プレス金型の表面処理|摩耗・かじりに応じた選び方

更新日 2026/10/02(金)
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プレス金型の表面処理摩耗・かじりに応じた選び方

プレス金型の表面処理は、パンチやダイの摩耗・被加工材の付着を抑えるために表面を改質する方法です。損傷に応じた皮膜の選び方、処理温度と膜厚、再研磨後の注意点を説明します。

この記事で分かること

  1. 01摩耗・かじりの対策損傷と皮膜の選び方
  2. 02処理方法と皮膜PVD・DLC・窒化・TD処理
  3. 03処理温度の違い金型の硬さと寸法への影響
  4. 04膜厚と再研磨寸法公差と再処理の確認

プレス金型の摩耗・かじりに応じた表面処理

摩耗したパンチやダイでは、刃先や摺動面がすり減った位置を確かめ、耐摩耗性を持つTiN(窒化チタン)やTiCN(炭窒化チタン)などの皮膜を比較します。被加工材の付着や引っかき傷が出ている場合は、耐凝着性を持つ皮膜と金型面の仕上げを検討します。

アルミニウムの付着対策には、DLC皮膜を使う用途があります。DLCは炭素を主成分とする薄膜の総称で、成膜方法によって硬さや密着性が異なります。加工油の供給状態、被加工材、金型の接触面に応じて皮膜を選びます。

皮膜がはがれた場合は、皮膜を支える金型材料の硬さ、処理前の表面の粗さ、刃先の仕上げを確認します。刃先の欠けや割れがある場合は、金型部品の補修・交換の要否を金型製作先と確認してください。

金型面の仕上げと母材の硬さも、表面処理の耐久性に関係します。

PVD・DLC・窒化・TD処理の特徴と処理温度

PVD(物理蒸着)は、真空中で金型表面に皮膜を作る方法です。TiN・TiCNなどは皮膜の名称で、DLCにもPVDで成膜するものがあります。処理方法と皮膜の名称を区別すると、候補の処理を同じ基準で比較できます。

窒化は、金型の表面へ窒素を拡散させて表面を硬化させる処理です。TD処理では、高温の溶融塩に浸すことで金型表面に炭化物層を形成します。

処理温度は施工中に金型を加熱する温度で、皮膜を使える上限を表す耐熱温度とは異なります。次の表は、候補の処理・皮膜ごとに、施工前に確認する情報を整理したものです。

処理・皮膜用途・目的施工前に確認する情報注意点
TiN・TiCNなどのPVD皮膜パンチ・ダイの摩耗対策指定の処理温度と保持時間金型の焼戻し温度と硬さを確認する
DLC皮膜アルミニウムなどの付着対策成膜方法と施工温度成膜方法と処理する面を確認する
プラズマ窒化金型表面の硬化窒化の方式と施工時の温度履歴金型材料と処理後の寸法を確認する
TD処理耐摩耗性を持つ炭化物層の形成施工温度と処理後に行う熱処理の範囲処理後の熱処理と仕上げ寸法を確認する

処理による金型材料の硬さや寸法の変化は、材料と熱処理の履歴に応じて確認します。低温で施工する皮膜と高温で施工するTD処理では、処理後の熱処理や仕上げの計画が異なります。

コーティングの膜厚・金型寸法と再研磨

膜厚は、処理方式と処理する面ごとの施工仕様で確認します。確認した膜厚と、処理前・仕上げ後の寸法を、図面の要求公差と対応させて検討します。

計算例:平行な両側面に同じ膜厚を形成する場合

両側面に膜厚tの皮膜を形成するパンチでは、幾何学上、幅が2t増えます。これは膜厚を一定と仮定した計算例で、処理した金型の実測値ではありません。

金型の内面や凹部では膜厚の分布が変わるため、処理する面、膜厚、仕上げ後の寸法公差を処理会社と確認します。寸法公差が厳しい部位は、処理前の寸法と処理後の仕上げ寸法を図面で示してください。

再研磨する面と再処理する面を確認する

再研磨する金型では、研磨によって皮膜を除去する面と、皮膜が残る面を確認します。古い皮膜を除去できるか、再処理後に寸法公差を満たせるかを処理会社と確認してください。

コーティング後の性能は、製品の寸法、バリ、外観の傷と、金型の摩耗・付着・剥離を確認して評価します。改善した加工数や寿命倍率は、被加工材、加工方法、皮膜、損傷の判定基準を示せる試験結果として扱います。

まとめ

プレス金型の表面処理は、摩耗には耐摩耗性、被加工材の付着には耐凝着性をもとに候補を比較します。金型材料の硬さ、表面の仕上げ、処理温度、膜厚、再研磨後の再処理まで確認してください。

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よくある質問

PVDとDLCはどのように違いますか?

PVDは皮膜を形成する方法で、DLCは炭素を主成分とする皮膜の総称です。DLCにもPVDで成膜するものがあるため、成膜方法と皮膜の種類を分けて確認します。

金型の処理温度と皮膜の耐熱温度は同じですか?

処理温度は施工中に金型を加熱する温度で、耐熱温度は皮膜を使用するときの温度に関する特性です。金型の熱処理履歴と、使用中に金型へ加わる熱を分けて確認します。

数μmの膜厚でも金型寸法は変わりますか?

皮膜を形成した面の寸法は変わります。平行な両側面に同じ膜厚tの皮膜が付く仮定では、パンチの幅は2t増えます。膜厚分布や仕上げを含めて、処理後の寸法が図面の公差内か確認します。

再研磨後は再コーティングが必要ですか?

研磨した面と皮膜が残る面、加工中に接触する部位に応じて判断します。金型材料と残った皮膜に対する除膜・再処理の可否を、処理会社と確認してください。