ゲートは、射出成形でキャビティへ溶融樹脂を入れる入口です。樹脂を十分に充填し、外観や強度の要求を満たすには、入口の形と位置、製品から切り離す方法を検討します。代表的なゲートの違いと、設計・試作で確かめる内容を解説します。
この記事で分かること
- 01ゲートの種類入口の形と樹脂の流れ
- 02ゲート位置肉厚・外観・強度との関係
- 03ゲートの切断分離する動作と仕上げ
- 04解析と試作充填・合流位置・製品品質
ゲートの役割と種類
ゲートは、製品の形を作る金型内の空間であるキャビティへ、溶融樹脂を流し込む入口です。ランナーの末端に設ける形のほか、成形機のノズルから樹脂を受けるスプルーが直接キャビティにつながるダイレクトゲートもあります。
ゲートの断面が小さいと樹脂が通る際の抵抗が大きくなり、充填に必要な圧力が高くなります。充填後は、樹脂の冷却収縮を補うために圧力をかける保圧が行われます。ゲート内の樹脂が固まると、保圧によってキャビティへ樹脂を補充できなくなります。
下表は、ランナーなどの流路内で樹脂を固めて取り出すコールドランナー金型で使われる、代表的なゲートの比較です。
| 種類 | 形状・樹脂の流れ | 切断・仕上げ |
|---|---|---|
| サイドゲート | 金型の分割面から製品の側面へ流す | 取り出し後に切り離し、跡を仕上げる |
| ピンポイントゲート | 小さな点状の入口から流す | 型開きの動作で分離する構造にできる |
| トンネルゲート | 金型の分割面を潜る斜めの流路から入れる | 製品やランナーの取り出し動作で分離する |
| ファンゲート | 扇状に幅を広げて流す | 幅のある接続部の切断・仕上げが必要 |
| ダイレクトゲート | スプルーから直接キャビティへ入れる | スプルーを切り離し、大きな跡を仕上げる |
サイドゲートは位置や寸法を調整しやすく、ファンゲートは平板などで流れの広がりを整えるために用いられます。ピンポイントゲートやトンネルゲートは自動切断を検討できますが、材料の性質や製品の肉厚によって、切断時の欠けやゲート残りが問題になります。使用する材料グレードについて、メーカーが推奨するゲートの形状と寸法を確認します。
製品形状・外観・強度を考慮したゲート位置の決め方
肉厚と保圧の伝わり方
肉厚に差がある製品では、厚肉部へ樹脂を送り込める位置を検討します。薄肉部は早く冷えて固まるため、薄肉部を通して厚肉部へ樹脂を送る配置では、充填不足や保圧不足が起こりやすくなります。
製品の肉厚分布と、ゲートから流動末端までの距離を確認します。材料の流動性に合わせて、入口の位置・数・断面を検討してください。
検討例として、薄い平面と厚い取付部を持つカバーを考えます。取付部へ樹脂を送り込める位置を候補にし、切断後の跡が外観面や組付けに支障を与えないか、図面で確かめます。試作品では取付部のヒケと充填状態、表面に残る跡を確認します。
ゲート跡とウェルドラインの位置
製品表面に残るゲート跡は、外観や他の部品との組付けに影響します。図面で外観面、嵌合面、シール面を確認し、切断後の突起や凹みを許容できる場所にゲートを設けます。
穴の周囲で分かれた樹脂や、複数のゲートから入った樹脂は、キャビティ内で合流します。合流部にはウェルドラインと呼ばれる線状の跡が生じ、外観や強度の問題になることがあります。使用時に大きな力がかかる場所へ合流部が重ならないよう、ゲートの位置と樹脂の流れを検討します。
ガラス繊維で強化した樹脂では、繊維の向きによって強度や収縮の程度が変わります。ゲート位置を変えたときは、ウェルドラインに加えて、流れ方向と荷重方向、反りへの影響を評価します。
複数ゲートと多数個取りの充填
1個の製品へ複数のゲートを設ける場合は、それぞれから入る樹脂の流れと合流位置を検討します。1ショットで同じ製品を複数個成形する多数個取りでは、各キャビティが偏りなく充填されるよう、ランナーとゲートの配置・寸法を検討します。
充填解析を使う場合は、候補ごとの流れ方、圧力、ウェルドラインの位置を比較します。そり解析では、成形後の変形も予測できます。実際に金型で成形した試作品で外観・寸法・必要な強度を確かめ、要求を満たさない箇所を修正します。
ゲートの種類と切断方法
サイドゲートやファンゲートでは、製品を取り出した後にゲートを切断し、残った跡を仕上げます。人手で切断する場合は、工具が入る空間や製品を支える方法を検討し、切断面の品質と作業時間を試作で確認します。
ピンポイントゲートは型開きの動作を使い、トンネルゲートは製品やランナーを取り出す動作を使って分離する構造です。自動切断では、製品の欠け、ゲートの残り、ランナーの排出を繰り返し確認し、製品の外観基準に沿って切断面を判定します。
材料によって使いやすいゲート形状は異なります。例えば、PPS樹脂の設計資料では、トンネルゲートを使う場合の侵入角に条件を設けています。自動切断できる形状を検討するときも、メーカーが推奨するゲートの形状と寸法を確認し、試作品で切断部の欠けやゲート残りを確かめてください。
ゲートに関係する成形不良
成形不良は、樹脂の流れ、保圧、冷却などが製品形状や成形条件に合わないときに発生します。症状が現れた場所を確かめ、ゲートの位置や断面とともに、材料・金型・成形条件を調べます。
| 不良 | 状態 | 確認事項 |
|---|---|---|
| ショートショット | 樹脂が行き渡らず、形状の一部が成形されない | ゲートの流動抵抗、射出圧力・速度、温度、ガス抜き |
| ウェルドライン | 樹脂の流れが合流した場所に線状の跡が残る | ゲート位置・数、合流部の強度、樹脂温度・金型温度 |
| ヒケ | 収縮によって製品の表面が窪む | 厚肉部への保圧、ゲートの固化、肉厚差、冷却 |
| ジェッティング | ゲートから入った樹脂の蛇行した跡が残る | ゲート断面・流入方向、射出速度、樹脂温度・金型温度 |
| 反り | 部位ごとの収縮差などで製品が変形する | ゲートによる流れの偏り、繊維の向き、肉厚差、冷却差 |
ゲートが早く固まって厚肉部へ樹脂を補充できない場合、保圧時間を延ばしてもヒケは改善しません。ゲートの寸法・位置と、材料や金型の温度を確認し、樹脂を補充できる状態かを調べます。
ゲートが固まる時点を調べる方法には、ほかの成形条件をそろえて保圧時間を変え、製品質量の変化を測る方法があります。保圧時間を延ばしても製品質量が増えなくなる時点を、ゲート固化の目安にします。その条件で成形した試作品のヒケや寸法も、製品の基準を満たすか確かめます。
試作結果には、ゲートの形状・寸法・位置と、材料グレード、射出・保圧・冷却条件を残します。変更前後の外観や測定結果を比べる際は、どの形状や条件を変更した試作品かを確認します。
まとめ
射出成形のゲート設計では、材料と製品形状に合う樹脂の流れを確保し、ゲート跡やウェルドラインが外観・強度の要求を満たす位置を選びます。切断方法も金型構造と材料に合わせて検討し、試作品で充填状態、外観、寸法、必要な強度、切断面を確かめます。
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よくある質問
ゲートは小さいほどよいですか?
小さなゲートは跡を小さくできますが、樹脂の流動抵抗が増え、早く固まることで保圧が十分に伝わらない場合があります。材料グレードの推奨寸法と製品の肉厚を基に、試作で充填状態やヒケを確認して寸法を決めます。
ゲート跡が目立つ場合はどこを見直しますか?
跡を許容できる位置へ移せるか、入口の形状・寸法や切断方法を変えられるか検討します。位置を変えた場合は、樹脂の合流位置と充填状態、製品の寸法や強度も確認します。
自動切断にすれば仕上げは不要ですか?
ピンポイントゲートやトンネルゲートでも、材料や形状によって切断時に欠けやゲート残りが生じます。試作品の切断面を製品の外観基準で判定し、仕上げの要否を決めます。
複数ゲートでは何を確認しますか?
1個の製品に複数のゲートを設ける場合は、それぞれからの樹脂の流れと合流位置を確認します。多数個取りの場合は、各キャビティへの充填の偏りも確認します。
CAE解析だけでゲート位置を確定できますか?
解析では、ゲート位置の候補ごとに樹脂の流れや圧力、ウェルドライン、変形を予測します。金型で成形した試作品の外観・寸法・必要な強度を確かめ、ゲート位置や寸法を調整します。