鋳造の試作・小ロット製作では、部品で評価したい形状や機能、数量、材質、必要な加工と検査を伝えます。型・模型の製作から依頼するのか、加工済みの部品まで受け取るのかを明確にし、将来の量産工法も共有すると、同じ作業範囲で見積りを比較できます。
この記事で分かること
- 01試作目的形状と機能の評価
- 02工法と型材料・形状・数量
- 03見積り型・加工・検査の範囲
- 04追加と量産再製作と再評価の条件
試作で評価する形状・機能を伝える
試作の目的を、確認したい部位と試験内容まで具体的に伝えます。外形や組み付けを確かめる部品と、荷重や温度を加えて機能を評価する部品では、必要な材料、加工、検査が異なります。
次の表は依頼目的の例です。製品の用途に合わせて、評価する面や穴、相手部品、試験する状態を指定してください。
| 依頼目的の例 | 評価する内容 | 見積り前に伝える情報 |
|---|---|---|
| 外形・組み付けの確認 | 外形、穴の位置、相手部品との干渉 | 3Dデータ、主要寸法、加工する面と穴、相手部品の形状 |
| 機能評価 | 強度、温度への対応、摩耗、気密など必要な機能 | 材質の規格、熱処理、使用環境、試験する部位と条件 |
| 量産前の検討 | 予定工法で製作する形状と加工基準 | 量産工法、生産予定数量、型の分割、重要寸法と加工基準面 |
| 補修・代替部品の製作 | 既存部品との取り付け、使用時の機能 | 現物、破損箇所、相手部品、使用環境、図面の有無 |
機能評価を行う場合は、材料名に加えて、必要な特性と試験条件を伝えます。荷重、温度、圧力などの条件は、実際の使用条件や製品仕様から定めます。試作用に別の材料を提案された場合は、どの評価に使用できるかを依頼先と相談します。
補修部品を現物から製作する場合は、欠けや摩耗によって失われた寸法を示します。現物をそのまま測る範囲と、相手部品や図面から形状を検討する範囲を決め、データ作成も見積りへ含めます。
鋳造方法と型・模型の製作条件を比較する
鋳造は、溶かした金属を鋳型へ入れ、固めて部品を作る加工方法です。砂型や石膏型を用いる方法、ろう模型から鋳型を作るロストワックス、金属製の鋳型を用いる方法などがあります。
候補となる工法は、材料、形状、寸法、加工範囲、数量をもとに依頼先と検討します。価格や納期を比較する際は、型や模型をどう製作するか、どこまで加工して納品するかも確認します。
| 候補工法 | 型・模型に関する確認 | 部品について伝える要求 |
|---|---|---|
| 砂型鋳造 | 砂型を作る模型の製作・支給、既存模型の使用可否 | 材料、内部形状、重要寸法、加工基準と取り代 |
| 石膏鋳造 | 模型と石膏型の製作、追加製作時に使える型の範囲 | 対応できる材料、肉厚、評価目的、加工と測定の範囲 |
| ロストワックス | ろう模型を作る型の製作、模型を直接製作する方法の可否 | 形状、材質、寸法、後加工と検査の要求 |
| 重力金型鋳造・ダイカスト | 使用する金型、試作と量産で使う設備や型の関係 | 量産予定工法、材料、形状、鋳造条件と評価項目 |
砂型鋳造では、砂で作った鋳型へ溶かした金属を流し込みます。砂型を作る模型には、木製、樹脂製、金属製のものがあります。金属製の模型は砂型を作るためのもので、溶かした金属を直接入れる金型とは用途が異なります。
石膏鋳造は、アルミ部品の試作に用いられる方法の一つです。対応する材料と形状を依頼先へ確認し、模型製作、鋳造、仕上げ、加工、測定を依頼する範囲を指定します。
ロストワックスは、ろうで作った模型をもとに鋳型を作り、ろうを除いてから溶かした金属を入れる方法です。ろう模型を作る型の費用と、必要な後加工を確認します。少量の依頼では、模型を直接製作できるかも相談します。
重力金型鋳造やダイカストを候補にする場合は、試作に使う金型と設備、追加製作や量産で使う金型を確認します。「簡易型」と提案された場合も、製作できる形状、修正できる箇所、生産予定数量への対応を具体的に尋ねます。

型・模型から加工・検査まで見積りに含める
見積りでは、型・模型の製作費と、部品を鋳造して加工・検査する費用を分けます。依頼元で支給する図面や型、外部へ依頼する作業、受け取る部品の状態を明確にしてください。
| 確認項目 | 依頼前に整理する内容 | 見積りに含める作業の例 |
|---|---|---|
| 図面・形状データ | 完成品図面、3Dデータ、現物、主要寸法 | 図面作成、データ修正、現物からの採寸と形状作成 |
| 材料・熱処理 | 指定材質、必要な特性、熱処理の要求 | 材料の調達、熱処理、必要な証明書 |
| 型・模型 | 新規製作か既存品の支給か、追加製作の予定 | 模型・型の製作と修正、中子を作るための型の製作 |
| 鋳造・仕上げ | 初回数量、追加予定、受け取る形状 | 鋳造、型からの取り出し、不要部分の除去と仕上げ |
| 後加工 | 加工する面と穴、ねじ、基準面、表面の要求 | 機械加工、表面処理、組み付け |
| 検査・納品 | 測定箇所、合否基準、提出書類、納品状態 | 寸法測定、必要な品質試験、梱包と輸送 |
表の作業がすべて基本価格に含まれるという意味ではありません。複数の依頼先へ同じ図面、材料、数量、加工・検査の要求を渡し、依頼する作業をそろえて比較します。
完成品の図面には、加工後の寸法と公差、加工の基準にする面を記載します。鋳造する素材の図面が必要な場合は、作成する担当と費用を相談します。加工する部分には、切削のために残す取り代も検討します。
検査では、鋳放しの状態で測るのか、加工後に測るのかを指定します。寸法測定や気密試験などは、対象部位、方法、合否基準、検査結果の提出方法を決めます。
加工した穴と取り付け面を評価する依頼例
相手部品への取り付けを確かめるため、穴と取り付け面を加工した試作品を依頼すると仮定します。図面には、穴の位置と寸法、基準面、相手部品との関係を示します。鋳造する素材の形状と、加工後に満たす寸法を区別して伝えます。
気密も評価する場合は、試験する部分、圧力などの試験条件、合否基準を指定します。加工を終えた状態で試験するかも決め、試作品の製作と試験を見積りに含める範囲を確認します。
追加製作と量産移行で再確認する条件
追加製作を予定している場合は、数量と時期を伝えます。模型や型を再使用できるか、設計変更時にどこを修正するか、再製作が必要になる条件を依頼先と確認します。初回費用に加え、追加製作の部品加工費と型・模型の費用も尋ねてください。
模型や型の所有者、保管する場所と期間、保管費、修正・返却・廃棄の手順を取り決めます。これらは依頼時に協議する事項であり、初回の製作費だけで無償保管や返却の条件が決まるものではありません。
砂型試作からダイカスト量産へ移る場合
砂型で試作し、量産をダイカストで行う場合は、量産金型の分割方向やスライドの動作を検討します。砂型の中子で作る内部形状についても、量産工法で製作する方法を確認します。
製品を型から抜くための勾配を設ける際は、相手部品との干渉と必要寸法を確認します。加工の基準面と取り代、肉厚も量産工法に合わせて検討します。試作で組み付けができたことに加えて、量産時の湯流れや内部品質など、評価が必要な項目を依頼先と決めます。
試作と量産で材料や製作方法を変える場合は、機能試験の結果を量産品の評価に使える範囲を確認します。材料名、熱処理、鋳造条件、加工、試験条件を示し、量産工法で再評価する項目を決めます。
まとめ
鋳造の試作・小ロット依頼では、評価する形状と機能、受け取る部品の状態を明確にします。図面、材料、初回と追加の数量を伝え、型・模型の製作から加工・検査まで、同じ作業範囲で見積りを比較してください。
量産へ移る予定がある場合は、予定工法と評価項目も共有します。相型MATCHINGで依頼先を探す際は、支給できる図面や現物、希望数量、加工と検査の要求を示し、未確定の項目を相談してください。
費用・見積りの相談ができます
図面や仕様、希望条件をもとに、候補企業探しや見積り相談を進められます。
よくある質問
図面がない段階でも鋳造試作を相談できますか?
現物や写真、主要寸法、使用条件を示して相談します。形状データの作成や採寸も依頼するかを伝え、正式見積りに必要な材料、数量、寸法、加工範囲を依頼先と整理してください。破損や摩耗がある現物は、その箇所も示します。
鋳造方法を決めてから見積りを依頼すべきですか?
工法が未定でも、評価目的、材質、形状、数量、加工と検査の要求を示して候補を相談します。提案された工法について、型・模型の製作、追加製作、納品状態を確認して比較してください。
試作で組み付けができれば、そのまま量産へ移れますか?
量産で使う材料、工法、型の分割、加工基準を確認します。試作で確かめた組み付けに加え、量産工法での湯流れや内部品質、必要な機能試験を評価する範囲を決めてから進めます。
追加製作で同じ模型や型を使えますか?
保管中の状態、設計変更の有無、追加数量に応じて依頼先が使用可否を確認します。初回の見積り時に保管と修正の条件を決め、追加製作に必要な型・模型の費用と製品加工費を確認してください。
