金型は、材料を目的の形に繰り返し加工するための、主に金属で作られた工具です。金属板を打ち抜いたり曲げたりする金型もあれば、溶かした樹脂を流し込む金型もあります。この記事では、金型の種類による仕組みの違いと基本構造、製品の品質・生産数量・費用から選ぶときのポイントを解説します。
この記事で分かること
- 01金型の役割材料を目的の形に加工する仕組み
- 02工法による違いプレス・射出成形・ダイカストの例
- 03金型の構造射出成形の形状部・流路・突き出し
- 04金型を選ぶ条件必要な品質と数量・費用の関係
金型が製品の形を作る仕組み
金型は、作りたい製品の形に合わせて製作し、材料に形を与えるために使います。
たとえば、プレス金型は金属板を挟んで切断したり、力を加えて曲げたりします。一方、熱可塑性樹脂の射出成形金型では、溶かした樹脂を型の空間に入れ、冷やして固めます。
このように、金型の働きは加工方法によって変わります。金型そのものは金属製でも、加工する製品の材料は金属、樹脂、ゴムなどさまざまです。
加工方法による金型の種類
金型には、加工する材料と方法に応じた種類があります。代表例として、プレス用、射出成形用、ダイカスト用の違いを示します。
| 金型の例 | 加工する材料 | 材料を形にする方法 |
|---|---|---|
| プレス金型 | 鋼板などの金属板 | 板を打ち抜く、曲げる、絞る |
| 射出成形金型 | 熱可塑性樹脂の場合は、加熱して溶かした樹脂 | 型内に充填し、冷やして固める |
| ダイカスト金型 | 溶かしたアルミニウム合金や亜鉛合金など | 型内へ圧力をかけて注入し、固める |
ダイカストは鋳造の一種です。このほかにも、金属に力を加えて成形する鍛造用や、ゴム用、ガラス用などの金型があります。
金型の種類を選ぶときは、製品の材料と作りたい形状に対応する加工方法を考えます。同じ名称の金型でも、製品の大きさや形、必要な精度によって具体的な構造は変わります。
射出成形金型を例に見る基本構造
ここでは、熱可塑性樹脂の射出成形金型を例に、樹脂が入り、固まり、取り出されるまでを説明します。
金型を閉じたときにできる製品形状の空間を、キャビティと呼びます。また、金型部品を指す場合には、凹側をキャビティ、凸側をコアと呼び、組み合わせて製品の外側や内側の形を作ります。
樹脂が流れる通路には、成形機から樹脂が入るスプルー、樹脂を導くランナー、製品形状の空間への入口となるゲートがあります。実際の流路の構成は、金型の方式や一度に作る製品の数によって異なります。
型内の樹脂が冷えて固まったら金型を開き、エジェクタピンなどで成形品を押し出して取り出します。形を作る部分に加えて、樹脂を流し、冷やし、製品を取り出すための仕組みが必要です。
金型の分割面とアンダーカット
射出成形金型を設計するときは、製品形状を作れることと、固まった製品を取り出せることを合わせて考えます。
金型を分割する面の位置は、製品表面に現れるパーティングラインの位置に関わります。合わせ部には線やバリが現れることがあるため、外観が重要な面にどのような跡が残るかを検討します。
アンダーカットとは、型を開く方向に引っ掛かり、そのままでは製品を取り出せない形状です。たとえば、型の開く方向と直角に設けた横穴を一体の金型で作ると、穴を作る部分が取出しを妨げます。
このような場合は、横へ動くスライドで穴を作る部分を逃がす方法や、製品形状・金型の分割位置を変える方法を検討します。スライドなどの機構が増えると、部品の製作や組立にも作業が増えるため、必要な形状と金型の製作費を合わせて考えます。
金型を選ぶときの品質・数量・費用
金型の仕様は、製品の材料、形状、寸法精度、外観の要求に合わせて検討します。使用する設備に取り付けられる大きさか、必要な加工ができるかも確認します。
金型を使うには、設計・製作の初期費用と準備期間が必要です。金型費が一定なら、生産する良品の総数が増えるほど、製品1個当たりに配分する金型費は小さくなります。
費用を比較するときは、金型費に、材料費や成形・加工にかかる費用を加え、同じ良品数量を作るための総額で比べます。表面を細かく仕上げる作業や複雑な機構が必要な金型では、その製作作業も費用に反映されます。
数量による費用の違いを、仮定の数字で比較してみます。同じ材料と品質の製品を作れる候補A・Bについて、Aの初期費用を60万円、良品1個当たりの材料・加工費を100円、Bの初期費用を6万円、良品1個当たりの材料・加工費を400円と仮定します。
良品1,800個では、Aは60万円+100円×1,800個、Bは6万円+400円×1,800個となり、どちらも78万円です。良品2,000個では、Aは80万円、Bは86万円となります。
これは相場や実績を示す数字ではなく、比較する費用を初期費用と良品1個当たりの材料・加工費に限った計算例です。実際の比較では、保全や形状変更などにかかる費用も、候補ごとに同じ範囲で加えます。
少量の試作や形状変更を繰り返す段階では、切削加工や3Dプリントも比較対象になります。その場合は、試作で確かめたい寸法、外観、強度などに加えて、使用できる材料が目的に合うかを確認します。
金型を作った後の形状変更には、型の改造や作り直しが必要になる場合があります。製品の形状が固まる時期と、金型製作・試し加工・製品評価に必要な期間を考慮して進めます。
まとめ
金型の種類や構造は、加工する材料と方法によって変わります。作りたい製品の形状と品質を満たす加工方法を考え、金型から製品を取り出せるか、設備に対応するか、生産数量に対して費用が見合うかを確かめることが、金型選びの基本です。
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よくある質問
金型は金属製品を作るためだけに使いますか?
金型には、樹脂、ゴム、ガラスなどの製品を作るものもあります。「金型」の金属は主に型自体の材料を指しており、製品の材料が金属とは限りません。
キャビティとコアは、どの金型にもありますか?
この記事では射出成形の形状部として説明しています。金型の部品や呼び方は工法によって異なり、プレス金型などに射出成形の部品構成をそのまま当てはめることはできません。
金型を使う方が安くなる生産数量の目安はありますか?
どの製品にも共通する数量は示せません。金型の製作費、製品1個当たりの材料費と加工費、必要な良品数量を使い、候補となる加工方法の総費用を比較します。