金型の冷却回路設計|水路の配置と温度・流量の確認

更新日 2026年10月4日
射出成形
金型の冷却回路設計水路の配置と温度・流量の確認

射出成形金型の冷却回路は、樹脂から金型へ伝わった熱を、冷却水で金型の外へ運び出す流路です。製品の厚肉部や深いコアは熱が逃げにくく、冷却の遅れや温度むらが成形時間や反りに影響します。水路の配置、直列・並列の接続方法、試作時の温度と流量の確認方法を解説します。

この記事で分かること

  1. 01水路の配置熱が逃げにくい部分の冷却
  2. 02回路の接続直列・並列と流量の違い
  3. 03温度と流量測定値から冷却状態を判断
  4. 04試作での評価製品品質と必要な冷却時間

製品形状と金型構造に合わせた冷却水路の配置

熱可塑性樹脂の射出成形では、溶けた樹脂を金型の中で冷やし、取り出せる状態まで固めます。樹脂の熱は金型へ伝わり、水路を流れる冷却水が金型から熱を奪います。水路を設計するときは、製品のどこに熱が残りやすいかと、その熱を逃がす経路を考えます。

厚肉部と深いコアの冷却

製品の厚い部分は薄い部分より冷えるのに時間がかかり、肉厚差が大きいと冷却の進み方に差が生じます。ボスやリブの根元などで樹脂が厚くなる場合は、水路の検討とともに、肉抜きなどで厚肉部を減らせるか製品形状を見直します。

コアは、製品の内側や穴などの形を作る金型部品です。細長いコアは樹脂に囲まれて熱を受ける一方、熱が逃げる金属の断面や、水路を設けるスペースが限られます。このため、製品の肉厚がそろっていても、コア側の冷却が遅れることがあります。

コア内部の穴に仕切り板を入れて水を往復させるバッフルや、内管から先端へ水を送り、外側の隙間から戻すバブラーなどが、コアを冷やす方法として使われます。水路を収められる寸法と、先端まで水が流れる構造を確認して検討します。

成形面との距離と他部品との干渉

水路を成形面に近づけると熱を逃がしやすくなりますが、水路の近くと離れた部分で温度差が生じることがあります。エジェクタピンや可動するコアなどの位置も、水路を配置できる範囲を制約します。金型設計では、温度分布、部品同士の干渉、必要な金型強度を確認して水路の位置を決めます。

コンフォーマル冷却は、成形面の形状に沿って水路を設ける方法です。直線の穴では近づけにくい場所にも水路を配置するための選択肢ですが、効果は実際の流量や金型の温度分布を含めて評価します。

金型の温度分布と冷却回路の接続方法

冷却が場所によって異なると、成形品の収縮の差が反りにつながることがあります。金型の温度分布を考える際は、水路の配置に加え、水がどの順序で、どれだけ流れるかを確認します。

直列回路と並列回路の違い

直列回路では、同じ水が一つの流路を順に通ります。途中に分岐がなければ同じ量の水が流れますが、金型から熱を受けるにつれて水温が上がります。また、長い流路では圧力損失が大きくなり、ポンプの能力によっては必要な流量を確保できません。

並列回路では、水を複数の流路へ分岐させます。枝ごとの長さや径などで流れにくさが異なるため、各枝に同じ量の水が流れるとは限りません。総流量が変わらなくても、一部の枝で流量が減っている場合があるため、枝ごとの流量を測ります。

検討例として、同じ供給・戻り配管につないだ長い枝と短い枝を考えます。枝ごとの流量を測り、流量が少ない枝では水路やホースの長さ・内径、曲がり、詰まりを調べます。各枝の入口・出口の水温と、その枝で冷やす金型部分の温度を測ると、流量の偏りがどの部分の冷却に影響しているか検討できます。

比較項目水の流れ注意する点
直列回路一つの流路を順に通る下流側の水温上昇と、長い流路による圧力損失
並列回路複数の枝へ分かれて流れる枝ごとの抵抗による流量差と、一部の枝の流量不足

直列・並列は回路の接続方法を表します。コンフォーマル冷却は水路の形状を表すため、水路形状と接続方法をそれぞれ検討します。

冷却解析で温度の偏りを予測する

冷却解析では、製品と金型の形状、使用材料、水路の配置、冷却水の温度と流量などから、金型や樹脂の温度、冷却時間を予測します。水路配置や接続を変えた案を比較し、温度が高く残る場所や、冷却に時間がかかる部分を探します。解析結果は入力条件に基づく予測なので、試作で測った温度・流量と、成形品の状態を確かめます。

冷却水の流量・圧力・入口温度・出口温度の測定

流量と圧力を分けて確認する

流量は、単位時間に水路を通る冷却水の量です。実際の流量は、供給側の圧力と、金型・配管を通る際の流れにくさによって変わります。同じ流量を通す場合でも、水路が長い、径が細い、曲がりが多いといった条件では、必要な圧力差が大きくなります。

ポンプの表示や仕様値を確認したうえで、金型を接続した状態の流量と、入口・出口の圧力を測ります。並列回路では枝ごとの流量を確認し、低下している場合は接続や流路の詰まりを調べます。清掃・点検の手順は金型や温調装置の仕様に合わせて確認してください。

同じ高さ・内径の配管で入口・出口の圧力を測る場合は、その圧力差を測定位置の間で生じる圧力損失として確認します。測定位置を記録し、水路やホースを含むどの範囲の損失なのかを明確にしたうえで、そのときの流量を確認します。

入口と出口の温度差を読み取る

冷却水は金型から熱を受けると温度が上がります。同じ水を使う場合、単位時間に運び出す熱量は、流量と入口・出口の温度差に関係します。温度差が大きくても、流量が少なければ十分な熱を運び出せていない場合があります。

同じ金型から同じ量の熱が水へ移る条件で流量が減ると、入口から出口までの水温上昇は大きくなります。

入口・出口の温度を流量とともに測り、金型表面の温度と成形品の品質も確認します。冷却水の温度と金型表面の温度は同じとは限らないため、それぞれを測定します。

製品品質と必要な冷却時間を確かめる

金型表面の温度を比較するときは、測る位置と、成形サイクル中の測定時点をそろえます。水温・流量と金型温度が安定した状態で、成形品の外観を確認し、寸法や反りを評価します。厚肉部やコア周辺など、解析で冷却が遅れると予測した箇所は、対応する製品部分も確認します。

水路や冷却条件を変更して試すときは、使用材料と射出・保圧条件を記録し、どの条件を変えた結果か分かるようにします。品質を満たす冷却時間を確かめ、型開きや取出しも含めた成形サイクル全体を測定します。解析との差が大きい場合は、入力した材料データや水温・流量が実際の条件に合っているかを確認します。

まとめ

射出成形金型の冷却回路は、熱が残りやすい部分と金型構造を基に水路を配置し、回路ごとに必要な水が流れるように設計します。試作では流量・圧力・入口と出口の水温に加え、金型表面温度を測り、成形品の品質と必要な冷却時間を確かめます。冷却性能は、水温と各回路の流量を測り、水の流れと金型からの熱の移動を結び付けて評価することが大切です。

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よくある質問

冷却水路を増やせば冷却時間は短くなりますか?

水路を増やした後も、必要な流量が確保できるか確認が必要です。分岐の追加で各枝の流量が減る場合もあるため、温度分布と流量を調べ、製品品質を満たす冷却時間を試作で確かめます。

直列回路と並列回路はどちらがよいですか?

水路の長さや径、必要な冷却範囲、供給できる流量・圧力で判断します。直列では下流側の水温上昇と圧力損失、並列では枝ごとの流量差を確認します。

入口と出口の水温差は大きい方がよいですか?

水温差だけでは判断できません。流量不足で出口側の水温が上がる場合もあるため、流量、金型表面温度、成形品の状態を合わせて確認します。

冷却解析を行えば試作での確認は不要ですか?

解析に使った条件と実際の条件が一致するか、試作で確かめます。水温・流量と金型表面温度を測り、成形品の外観・寸法・反り、必要な冷却時間を確認します。