射出成形のコストを削減する方法|材料費・金型仕様・成形サイクルを見直す手順

更新日 2026/10/05(月)
射出成形
射出成形のコストを削減する方法材料費・金型仕様・成形サイクルを見直す手順

射出成形のコスト削減では、必要な品質を保ちながら、使う材料、金型の製作費、成形にかかる時間を減らす方法を検討します。費用の内訳から改善箇所を見つけ、製品形状や金型仕様、成形条件を見直し、良品1個当たりの費用で効果を確かめる手順を解説します。

この記事で分かること

  1. 01費用の内訳良品1個当たりで比較する方法
  2. 02材料費の見直し製品形状と材料ロスの関係
  3. 03金型仕様の見直し製作費・取り数・ランナー方式
  4. 04改善効果の確認成形時間と品質を含めた評価

射出成形の費用内訳と良品1個当たりのコスト

射出成形のコストには、樹脂の材料費、成形機の運転や作業にかかる費用、金型費、検査や二次加工などの費用があります。改善する製品について、どの費用が大きく、何に使われているかを調べます。

生産実績から1個当たりの費用を調べるときは、集計した費用を同じ期間に得られた良品数で割ります。材料や時間を使っても、不良品は良品数に含めないため、不良が増えると良品1個を作るための負担が大きくなります。

費用確認する数値見直す内容
材料費使用した購入材料の重量と単価、廃棄量製品重量、ランナー、材料切替え時の損失
成形にかかる費用成形機の運転時間、作業時間、良品数成形サイクル、待ち時間、不良の発生
金型費製作・改修費と、その金型で作る製品の総数金型構造、仕上げ、取り数と生産数量
検査・二次加工などの費用検査や仕上げ、再加工にかかる時間と費用製品に必要な作業と不良による追加作業

金型の製作・改修費を1個当たりに含める場合は、その金型で今後生産する良品の総数を見込んで配分します。改善案を比べるときは、生産数量と費用に含める範囲をそろえてください。

例えば、同じ図面・樹脂・品質基準で継続生産し、金型費を成形品単価に含めない場合を仮定します。生産全体の総費用は「金型費+成形品単価×その金型で生産する良品の総数+単価に含まれない費用」で比べます。一回の発注数量が小さい場合は、各ロットの段取りや立上げに使う時間と廃棄材料も集計します。金型費を配分する生涯の生産数量と、一回に発注する数量を区別し、単価に含まれる費用は重ねて加算しません。

不良品に使った樹脂や成形時間が材料費・成形費に含まれている場合、その費用を「不良損失」として重ねて足す必要はありません。選別や再加工で増えた作業は、どこまで集計したかを確認して加えます。

材料費を抑える製品形状と再生材の使い方

製品の体積を減らすと、1個を成形するための樹脂を減らせます。厚い部分を肉抜きし、必要な剛性をリブで補うなど、用途に合う強度と形状を保ちながら設計を見直します。

薄い部分では樹脂が行き渡らず、充填不足が起こることがあります。厚みを変えるときは、材料の特性と流れる距離を考慮し、成形品の寸法、外観、強度を評価します。

材料ロスを調べるときは、製品以外に固まるランナー、材料を切り替える際に排出する樹脂、立上げ時や不良品として廃棄する量を確認します。購入した樹脂が、良品とそれ以外にどれだけ使われているかを把握します。

ランナーなどを粉砕して再使用する場合は、その樹脂で認められる使用条件と製品の要求品質を確かめます。繰り返し加熱されたり、強化繊維が損傷したりすることで、強度や成形性が変わる材料もあります。

費用の試算には、実際に再投入する量と、粉砕・乾燥などにかかる費用を使います。再使用できる材料を保管しているだけでは、その分の購入材料を減らしたことにはなりません。同じ樹脂の購入費を再投入のたびに加算しないようにします。

金型仕様と生産数量に合わせて費用を見直す

製品を金型からまっすぐ取り出せないアンダーカットがあると、横へ動くスライドなどの機構が必要になることがあります。製品の機能を保って形状や型の分割位置を変えられれば、こうした機構を減らし、金型の製作費を抑えられる場合があります。

金型表面の鏡面仕上げにも作業が必要です。光沢や透明感が必要な面と、それ以外の面に求める仕上げを確認し、製品に必要な範囲へ加工を絞ります。

多数個取りは、同じ形状の成形品を1回の射出で複数作る方式です。生産量を増やす手段になりますが、金型費も変わるため、その金型で作る製品の総数と1個当たりの成形費を含めて費用を比較します。

同じ図面と樹脂で取り数の異なる金型を比べる場合を仮定します。各金型の実際の成形サイクルと、同じ稼働時間に得られる良品数を調べ、停止時間や選別作業も含めて比較します。各成形品への充填の偏りと必要な射出容量・型締力を確認し、使う成形機の費用と金型費を含めて良品1個当たりの費用を計算します。

ランナー方式も材料費と金型費に関わります。コールドランナーでは、樹脂の流路部分が固まって製品とともに取り出されます。ホットランナーは、ヒーターで流路の樹脂を溶融状態に保ち、固まったランナーとして取り出す材料を減らします。

ホットランナーの加熱部品や温度制御装置、保全にかかる費用も含め、生産数量に対してどれだけ材料や成形時間を減らせるかを試算します。製品形状や樹脂に合う方式を選び、変更に必要な費用と削減額を比べてください。

成形サイクルと不良を改善し、削減効果を確かめる

動作の重なりと冷却の状態を調べる

成形サイクルを短くするには、充填・保圧・冷却・型開閉・取出しなどにかかる時間と、動作の開始・終了を調べます。冷却中に次の射出に使う樹脂を溶かす可塑化を行うなど、同時に進む動作があるため、サイクル全体の時間も測定します。

動作が終わるのを待っている時間や、金型を必要以上に大きく開いている部分があれば、設備と金型の仕様に沿って見直します。動作を重ねる場合は、金型や取出し装置が干渉しないことを確認します。

冷却を改善するときは、水路の配置、水温、水の流れを確認し、製品全体から必要な熱を均一に取り除けるかを調べます。冷え方に偏りがあると反りなどの品質に影響するため、冷却時間の変更後は成形品を評価します。

品質と良品1個当たりの費用を評価する

製品形状、材料、金型や成形条件を変えた後は、成形品の寸法・外観・強度など、対象製品に必要な品質を確認します。変更した条件と検査結果を残し、不良の種類や発生数、再加工にかかった時間も調べます。

品質を満たすことを確かめたうえで、良品1個当たりの材料使用量、成形に使った時間、費用を改善前と比べます。サイクルを短くしても不良や選別作業が増えれば、費用の削減効果が小さくなることがあります。

金型の改修や設備の追加が必要な改善では、その費用も含めて生産数量に対する削減効果を試算します。変更承認が必要な製品は、所定の確認と承認を終えてから生産条件へ反映してください。

まとめ

射出成形のコスト削減では、費用の内訳と生産実績から改善箇所を見つけ、材料使用量、金型仕様、成形サイクルを見直します。変更後の品質を確認し、不良や追加作業、金型改修の費用も含めて、良品1個当たりの費用が減ったかを確かめましょう。

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よくある質問

金型費を抑えるにはどこを見直しますか?

アンダーカットを処理する機構や、鏡面仕上げが必要な範囲を確認します。取り数やランナー方式を変える場合は、金型の製作・改修費と、生産する製品の総数に応じた材料費・成形費を合わせて比べます。

ランナーを再使用すれば材料費は下がりますか?

製品の品質を満たし、実際に購入材料の使用量を減らせる場合に効果を見込めます。再使用による物性や成形性の変化を確認し、粉砕・乾燥などの費用も含めて試算します。

成形サイクルを短くした効果はどう確かめますか?

変更後の寸法や外観などを検査し、良品数と成形時間、材料使用量、追加作業の費用を記録します。改善前と費用の集計範囲をそろえ、良品1個当たりの費用が減ったかを確認します。