再生材の射出成形|混合率・物性ばらつき・品質管理

更新日 2026年10月4日
射出成形
再生材の射出成形混合率・物性ばらつき・品質管理

再生材の射出成形では、回収・再処理した樹脂を成形原料として使います。回収元や加工・保管の履歴によって、材料の流れやすさや成形品の強度・外観が変わることがあります。混合率を決める考え方と、品質が変化する理由、量産時の材料管理を解説します。

この記事で分かること

  1. 01回収元と混合率再生材の由来と配合の決め方
  2. 02物性が変わる理由熱・繊維・水分の影響
  3. 03量産時の材料管理粉砕・保管・ロットの管理
  4. 04成形品の品質評価外観・寸法・強度の調べ方

射出成形に使う再生材の種類と混合率

射出成形に使う再生材には、製造工程で生じた材料や、使用済み製品から回収した樹脂を再処理したものがあります。粉砕した材料を使う場合や、選別・洗浄した樹脂を再び溶かしてペレットにする場合があり、原料の状態と処理履歴が異なります。

回収元とリグラインド材

成形時に生じたスプルーやランナーなどを粉砕して再使用する材料は、リグラインド材と呼ばれます。工程内で使う場合は、元の樹脂グレードと成形時の状態を把握し、回収・粉砕・保管中の異物混入を防ぎます。

使用済み製品から回収した再生材は、ポストコンシューマー材(PCR)と呼ばれます。製造工程の廃棄物から作る再生材は、ポストインダストリアル材(PIR)とも呼ばれます。同じ工程で回収して再使用できる材料は、このPIRの区分から除いて扱います。

回収材の由来によって、含まれる樹脂や添加剤、汚れ、色、においが異なります。購入する再生材では、供給元の材料仕様から材質と回収元、選別・洗浄などの処理内容を確認します。

製品の要求に合わせた混合率

工程内の粉砕材の混合率は、粉砕材の投入質量を投入材料の合計質量で割り、100を掛けて求めます。

たとえば、新しい材料8kgと工程内の粉砕材2kgを混ぜ、添加剤は加えないと仮定すると、合計10kgに対する粉砕材の混合率は20%です。この割合は計算例で、品質を保証する推奨値ではありません。着色剤なども投入する場合は、その質量を含む合計と、各材料の内訳を記録します。

製品に実際に含まれる再生材の含有率を表示する場合は、表示に使う規格や認証制度の対象と算定方法を確認します。同じ工程で発生し、その工程で再使用できる粉砕材は、環境表示上は、製造工程の廃棄物から作る再生材の区分に含めない扱いがあります。工程内の混合率と、表示に使う再生材含有率は区別してください。

再生材は、新たに製造され、成形や使用を経ていないバージン材と混ぜて使うこともあります。混合率を質量で管理する場合は、投入する材料の合計質量に対して再生材が占める割合を記録します。

混合率は、使用する材料の仕様と、製品に必要な外観・寸法・強度を基に検討します。候補の配合で成形し、製品の要求品質を満たすか、成形が安定するかを評価して決めます。メーカーの再使用データを参考にするときは、対象グレード、再使用回数、成形条件、評価した特性を確認します。

再生材の混合率と成形条件の記録

候補の配合で試作するときは、使用した再生材と成形条件を、品質の評価結果と対応させて記録します。

項目試作で記録する情報
再生材の作り方回収元、粉砕・再処理の方法、保管の履歴
再生材の割合投入材料の合計質量、再生材の質量と割合
再生回数回収・再使用の履歴を追える範囲と、その記録
シリンダー温度各ヒーターに設定した温度
金型温度成形中の金型温度と測定位置
予備乾燥使用品番の乾燥指定、設備の方式と実際の乾燥時間

評価する配合は、供給元の材料仕様と製品の要求に合わせて候補を決め、各候補の条件と品質を比較します。母材や強化材、回収材の状態が変わる場合は、その材料に合う成形条件で外観・寸法・強度を確かめます。

再生材を量産で使う際の材料管理

同じ混合率でも、回収材の状態が変わると、成形時の流れやすさや成形品の品質が変わります。熱を受けた履歴、強化繊維、水分、異物や粉砕状態が、材料へどう影響するかを理解して管理します。

熱履歴・繊維・水分による特性の変化

回収した樹脂を再び溶かすときは、加熱や酸化によって樹脂が劣化し、流動性や機械特性が変わる場合があります。ガラス繊維入りの材料では、成形中のせん断によって繊維が短くなることも、強度などの変化に関係します。変化の程度は樹脂と強化材、再処理の条件で異なるため、使う材料のデータと成形品の試験結果から評価します。

ナイロンは空気中の水分を吸収し、吸湿した原料を成形すると、溶融中に分子量が低下して物性が損なわれることがあります。過剰な水分は、表面の筋状の跡や内部の気泡にもつながります。使用グレードに合う乾燥条件で水分を減らし、乾燥後も吸湿を抑える保管・供給方法を用います。乾燥条件を選ぶときは、使用品番の技術資料に示された推奨条件と、回収材の保管状態、使用する乾燥機の方式を確認します。

粉砕材の粒度と異物混入

粉砕材の粒の大きさや微粉の割合は、成形の安定性に影響します。粒度をそろえ、微粉を除去するとともに、材料を成形機へ安定して供給できるか確認します。粉砕機の刃の摩耗で金属粉が混入することもあるため、粉砕設備の状態と回収材への混入を調べます。

異なる樹脂や色の材料が混ざらないよう、回収容器と保管場所を分け、材料名とロットを表示します。工程内で再使用する材料は、正常な条件で成形したスプルーやランナーなどから回収します。変色や熱劣化が見られる回収材は、品質を確認した材料へ混ぜずに分けて管理します。

材料ロットと配合の記録

購入材は、材料仕様とロットごとの検査結果を使い、材質や必要な物性が受入基準を満たすか確認します。成形時は、実際に使ったバージン材と再生材のロット、配合、乾燥・成形条件を、成形品のロットと対応させて記録します。寸法や外観が変化した場合に、使用材料と条件をたどって原因を調べるためです。

供給元、回収元、配合や粉砕方法を変えるときは、変更後の材料で成形し、品質と成形性への影響を評価します。試作で確認した材料と条件を基に、量産で使う配合、乾燥・保管方法、材料の受入基準を決めます。

再生材を使った成形品の品質評価

材料の物性データは、対象製品の使用温度や荷重に合う材料を検討するために使います。実際に成形した製品では、外観、寸法、必要な強度をそれぞれの方法で評価します。

評価対象評価方法判定に使う基準
外観色の違い、黒点、異物、表面の欠陥を観察する外観仕様や限度見本
寸法同じ基準面・測定位置で寸法や反りを測る図面の寸法公差や反りの許容値
強度使用時にかかる力に対応した試験を行う要求する荷重条件と性能

においが問題となる用途では、実際の使用条件に合わせてにおいも評価します。繰り返し荷重や長期間の使用を想定する部品は、その条件で必要な性能を維持できるか耐久試験で確かめます。材料や再生材の使用条件が製品仕様で指定されている場合は、その指定を満たす材料と配合を選びます。

量産を想定した成形では、材料の供給や計量、樹脂の充填が安定するかも確認します。材料ロットや混合率を変えた際は、変更した内容と成形品の測定・試験結果を対応させ、品質への影響を比べます。ばらつきが出た場合は、該当ロットの材料、水分、配合、乾燥・成形条件を調べ、変化した点から原因を検討します。

まとめ

再生材の射出成形では、材料の回収元と処理履歴を把握し、試作品の品質と成形性を評価して混合率を決めます。熱履歴、繊維の変化、水分、異物や粉砕状態が品質へ影響するため、材料に合う回収・乾燥・保管を行います。量産では使用材料と配合を成形品のロットへ対応付け、材料や条件を変更した際も要求品質を満たすか確認してください。

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よくある質問

再生材の混合率は何%にすればよいですか?

使用するグレードと回収材の状態、製品の要求品質に合わせて検討します。候補の配合を試す際は、バージン材と再生材の投入質量と混合方法を記録します。メーカーの再使用データで、再生材を配合したときの物性と試験条件を確認します。そのうえで、候補の配合で成形した製品の外観・寸法・強度と、成形の安定性を評価して混合率を決めます。

再生材の乾燥条件はどう決めますか?

使用品番の技術資料で乾燥温度・時間の指定を確認し、使用する設備の方式と、材料が実際に乾燥される時間に合わせて条件を決めます。実際に使う母材とグレードに応じた条件を選びます。ナイロンなど水分の影響を受ける材料では、保管中の吸湿と成形前の水分を調べ、乾燥後の保管・供給中も水分が増えないように管理します。

工程内の粉砕材では何を管理しますか?

元の樹脂と成形条件、粉砕材の粒度や微粉、異材・金属の混入、保管中の水分を確認します。正常に成形した材料を回収し、使う量と繰り返し使用による品質の変化を把握します。

材料ロットが変わるときは何を確認しますか?

新しいロットが材料の受入基準を満たすか確認し、成形時の流れやすさと製品品質を評価します。寸法や外観に変化があれば、配合、乾燥状態、成形条件と合わせて原因を調べます。