プレス加工のかじり対策|表面処理・潤滑・クリアランス

更新日 2026/10/05(月)
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プレス加工のかじり対策|表面処理・潤滑・クリアランス

プレス加工のかじりは、被加工材が金型表面へ付着し、製品や金型に擦り傷・焼付きが生じる現象です。発生箇所と接触する金型面を確認し、潤滑、表面状態、表面処理、クリアランスを調べます。この記事では、原因確認から補修、対策後の寸法・外観と再発確認までを解説します。

この記事で分かること

  1. 01かじりとは製品の傷と金型の付着物
  2. 02加工油の供給塗布位置・量と連続加工
  3. 03金型の対策工具面・皮膜・すきま
  4. 04対策後の品質外観・寸法と再発の確認

プレス加工のかじりとは

かじりは、金型と材料がこすれる部分に生じる傷や表面の損傷です。材料の一部が金型に強く付着する「凝着」が起きると、その付着物が後から通る材料を引っかき、製品に筋状の傷を付けます。金型表面の荒れや、間に入り込んだ異物も傷の原因になります。凝着は材料が強く付着する現象で、摩耗は接触によって表面の材料が失われる現象です。

製品では傷の位置と伸びる方向を調べ、金型ではその箇所に接触する面の付着物や荒れを確認します。亜鉛めっき鋼板の摺動試験では、めっき成分の亜鉛が金型皮膜に付着した例があります。

傷が出た箇所に接触する金型面を調べる

点検や清掃で金型に近づく際は、プレス機を停止し、他の人による起動を防ぐ措置など、設備に定められた安全手順に従います。

例えば側壁に縦の傷が続く場合は、その側壁が金型のどの面を通るかを確認します。製品の表裏、傷の始点と終点が分かる写真を残すと、金型の接触箇所を調べる際に役立ちます。付着物を除去する前に金型の状態も撮影しておきます。

傷のある製品は良品と識別し、外観基準に従って検査します。

加工油の供給と連続加工中の潤滑を確認する

加工油は金型と材料の摩擦や凝着を抑えるために使います。油の種類に加え、傷が出る箇所まで油が届いているか、加工を繰り返す間も潤滑できているかを確認します。

塗布位置と塗布量を見直す

ノズルやローラーで塗布する場合は、油が付く位置と量を調べます。傷が出る部分に油が届かない場合は、塗布位置や供給経路を調整します。同じ箇所を繰り返し曲げる加工では、加工部に油が残るかも確認します。

水溶性の加工油を使う場合は、使用製品の指定に沿って希釈濃度を管理します。

連続加工で傷が増える場合の確認

加工開始時には傷がなく、連続加工中に傷が増える場合は、油の供給状態と金型への付着物の増加を調べます。摩擦による発熱もかじりに関係するため、傷が出たときの加工速度、連続加工時間、金型の温度を確認します。

例えば、清掃後の初品には傷がなく、加工を続けると同じ側壁に傷が出ると仮定します。初品と傷が出た製品を分けて残し、傷に接触する金型面の写真と、その箇所への給油状態を記録します。付着物が増えている場合は油の供給経路と工具面を調べ、傷が片側に偏る場合は金型のすきまと取付け状態も調べます。

材料を変更した直後に発生した場合は、材質、板厚、めっきの種類を確認します。加工油を変更した際は、かじりに加えて製品の変色や油の除去状態も確かめます。

金型表面の補修と表面処理を検討する

金型に付着物や深い傷が残っている場合は、工具面の補修が必要かを調べます。付着物の除去、傷の補修、皮膜の再処理では作業内容が異なるため、損傷の状態に合う方法を選びます。

付着物・摩耗・皮膜の損傷を確認する

点検では、材料が付着して盛り上がった箇所、工具面が削れて荒れた箇所、皮膜が割れたり剥がれたりした箇所を確認します。研磨する場合は、加工面の形状と寸法、皮膜の状態への影響を確かめて補修します。

付着物を除去しても同じ位置でかじりが再発する場合は、油の供給と局部的に強く接触する箇所を調べます。付着物を取り除く暫定対策に加え、再発の原因となる潤滑や接触状態を改善する恒久対策が必要です。

加工する材料に合う皮膜を選定する

金型の表面処理は、加工する板材の材質やめっき、金型材、加工時の接触状態に合わせて検討します。例えば、アルミニウムの凝着対策には、炭素を主成分とするDLC皮膜を用いる方法があります。高張力鋼板向けにはチタン系・クロム系などの皮膜が使われています。

皮膜を設けた金型でも、強い面圧や繰り返しの滑りによって損傷することがあります。処理後は製品の傷と、金型皮膜の付着物・割れ・剥離を確認します。表面処理の種類と用途は、プレス金型の表面処理で詳しく解説しています。

クリアランスと金型の片当たりを確認する

クリアランスは金型のすきまです。抜き加工では、材料を押し抜くパンチと受け側のダイの刃先のすきまを指します。絞り加工では、材料が通る金型間のすきまを指します。加工方法によって、すきまが製品品質へ及ぼす影響は異なります。

抜き加工は工具摩耗と製品寸法を確認する

抜き加工では、クリアランスの大きさが工具との接触や摩耗に影響します。高強度鋼板の打抜き試験では、クリアランスを広げると工具摩耗が減る一方、穴の内径や抜き片の外径も変わっています。

調整する際は、現在のすきまと左右の偏りを測定し、変更後の穴径・外形寸法、バリ、切断面を確認します。クリアランスの寸法は、材料と板厚、求める寸法・切断面の品質に合わせて決めます。

絞り加工のすきまと片当たりを確認する

絞り加工で材料が通るすきまが狭い場合は、材料と金型の接触によってかじりが発生することがあります。傷が一方の側壁や特定の角に集中する場合は、その箇所のすきまや接触面を調べます。

金型の片当たりがある場合は、取付け状態や位置のずれを確認します。すきまを調整した後は、側壁の傷に加え、板厚、寸法、しわや割れも検査します。

かじり対策後の品質と再発を確認する

対策後は製品の傷が減ったかを確かめ、外観基準に従って合否を判定します。油、工具面、クリアランスを変更した場合は、変更箇所に関係する寸法や加工不良も確認します。

対策した箇所製品で確認する内容金型・加工中に確認する内容
加工油・供給方法筋状の傷、変色、油の除去状態傷が出た箇所への給油、連続加工中の付着物
工具面の補修・表面処理傷の位置と深さ、補修箇所に関係する寸法付着物、工具面の荒れ、皮膜の割れ・剥離
抜き加工のクリアランス穴径・外形寸法、バリ、切断面刃先の摩耗、材料の付着
絞り加工のすきま・接触状態側壁の傷、板厚、寸法、しわ・割れ特定箇所への付着、工具面の損傷

再発の有無は、実際の連続加工で確かめます。傷が再び出た場合は、対策後の加工回数と発生位置を残し、付着物の増加や油の供給状態を調べます。対策後も必要な外観と寸法を満たせるかを確認して、加工条件や金型の補修内容を決めます。

まとめ

プレス加工のかじり対策では、傷が出た箇所に接触する金型面を調べ、潤滑不足、付着物、工具面の損傷、すきまや片当たりの状態に応じて対策します。表面処理は加工する材料と損傷の状態に合わせて選び、対策後の外観・寸法と連続加工中の再発を確認します。

かじり対策に対応する企業への相談

発生位置の写真、被加工材・板厚・ロット、加工数、加工油、金型の清掃・研磨・表面処理・修理履歴を分かる範囲でお知らせください。

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よくある質問

金型を清掃すると傷が消えるのに、また再発するのはなぜですか?

材料の付着物を取り除いても、油が届かない箇所や局部的に強く接触する箇所が残っている可能性があります。再発した箇所が接触する金型面を調べ、給油状態、工具面の荒れ、すきまや片当たりを確認します。

めっき鋼板のかじりでは何を確認しますか?

加工する材料のめっきの種類と、金型への付着物を確認します。亜鉛めっき鋼板の摺動試験では金型皮膜への亜鉛の付着が確認されています。付着物と皮膜の割れ・剥離を分けて調べ、板材のめっきと金型の表面処理の組合せを検討します。

クリアランスを広げれば、かじりは改善しますか?

抜き加工ではクリアランスを広げることで工具摩耗が減る場合がありますが、穴径や外形寸法も変わります。変更後の寸法・バリ・切断面を検査します。絞り加工では、材料が通るすきまと接触状態に加え、板厚やしわ・割れへの影響を確認します。

加工油を変更した後は、かじり以外に何を確認しますか?

製品の寸法、変色、油の除去状態を確認します。水溶性の加工油では使用製品の指定に沿って希釈濃度を管理し、連続加工中も必要な箇所へ油が届くかを確かめます。