を続けるうちに増えるか、材料や設備を変えた後に出たかを確かめると、調べる対象を絞れます。

射出成形のバリは発生位置と状態から調べる

金型の合わせ面、入れ子やスライドの境界、突き出しピンの周囲などに隙間があると、溶融樹脂が入り込んでバリになることがあります。製品全体と拡大した状態を見て、良品と位置・厚さ・長さを比べます。

発生位置に対応する金型の部分を調べる

次の表は、発生位置に応じた確認対象を整理したものです。位置と原因が一対一に対応する表ではなく、成形条件や発生時点も合わせて調べます。

発生位置金型で確認する部分合わせて見る状態
型の分割部に沿った位置合わせ面の傷、摩耗、異物全周か片側か、型締めや取付けに変化があったか
入れ子・スライドの境界合わせ部分、入れ子の着座、スライドの戻り隙間や浮き、動きの不具合があるか
突き出しピンの周囲ピン穴の摩耗、ピンとの隙間、戻り状態同じピン位置で繰り返すか、部品交換後に変化したか

ゲート周辺の突起や薄片には、ゲートの切断や離型の際に残る部分もあります。隙間に樹脂が入り込んだバリか、ゲートを切り離した跡かを区別して、対応する金型部分を確認します。

寸法・外観・組付けへの影響を確認する

バリは見た目だけでなく、製品の寸法や嵌合に影響することがあります。バリが出ている面や穴に求められる寸法と外観の許容範囲を図面で確認し、組付け時の干渉や機能への影響を調べます。

金型の隙間と型締めの状態を確認する

同じ位置にバリが繰り返し出る場合は、合わせ面の傷や摩耗、異物の噛み込み、入れ子やピン周辺の隙間を調べます。清掃後に改善しても再発する場合は、汚れ以外の摩耗や合わせ状態も確認します。

合わせ面・入れ子・ピンの状態を見る

入れ子が正しく着座しているか、固定部分に緩みがないか、スライドが所定の位置へ戻っているかを確認します。突き出しピンの周囲では、ピン穴の摩耗や隙間、ピンが戻ったときの位置を見ます。

ピン穴が摩耗して隙間が大きくなると、そこへ樹脂が入り込んでバリが出ることがあります。摩耗している部位と範囲を確かめ、ピンや周辺部品の修正・交換を検討します。

型締力と合わせ面の接触状態を調べる

樹脂を充填するときの圧力に対して型締力が不足すると、金型が開いて隙間が生じます。型締めの設定と、合わせ面の接触状態に偏りがないかを確認します。

片側に偏って発生するときや、成形機を変更した後に出るときは、金型の取付け、成形機の型締め状態、合わせ面の接触状態を確認します。型締力を調整する際は、成形機と金型の許容条件を守り、調整後の合わせ面の接触状態とバリの発生状況を確認します。

充填・保圧と樹脂の状態を調べる

金型内の圧力が高過ぎる場合や、樹脂の粘度が低くなっている場合にも、隙間へ樹脂が入りやすくなります。充填・保圧中の圧力と樹脂温度の推移を確認し、滞留時間や乾燥条件に変化がないかを調べます。

充填末期と保圧の状態を確認する

射出から保圧へ切り替える位置、充填末期の速度、保圧の大きさと時間を確認します。条件を変更した前後で、圧力波形や製品の状態を比べると、どの段階でバリが増えているかを検討できます。

圧力を下げた結果、ショートショットやヒケが増える場合もあります。バリの量と併せて、充填状態、寸法、外観を確認します。

樹脂温度と材料の状態を合わせて調べる

樹脂温度が高過ぎる場合や、長い滞留時間などで材料が劣化した場合には、粘度が変わってバリが出やすくなることがあります。水分によって劣化する材料では、乾燥状態も確認が必要です。

温度調整の方向は原因によって異なります。高い流動抵抗によって充填圧力が大きくなっている場合と、高温で粘度が低くなっている場合を区別し、使用グレードの推奨温度範囲で調整します。

乾燥が必要な材料は、材料メーカーが指定する温度・時間や管理条件を確認します。材料を変更する場合も、使用グレードに合う乾燥条件を設定し、金型の隙間や成形品の状態を確認します。

発生時点と変更点からバリ原因の候補を絞る

初回から発生するのか、一定期間の成形後に増えるのか、設備・材料・条件の変更後に出たのかを確認します。発生前後の材料・設備・条件の変更を確かめ、バリの位置や量がどの時点から変わったかを調べます。

この節では、原因を調べるための確認対象を、金型、成形条件、成形機、材料に整理します。これは本記事の確認の観点であり、原因が一つの項目だけに属するとは限りません。

確認対象比べる内容判断に使う状態
金型清掃・修理の前後、合わせ面やピンの状態同じ位置での再発、傷や摩耗、隙間の有無
成形条件充填速度、切替位置、保圧、温度の変更前後バリの増減と、充填不足や寸法変化の有無
成形機設備変更、金型取付け、型締め状態片側への偏り、同じ金型での成形結果の差
材料樹脂名・グレード・ロット、乾燥・滞留条件材料の変更時点と、粘度や劣化が疑われる状態

写真や成形記録は、発生した製品とそのときの条件が対応するように残します。変更が複数ある場合は、各変更の前後でバリの位置や量がどう変わったかを調べ、関係する条件を合わせて検討します。

バリの暫定対策と恒久対策の効果を確認する

バリを除去する手仕上げは、発生の原因をなくす対策とは区別します。除去後の寸法、外観、組付けや必要な機能が合格基準を満たすかを確認して、製品の扱いを判断します。

バリを除去した製品は仕上げ後の品質を確認する

除去する箇所と方法を決め、除去前後の製品を識別して記録します。仕上げ後は、バリが残っていないか、製品本体に傷や削り過ぎがないかを確認します。

穴や嵌合面の寸法、組付けと必要な機能を製品仕様の基準と照合します。判定結果と仕上げ方法を残し、基準を満たさない製品の扱いは、不適合品の処置手順に従って決めます。

原因に応じた対策を検討する

合わせ面の汚れや異物がある場合は、清掃後の合わせ状態と再発を確認します。摩耗や傷がある場合は、当該部分の修正・交換を検討し、修理後の試し打ちで元の品質要求を満たすかを確認します。

充填・保圧や樹脂の状態が関わる場合は、金型と材料の条件に合う成形条件を検討します。金型が圧力で変形する場合や、合わせ精度を保てない構造の場合は、金型の支持や構造の見直しも検討対象になります。

再発と別の不良を確認する

対策後は、最初の数個だけでなく、成形を続けたときのバリの発生状況を確認します。寸法、外観、組付けの基準と、ショートショットやヒケなどの別の不良も確認し、対策前後の品質を比較します。

清掃や条件変更で一時的に減っても、同じ場所に再発する場合は、金型の傷・摩耗・隙間を調べ直し、成形中の圧力や温度に変化がないかを確認します。暫定対策で対応している部分と、再発防止のために修正する部分を区別します。

試料と条件を対応させて対策効果を記録する

変更前後の試作品に番号を付け、キャビティ、材料ロット、成形日時、変更した設定と金型の修正箇所を記録します。同じ箇所を同じ観察方法で確認し、バリを測定する場合は、測定位置、方法と実測値を残します。

評価した製品数とバリのある製品数を記録し、寸法・外観・組付けの合否も対応させます。連続成形で再発を調べるときは、採取した時刻やショット数も記録します。

選定した条件は成形条件表へ反映し、修正した金型部分は保全記録へ残します。量産で確認する検査項目、検査数と頻度は、製品仕様と検査の取り決めに合わせて定めます。

量産移管では設備・材料の違いと品質への影響を確認する

別の工場や成形機へ生産を移す場合は、移管前の良品、成形条件、金型の状態を基準にして、移管先の成形結果を比較します。金型と図面が同じでも、設備や取付け、材料の管理状態が異なることがあります。

設定値と実際の成形状態を比べる

移管前後の型締力とそのバランス、金型の取付け、樹脂グレード、乾燥条件、金型の実温度を確認します。成形機が異なる場合は、設定値に加えて、移管前後の充填・保圧の状態と、成形品のバリや寸法の違いを調べます。

初回の試し打ちで品質を確認する

移管先で金型を使って試し打ちを行い、バリの位置と量、寸法、外観、組付けを確認します。バリが出た場合は、移管前からあった隙間や摩耗か、設備・材料・条件の差が関わるかを調べます。

他の不良は「射出成形の不良原因と対策」、樹脂の選定条件は「プラスチック材料の選び方」で確認できます。金型の修正費を検討する場合は「射出成形金型の費用要因」も参照できます。

まとめ

バリの原因を調べる際は、発生位置と時点から調べる範囲を絞り、金型の隙間や型締め、充填・保圧、樹脂の状態に異常や変化がないかを確認します。力や温度を一律に変えるのではなく、確認した状態と使用材料の条件に合う対策を検討します。

対策後はバリの再発と、寸法・外観・組付けへの影響、別の不良を確認します。量産移管では、移管前の良品と成形状態を基準に、設備・材料・条件の違いを調べます。

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よくある質問

射出成形のバリは条件変更だけで直りますか?

条件が原因なら改善する場合があります。合わせ面やピン穴の摩耗、取付けや型締めの偏りがある場合は、それらの状態も確認が必要です。条件変更後は、充填不足や寸法変化なども確認します。

金型修理が必要かどう判断すればよいですか?

同じ場所に繰り返し出る場合は、対応する合わせ面や部品の傷・摩耗・隙間を調べます。清掃や条件調整で再発するか、実際に修正が必要な箇所があるかを確認して、修理する範囲を検討します。

バリ原因を調べるとき最初に何を確認しますか?

良品と不良品を比べ、発生位置と状態、発生した時点、その前後の変更を確認します。製品と成形条件・材料・金型の状態を対応させて、調べる対象を絞ります。